ー六本木のアクマー
MZD「……ぅ、あれ、ここは、、?」
?「(やっと目を覚ましたか。)」
MZD「!ハテナ…!!」
?「(ワープホールに入った後から、お前が気絶して、そのまま1日ほど目を覚さないもんだったからな。流石に心配したぞ。)」
MZD「え、1日…?」
僕は1日ほど気絶していたことに驚いた。
だって、あのもう1人の僕と、話していたはずなのに。
…あれ、?
あのもう1人の僕は、僕をこちら側に戻すために案内をしていたのでは、?
あの僕を白い扉に導いた蝶、あのもう1人の僕の言葉…
そして、最後に見た希望なんてないというような目……
MZD?「……君は必ず救われる。僕とは違った、道を辿るんだ。」
MZD「……!」
あのもう1人の僕の声が、耳元で聞こえた。
振り向いてみたけど、そこには誰もいなかった。
?「(どうした?何かいたか?)」
MZD「……いや、何でもない…」
あのことは、言ってはいけない気がした。
言ったら、もう会えなくなる気がした。
“あの世界”で。
?「(さて、たまたまワープホールの先が、人目のつきにくい六本木の路地裏だったわけだが、そろそろ夜だ。不良やらが来てもおかしくない。どうするんだ?)」
MZD「………」
僕はもしものためにポケットに入れておいたカッターを掴んだけど、
「そんなことするな。」って、ハテナに言われそうだったから、
取り出すのをやめた。
…それよりも、
僕はお腹がすいた。
確か、最後に食べたの、2日前の夜だっけ、?
MZD「……お腹すいた…」
?「(最後に食べたの2日前だったからな。何か買うか?)」
MZD「…お金ない……」
?「(お前なら言うとは思ったが、どうするか。俺は食いもん無しでも生きていけるが、お前はキツイよな。)」
どうしようか考えていた時、ハテナがこう言った。
?「(…俺がお前に取り憑けば、今のお前とは姿が変わるが、痛みや空腹は感じなくすることができる。どうするか?)」
MZD「……元の姿に戻ることは、出来るの、?」
?「(お前が望むなら、俺がお前から離れて元の姿にもどることは出来る。)」
MZD「…それなら、受け入れるよ。」
?「(後悔するなよ。まず後悔させる気は無いけどな。)」
ハテナの言葉を六本木で聞いたのはこれが最後だったかな。
ハテナは僕の方に近づいてきて、
僕とハテナを黒い霧みたいなのが包んだ。
そして、みんなが言う”黒神”という姿になった。(黒神=アンセムトランス2p)
黒神MZD「…今夜は夜空が綺麗だ。いつかこの空の星を掴めたら良いのにな。」
そんな事を呟いては薄暗い路地裏から抜け出し、
店や高いビルが並ぶところに出た。
そして辺りを見渡しながら黙々と歩き出す。
まるで何かを探しているように。
猫「…にゃ?!」
うさぎ「きゅう?!」
黒神MZD「黙ってりゃバレねぇからいいの。俺の頭の上で大人しくしときな。」
俺の頭の上に乗っているうさぎと猫が反応したのは、
ちょうど俺が真横の店にあったパンを盗んだ時だった。
ひょいっと軽くと盗っては、
服の袖で隠した。
そして店から少し離れたところで袖から取り出し、
一口かじった。
黒神MZD「…盗るのミスったかな、レーズンのやつだったわ。お前ら代わりに食う?俺もういいや。」
猫「…にゃ、」
うさぎ「きゅ……」
黒神MZD「いらない?んじゃどうしよ。仕方ねぇし食うか。なんかあったから適当に盗った俺が悪いし。」
そう言って仕方なさげに食べていたら、
何かの声が聞こえた。
恐らくハテナが俺に取り付く前のMZD。
「店のものを勝手に盗っちゃだめだよ。天罰降るよ?」
黒神MZD「仕方ねぇだろ手が勝手に動いたんだから。というか天罰下す側だよこっちは。だって、”神だから〜”」
「街中でそういう事言えるの逆に凄いと思うけど…人に目つけられるよ?」
不良1号「お前、神だから〜とか言ったか?」
なんか声が聞こえたなーということで振り返ると、
黒服で腕にタトゥーの入った不良って感じの3人組が居た。
「ほら、言わんこっちゃない…どうすんの、?」
黒神MZD「ん〜とりあえずなんとかやってみっか。」
「ノリが軽いよノリが、!」
周りの声「ねぇ、あそこの少年ヤバくない?」
周りの声「ほんとそれ、ここらでは最強って言われる不良に喧嘩振ったんでしょ?」
周りの声「そうそう、あの少年死なない?大丈夫、?」
周りの声「でも止めに行くの怖いよね、いつでも通報できるように見守っとこ…」
「…凄い心配されてるよ、?本当に平気なの、?」
黒神MZD「いけるっての。神っつっただろ?今の俺もお前も。」
周りから心配そうな目で見られながらも、
「ちょっと退いて〜じゃないと死ぬよ〜」と脅しながら道を開けて貰った。
黒神MZD「今急いでっから、手短に〜」
ポケットに両手を突っ込んでは、
相手の不良を挑発する。
不良1号「あんま舐めるんじゃねぇぞ!!」
「…何で戦うつもり、?まさか僕の持ってたカッター、?」
黒神MZD「…あったり〜!」
そう言いながら素早くポケットからカッターを取り出し、
刃を出した状態で思いっきり上にあげた。
不良1号「なっ、?!」
黒神MZD「へぇ、このカッター意外と使えんじゃん〜いいもん持ってきたな。」
「まさかこんな形で使うとは思ってもいなかったけどね…」
とりあえず振っときゃ当たるか戦法で振り上げたカッターは、
ちょうど襲いかかってきた不良1号の腕を切った。
ソイツの血が顔に少しかかって嫌な気分になりながらも、
さっと手で拭き取った。
服についたのはそのままだけど。
不良2号「兄貴!!」
不良3号「お前、ガキのくせによくも、!」
黒神MZD「…はぁ、俺が神だってこと認めれば見逃したのにな〜ガキとか言われちゃ、天罰が必要かな〜」
そう言って、俺は指をパチンと鳴らすと、
あの不良達の背後に立った。
周りからすれば瞬間移動とかいうやつ。
不良3号「消えた、!?」
黒神MZD「後ろだよ、うーしーろ。」
そう言ってカッターを不良3号の首元にひょいひょいと泳がせた。
黒神MZD「いいの?俺に手出したら死んじゃうよ?天罰ってやつ下るよ?カッターだって十分強いんだよ?」
そして煽る。
「うさぎさんと猫さんも守ってよ、?天罰のことしか考えてなさそうだけど。」
黒神MZD「おっとあぶね〜頭の上にいんの忘れてたわ。ごめんようさぎと猫さん。」
猫「んにゃ?」
うさぎ「きゅー?」
黒神MZD「というか急いでっから、手出される前に天罰として、雷落としてあげまーす!」
後ろに何歩か下がって指をパチンと鳴らしたかと思えば、
不良達にちょうど雷が落とされた。
空には雨雲と言えるような雲すらない。
普通に考えれば偶然とは言えない。
黒神MZD「こんなもんだろ。大丈夫死なない程度にしてあげたから〜あと、そこのねーちゃんちょっとスマホ貸してくんね?俺スマホ持ってなくてさ。通報出来ないんだよね〜」
女性「あ、はい、どうぞ…」
その女性は戸惑いながらも俺にスマホを貸してくれた。
黒神MZD「…あ、警察ですか?六本木の◯丁目のとこで不良がぶっ倒れてるんで救急車と共に来てもらっても良いですか?」
簡単に説明しとけりゃいいかという感じで話し、
通報が終わった後にすぐに女性にスマホを返した。
黒神MZD「よかったな。すぐ警察と救急車来るってよ。んじゃ、またいつか会う時があったら。」
そう言って駆け足でその場を去った。