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第4話:学校リアル
「朝倉、起きたか?」
声をかけたのは担任の川嶋先生。
しかし、陸の記憶には“その先生の顔”がなかった。
見たことがあるようで、思い出せない。
笑っているのに、表情が貼りついている。
「今日は臨時休校だ。ZEROの予告の件でな」
テレビがつけっぱなしになっている。
そこでは、アナウンサーが同じニュースを繰り返していた。
「清陽高校にて爆破予告。現在、校舎の封鎖が——」
画面が突然乱れる。
ノイズの中に、別の映像が一瞬だけ混じった。
黒い部屋、白い壁。
そこに立つ、陸自身の姿。
「……これは、何だ」
川嶋先生が振り返った。
その表情が、笑っていなかった。
「朝倉、君はもう知ってるんだろう?」
「誰がZEROなのか」
その瞬間、保健室の鏡がピシッとひび割れた。
映っている自分の顔が、二重に見える。
片方は笑い、片方は泣いている。
割れた鏡の中で、“もう一人の陸”が囁いた。
「先生、違う。ZEROは——」
「——あなたじゃない。」
その声と同時に、
ガラスが砕け、部屋の蛍光灯がすべて落ちた。