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錆の都送り

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錆の都送り

第18話 - 第18話　ギルド

27

2024年11月03日

#ダークファンタジー

#錆

#黒蜜の賞金付きコンテスト

伊琉夏

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27

伊琉夏

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夜の帳が降りると、錆の都の一角にある廃工場に、不気味な静寂が漂った。そこには、錆の都の闇社会に潜む秘密の集団「ホロウギルド」のアジトがあった。ホロウギルドは、骸教団やゴーストバスターのような表舞台に立つ存在ではない。

彼らの目的はただ一つ——生き延びること。

ホロウギルドのメンバーたちは、かつては錆の都の様々な社会階層で生きていた人々だった。ある者は失業した労働者、ある者は家族を失い孤独を抱える者、またある者は不正や戦争に巻き込まれた犠牲者だ。彼らは全員、戦争と幽霊が支配するこの地で生き延びるために、互いに身を寄せ合い、協力しながら生活している。

アジトの内部には古びた発電機の音が低く響き、明かりは薄暗いランタンの灯りだけだった。食糧や水、さらには防衛のための武器も限られているが、彼らは決して奪うことはしない。むしろ、錆の都の廃棄物や捨てられた物資を掘り出し、巧みに再利用して自給自足を続けていた。

「また今日少しの缶詰と布切れが手に入った。これで何とかあと数日は持ちこたえられるな」

ギルドの老練な男、真嶋が、そう言ってテーブルに物資を並べる。真嶋は静かだが、鋭い目を持ち、メンバーの誰もが自然と彼を信頼していた。

その隣で、若い女性メンバーのひとり、奈央が疲れた表情で微笑んだ。「今日も無事に帰れたってだけで、ありがたいですね」

「そうだな、奈央。ここで生き延びるためには、常に慎重でなくてはならない。この錆の都じゃ、何が起きるか分からん」

一瞬の沈黙が訪れたが、その場の空気は重くはなかった。むしろ、ホロウギルドのメンバーたちはお互いに支え合い、心の中で小さな希望を共有していた。外では骸教団やゴーストバスターたちが激しい争いを繰り広げているが、ホロウギルドはあくまで自分たちの生存に集中していた。

「…戦わずにただ生き延びるだけじゃ、何の意味もないって言う人もいるけど…」と奈央がぽつりと呟く。「でも私は、ここにいるみんなと一緒に生きていたい。それが私にとっての意味だから」

真嶋は彼女の言葉を聞き、静かにうなずいた。「その気持ちがあれば、俺たちは大丈夫だ。外の狂気に飲み込まれない限り、俺たちは何とかやっていける」

外から冷たい風が吹き込み、ランタンの炎が揺れた。その微かな光に照らされたホロウギルドのメンバーたちは、傷つきながらも、心に確固たる決意を宿していた。

彼らはただ生き延びることに全力を注いでいる。だが、それこそが錆の都で最も難しい「戦い」なのかもしれない。