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「アンドレア様、少しだけお待ちください」

困惑を滲ませる声が、カールの慌てぶりを表していた。だからこそ、ここは攻め時だと察し、ずばっともの申してやる。

「ずっと待ちぼうけを食らってる俺に、そんなつれないことを言うなんて、カールは酷い男だな」

「私もアンドレア様がほしいんですっ!」

頭の中でカールの告げたセリフが文字に変換されて、右から左に流れる。それを理解するのに、一瞬だけ脳が混乱をきたした。

「俺がほしいだと? それはあれか、俺のナカにおまえのを挿れたいということなのか?」

「ああぁあ、えぇえっと…つまりそんな感じですぅ」

濁さずに伝えたことがまずかったのか、カールは聞いたことのない変な声で返事をする。

「ふむ、男同士だとこういう問題が起こってしまうのか。厄介だな」

そんなことを全然想定していなかったゆえに、この場をどう処理しようか思案したとき、例の本のことを思い出した。この関係性を持ち出すなら、きっとこのタイミングがベストに違いない。

「カール、顔をあげて、俺を蔑む目で見つめてくれ」

「え?」

俺の言ったセリフの意味が、わかりかねたのだろう。カールは目を瞬かせたまま、かわいらしく小首を傾げた。

「今日はおまえの誕生日だからな、言うことをきいてやるって話だ」

「はあ?」

「俺がやられ役に徹するために、多少の興奮材料が必要でな。それにはおまえからの冷たい視線や罵倒が、絶対に不可欠なんだよ」

「アンドレア様の仰ってる意味がわかりません」

カールの顔色が曇ったことで、セリフの意味を理解したのが明白だった。

「またまた~、わかってるクセに。だからそんな軽蔑を滲ませた目で、俺を見てるんだろう? ぞくぞくするぞ」

「…………」

「常日頃カールに叱責されるたびに、心と躰にぎゅんっとクるものがあってな。それで――」

「ストップでございますぅ!」

カールは両手を前に差し出し、強引に俺の言葉を止めた。

「なんだよ。おまえが嫌でもわかるように、丁寧に説明してやってる最中なのにさ」

目の前にいるカールががっくりと俯き、赤い髪がふるふる揺れている様子で、ふたたび混乱状態に陥る。全然隠微な雰囲気にならないことで、仲良くいたすことのできない状況の難しさに、若干辟易する。

(世の恋人たちは、どうやってソッチにもっていくことができるんだ? 好きあってるのに、ふたりの息が合わないせいで、すれ違ってばかりだ。もしや関係性のタイミングがまずったのか?)

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