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よくもまぁ、よくもまぁと全文読み終えたあと、鼻息荒くなる圭子だった。
私や匠平くんにしたことを棚に上げてよくもまぁ、こんなこと頼めるわねー。
呆れた。
圭子はすぐに返信した。
『ご無沙汰してます。そんな大事な案件に私が立ち会うわけにはいきません。
力不足なのでごめんなさい。
P/S:そういうことでしたら、親友的立場の人に頼んだほうがいいのでは
ないですか』
********
淳子のメールが届き返信した日の翌日は水曜日で、その日は圭子のラウンジ
カメリア出勤日だった。
出勤するとすでに席に付き自分を待っていたと思われる淳子の顔が見え、
圭子の心中に嫌な予感が走った。
着替えるため衣裳部屋に向かうとスタッフから指名が入ってると伝えられる。
それは淳子だった。
昨日の今日のこの素早い淳子の行動に、彼女の必死さが表れていた。
そこで圭子は黒服のまとめ役とホステス仲間に根回しをしてから
淳子の席についた。
「いらっしゃいませ。松尾さんとはご一緒じゃないんですか?」
「昨日の件、考え直してくれない? 私困ってるのよ」
「私には荷が重すぎます。誰かもっと親しくしている人に頼んでください」
圭子の拒絶が固いものだと分かると淳子は本性を顕わにし、大声で騒ぎ始めた。
「何よ、もったいぶらなくたっていいじゃない。
私があなたの旦那から言い寄られたからって逆恨みするのは止めなさいよ」
そう絡み始めた。
淳子が気付かない近くの場所からその時、根回し済みのお店の子がスマホで
きっちり一部始終を録画していた。
「また来るから。よく考えておくことね」
そう言い置き、淳子は帰って行った。