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「開けよっか」
雨栗が扉を押すと、ギイっと音をたてて扉があいた。
「やだよぉ、おうち帰りたい……」
「おらふくん、みんなそう思ってる。もうちょっとだけ我慢、ね?」
「でもぉ…おんりぃ…」
「大丈夫」
「そうだよ」
複数人の声が聞こえる。四、五人くらいか。
「すみませーん、誰かいるんですかー?」
「!、た、助けてっ、ください!」
「こっちです!」
声を頼りに歩いていくと、体育座りをしている五人がいた。全員見覚えがある。
「「え?」」
金髪の男性ーーーードズルさんと俺の声が同時に発せられる。
「ドズルさん?と、……全員揃ってる」
立ち上がっているドズルさんの後ろには、あぐらをかいて呑気にも寝ている紫髪の高身長イケメンーーーーぼんじゅうるさん、あだ名はぼんさん。
その隣では深緑の髪の眼鏡をかけた子ーーーーおんりーちゃんが白髪で肩に謎の雪だるまを乗せた少年ーーーーおらふくんの頭を撫でている。ちょっと後ろには部屋の探索をしていたのかおおはらMenがいる。
「みなさん揃って、何してるんですか?」
ルザクくんが聞く。すると、ドズルさんが苦しそうな顔をした。
「それが…僕のせいなんだ」
「いや、もとはといえば……」
Menがフォローをしてからちらりとおらふくんのほうを見る。
「うっ…まさか廃工場がヤンキーの巣窟だったなんて、知らなかったんだもん……」
「自分が簡単に説明しますね」
話が進まないと思ったのか、おんりーが話し始める。
「最初は、おらふくんが秘密基地を作ろうと言い出したんです」
おらふくんは俺たちと同い年。つまり高二。高二で秘密基地作ろうって遊び心あるな。
「ここが広いねってドズさんが言って、入ったら……呆気なく。捕まってしまって。監禁されてました」
「……そんなっ」
ちろるが信じられないという顔をしている。
「ふぁあ……出口は見つかった、ってえ!?」
ぼんさんが起きて、謎に驚いている。
「なんでここに“女王様”がいるのよ?!」
「「「「「あっ」」」」」
ちぴちゃんくの声が重なる。桃栁が女王様なのをすっかり忘れていた。でも、ぼんさんは確か高三と俺たちより年上なはず。高二の女王様を知っているとは。
「違います。ぴのはもう、女王様じゃないの」「はぁ……?」
困惑しているぼんさんは置いといて。
「誰か、ここのボスの居場所知ってる人いません?」
「おれ、みつけましたよ」
Menが応えてくれる。
「こっちです」
「ほうほう」
そうしてMenが連れてきたのは、板の前だった。
「え?、Menちゃん、ほんとにここ?」
雨栗も首を傾げている。
「はい。ここの奥ですね」
がっちり固定された板。これを壊せと?無理に決まってる。
「あ、これ、意外と脆いっすよ」
「ほんとに……?」
俺が疑っていると、雨栗はもう既に蹴りの姿勢をとっている。雨栗は蹴りが得意だ。
「こめしょー、ここ蹴っちゃっていい?」
「うーん…。いいよ、ぶっ壊しちゃって!」
「よーし……」
雨栗が爆速で脚を動かす。ガキャーンと音を立てて板が崩れた。
「あ、脆い」
「か、簡単に崩れ去った……!」
おらふくんが目を輝かせる。
「かっこいい!すごい!天才!」
子供みたいにはしゃぐおらふくん。
「天才?そうだけど?」
「おい雨栗!調子乗んなよ!」
慌てて雨栗に釘を刺す。ここで調子に乗られても困る。
「早く行こう」
ルザクはボスと闘うのが楽しみなのか、わくわくしている。急かされてはっとする。
「そ、そうだね!行こうか!」
笑顔でルザクに返してから一回振り返る。
「……ドズル社さんも来ます?」
「行きます」
毎回毎回切り方が変ですみません