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10 - 第10話 燃える命の先に

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2025年06月01日

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静かな夜。

だが、楓の鼓動は静まらなかった。

鏡の前でパーカーのファスナーを上げながら、彼女は自分の頬の蒼白さに気づく。


ーー熱がある。

けど……行かなきゃ。


「楓、無理するな」


背後からか声をかけたのは、忍装束に身を包んだむつるだった。

光を帯びた護符を指先で回している。


「代わりに俺がーー」


「ダメ。……あの子、ほのかが狙わてる。あの工場跡に、あいつらがいるなら……行くしかない」


楓の視線は、揺らがなかった。

けれど、その身体は、熱と痛みで限界に近づいていた。




【廃工場跡・潜入】


楓とむつるは、闇に溶けるように忍び込み、敵の気配を探る。

だが、潜入の途中、楓の足がふらりとよろめいた。


「楓!」


むつるがとっさに支えると、楓の額に触れた手が、その熱さに驚愕する。


「……お前、本当に行かせたくなかった」


「……ごめん。けど……」


「大切な人を……何度も失いたくないだけ」


その瞬間、天井から無数の鋼糸が降り注ぎ、2人は咄嗟に散開する。


「来たな、小娘ども!」


現れたのは、敵組織《黒連》の幹部・千種。

細身の体に艶やかな黒装束、鋭利な笑みを浮かべるその瞳は、血の匂いを孕んでいた。



【戦術・限界の先へ】


むつるが光術を放ち、千種の鋼糸を照らし出す。

だが、楓の術ーー《焔風》は思うように発動しない。


「楓……!」


膝をついた彼女の口から、血が滴る。

それでも楓は、唇を噛み締めて立ち上がる。


「動け、私の……火……!」


ーーその時だった。


どこからか風が吹き抜け、楓の羽織がふわりと揺れる。

赤いメッシュの髪が夜風に舞、楓の瞳に火が宿る。


「火は、命を燃やして生まれる」

「燃え尽きたっていい……守るべき人がいるなら――!」


《術:紅蓮烈火!》


突如、楓の手のひらから奔流のごとき炎が吹き出す。

千種の糸を焼き払い、空間が熱でゆがむ。




【戦闘後】


工場跡が燃え尽きるなか、楓は崩れるようにその場に座り込む。

むつるが駆け寄り、焦った様子で抱き起こす。


「楓……っ、目を開けろ!」


「……へへ、まだ……やれる……しょ」


そう呟いて、彼女は静かに気を失った。




【保健室】


数日後。

静かな保健室。

ほのかが楓の手を握っていた。


「……私、もう知ってる。

  あの夜、私のために戦ったんでしょ?

  だから――もう隠さないで」


その言葉に、うっすらと目を開いた楓が、微笑む。


「……じゃあ……これからは……味方でいて」

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