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僕はおかしい。

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僕はおかしい。

1 - 第1話君と出会った日

♥

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2023年09月24日

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キーンコーンカーンコーン…

中2の、眩しい秋晴れの日だった。

「転校生を紹介します」

少女はツンとした表情で自己紹介を始めた。

「月宮紫音です。短い間ですが、どうぞよろしくお願いします。」

こんな時期に転校生なんて珍しい。

今思えば、この時からだ。

僕がおかしくなってしまったのは。


僕は最初、変な子だと思った。だって、髪の色も目の色もみんなと全然違うんだ。

透き通るような青い瞳と、雪のように白い髪。

いわゆるハーフってやつ?今はミックスって呼ばないといけないんだっけ?

そんな中「すごく綺麗」という声もあれば、僕と同じように「変なの」という声もあった。でも決して異物だというのは一切なく、それとは別の雰囲気が存在していた。

「うーん、席はだれの隣にしようかしら?」

そんなことを先生が言い出したから、大騒ぎになってしまったのをよく覚えている。特に一番騒いでいたのはクラス1のお金持ちで、美人の川口さんだ。

「せんせー!私の!隣!空いてる!」

思いっきり嘘じゃん。お前の隣の人気ぃ使って気まずそうに他の席に移動してるじゃん。そんなこんなで騒ぐもんだから、見かねた先生は「じゃあ柏木くんの隣ね。」

なんと僕、柏木葵の隣に行くように指示したんだ。

「げーっ!お前かよ!」

「ずりぃぞ!」

さらにクラスが大騒ぎになった。なんで僕の隣なんかにしたんだよ。ふざけんなよ。一生この恨み忘れねぇぞ。

「静かに!どうせまた席替えもありますのでそんな残念そうにしないの!」

『はーい…』

先生が一喝してくれたおかげで、何とかその場は収まった。

が、

僕に対するクラス中の視線は収まらなかった。

コツコツコツと足跡を立て、姿勢は真っ直ぐ。そんな上品にこっちに向かってきた転校生。

「よろしく」

なんかそっけないなと感じながらも僕は「あぁ。」だか「よろしく」だか忘れたが、笑顔で挨拶をした。


一時間目は数学。教科書を見せて欲しいと言うので机をくっつけて見せてやった。

この時点で、僕はクラス中から相当な顰蹙を買っていた。

何で僕がこんな目に遭わなければいけないのかと歯を食いしばった。

相変わらず転校生はツンとした表情だ。何を考えてるのかさっぱりわからない。大体僕が挨拶を返した時も全然愛想も無く、態度も少々冷たかった。

くっそ…

そういやこいつ短い間ですがつってたから、、長くこの学校にいるわけじゃないんだ!

早く転校しちまえーっ!

お願いだ…お願いしますよもう…

そう考えているとあっという間に放課後になった。

基本、僕に一緒に下校するほどの仲の友達はいない。

もう帰ろう……そして思いっきりゲームして遊ぶんだ…と意識が朦朧としている僕に話しかけてきた奴がいた。

川口さんだ。

彼女は笑顔でスラスラと話し出した。しかし、その笑顔は決して可愛らしいものとは感じさせなかった。

むしろ、それとは真逆のものを感じるのだが。

「ね、ね!転校生はどうだったぁ〜?すっごく可愛かったけどさぁー!いいなぁー!」

「べ、別に普通でしたよ…」

恐る恐る答えると、川口さんの笑顔が半減した。

「…へー!でさ、むかつかない?」

「…………へ?」

「だーかーらー!私より可愛いし、ツンツンしちゃってさー!ふざけてると思うのね!だから………」

僕には彼女が何を言っているのかよく理解できなかった。

ただ、彼女の目が全然わらっていなかったのがとても印象的だった。

話が終わると彼女は満足したようにじゃあねと帰っていった。

僕も帰るかと教室をでようとしたら、また誰かが僕を呼び止めた。いったい何なんだよ。

「ねぇ…ちょっといいかな…?」

「は、はい?」

話しかけてきたのは転校生だった。

「え、と、あの、私一緒に帰る人いなくて…その、だから一緒に帰らな、い?」

嘘だろ?

あんなにそっけなかったあいつがこんなに赤面しながら僕に話しかけてきた?しかも一緒に帰ろうと?

僕はゆめかうつつかわからなくなった。

とりあえず、「あ、いいですヨ。」と返事をしておいた。


しかし、校舎を出ると途端に気まずくなった。出るまでは「ここは理科室だよ」とか話すネタが見つけやすかったので生き延びていたが、外に出てしまっては何も話すことが見つからない。

「あの、何でそんなに黙っているの?」

「あっ!?えと!どこに住んでるのかなぁって思って!」

咄嗟になんとか思いついた。僕は天才なのかもしれない。

「私ね、ここの近くのマンションに引っ越してきたの。」

「え?」

ここの近くのマンションって、あそこしかない…そう。

「僕もここの近くのマンションに住んでるんだよ…」

「ええ!?」

まさか同じマンションに住んでいたとは…そういやお母さんが新しい人が…みたいなそれっぽいことを昨日言ってたな。

同じマンションだと分かった途端、彼女の表情はほんの一瞬だけ少しくもった。

「何号室?」

何故そんなことをきいてくるのか。まあなんかあった時助け合えるかもしれないしな。

「105室だよ」

そう答えると彼女は少し嬉しそうに

「あ、わたしその真上のとこだよ。ほぼ隣みたいなものだねw」

隣か…?まあ確かにお互い外に出ていれば階が違っても声は聞こえるだろう。

「あはは…」

「あ、柏木くん家ここじゃない?」

「あ」

何と言うことだ。話していたらあっという間に着いてしまった。いつもなら階段やらでいつも長く感じていたのに…人と一緒に帰ったりするのって意外と……

唖然としていると、彼女は「じゃあねっ!」と言いながら階段へ行こうとしていた。

行ってしまう。今言わなきゃ一生言えない気がする…!

「あ、あのっ!明日も一緒に帰らない!?呼びに行くから!」

言ってしまった後、ぼくは非常に後悔した。キモいと思われたかもしれない……。しかし意外にも彼女は満面の笑みで「いいよ!じゃあまたね!バイバイ!」と階段を駆け上がっていった。


彼女が行ってしまった後、僕は顔がとても赤くなっていくのを感じた。

あれ…?なんで?違うっ!これは歩きすぎて体の体温が上がっているんだ!

僕は体の奥で渦巻く感情を押し殺すのに必死だった。


次の日

バッシャーンッ!!!

「………」

朝、教室のドアが空いた瞬間、ずぶ濡れの転校生が現れた。

横にはニヤニヤしている川口さんとバケツを持った女子軍。

僕を含めた周りのクラスメイトも黙って見ているしかない。

なぜなら、川口さんのお父さんは学校に多額の寄付をしてくれている。この学校があるのは川口さんのおかげだと言っても過言ではない。

だれもがそれを知っていた。だから黙って見ていた。

なのに、なのに、なのに!

「あの…っ!」

僕は声を上げていた。

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