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コメント
5件
おー!ホスト系ね(ドウイウケイ? 良いじゃ〜んd(≧▽≦*)
最っ高✨️ 続き楽しみにしてるね〜!
「そんじゃ、シャンパンコール行っちゃいましょー!」
「せーのっ!」
「もっとちょうだい、もっとちょうだい! 姫の愛をもっとちょうだい!」
「なんと! 超々! 可愛い! 素敵な 姫から? 愛情! いただきまーすっ!」
「いぇーーい!」
綺麗なピラミッド状に置かれた、今にも割れそうな透明なグラスにシャンパンが注がれていく。
これのために300万以上払ったのは、後悔していない。寧ろ、得した気分だ。
「んへへ、ゆーうりっ?」
……、自分で言うが、酔っぱらい過ぎていて怖い。というよりかはキモい。
「だーいすきっ、」
「ホント、可愛すぎだよ」
これは、ホストに入り浸っている私が、初めて恋をする物語。
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ここは名古屋市栄町。
え、ホストと言えば歌舞伎町?
そう思う人はどこにでもいる話だ。偏見はどうしようもない。栄も、ホストはあるが少ないほう…だとは思う。
私は、今日も今日とて淡々と仕事をしている…が、今、ずっと侑李のことを考えてる。
「あーーー、ダメダメ!今は侑李のこと忘れるの!」
「侑李って誰ですか?」
最悪だ。よりによって隣の席の新人ちゃんに聞こえていたとは。
「まあ、誰でもいいんですけど、ちゃんと仕事してくださいねっ!?上司さんに怒られますよ!?」
百も承知なことをそんなお母さんみたいな言い方で言われても困る。新人だからか知らないが、説得力がほぼゼロに近い。
まあ、仕事が終われば早く彼と一緒に居れるんだし。こんなもの、パパっと終わらせてしまおう。
「これ終わったんで、帰っていいですか?」
「嗚呼。ありがとうな」
「じゃあ、お先に失礼させていただきます」
「お疲れ様」
こんな堅苦しい挨拶を決めたのは誰だろうか。決めた奴を今すぐにでも殴りたい。
結局、パパっと終わらすは、無理だった。6時くらいには終わらせようと思っていたのに、もうかれこれ8時だ。
もう開店しているのに来ない、となったらぐちぐち言われそうで、いきたくない。
まあいいや。いかないほうが損するような気がする。
「お疲れさまでした~」
「お疲れ様ですっ!」
新人ちゃんは常に元気すぎて逆に困る。…子供ならまだよかったかもしれない。
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「いらっしゃいませー!」
「姫様お1人入店でーす!!」←ほんとにあるか知らない
酒の匂いが充満している。
「こちらへどうぞ」
さっきとの寒暖差がすごいのは、すぐ忘れるか。いつも通りだし。なんてことを思いながら侑李を探す。
一番に見つかったのは侑李。…ではなく知らない男だった。黒系統に近いホストクラブに、パステルカラー(水色)のスーツ。笑顔が可愛くて、男の割には低身長。
どことなく子犬感を纏っている人だ。
もういい。聞いてしまえ。
「あ、あの人って、?」
「あー、今日から入ってきた新人です」
やっぱり。彼とはまた違う感じが出てる。
侑李と私の目が合った。
ちょっと待ってね、と見えるそぶりを見せ私の方へ向かってくる。他の客に引き留められてる。うん、やっちゃうのはわかる。
「侑李遅いよ~」
「ごめんって」
「新人君の名前ってなーに?」
「なんだったっけな」
忘れてるんかい。
「あ、侑李さーん!」
ヘルプとか、ないのだろうか。ただ見てるだけ、でもなかった。
水色のスーツがこっちに向かって走っている時、何故か誰かに似ているような気がした。
「……んぁ!」
「え」
彼が躓いて、私と彼は……キス状態!?!?
とにかく侑李の目が、冷たかった。頼む、侑李、凍らすだけはやめてくれ。
「ぷはっ…!あ、すみません、!わざとじゃないんです!」
うん、すみませんじゃすまないことをしたね君は。
「大丈夫、私の不注意だから」
どうしてこんなことを言ってしまうんだ自分は。
この出会いが、私を恋物語へ導くことは、まだこの世界の誰も知らない。