テラーノベル
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残る扉はあと三つだけ。クロは古びた木の扉を押した。が、ガタガタするだけで開かない。クロとウルフが二人がかりで押したり引いたりしていると、花子が徐ろにその扉を横に引いた。
「……!な〜んだ、引き戸だったのかぁ」
三人は顔を見合わせて、大笑いする。扉を潜ると、目の前に人魂がふわふわ飛んでいた。
「ねぇ、君たち。『アンドロマリウス』がどこにいるか知らない?
クロは人魂に尋ねる。
「アンドロ……?僕たちは知らないけど、子泣き爺なら知ってるかも。ついておいでよ」
人魂に案内されて進んでいくと、遠くからたくさんの赤ん坊の鳴き声が聞こえてきた。
「ここがジジイたちが住む『こなきの里』だよ」
そこにはたくさんのジジイがいたが、子泣き爺は畑のそばで泣いている。赤ちゃんが被るような帽子に、昔ながらの布オムツ。手にはひよこのおもちゃを連れていた。格好だけは赤ちゃんだが、顔は立派なジジイだ。
「オギャア、オギャア、オギャア」
「やれやれ。泣き止ませないと、話を聞けないな」
クロは子泣き爺をあやそうとそっと抱き上げてみたが、鳴き声は激しくなるばかり。そこで女をしてやると、最初は軽かった子泣き爺が段々と重くなってくるではないか!ズゥーン、ズゥーン……クロの背中にのし掛かる子泣き爺の重みは、どんどん増えていく。
「お、重い……助けてぇ……」
とうとう彼は、子泣き爺に押しつぶされてしまった。
「おぉ、すまんすまん。泣き真似してあったんじゃが、いつの間にか本気で泣いてすっかり重くなってしまったわい」
子泣き爺がケロリと言う。クロはぺっちゃんこになってしまう。
「まるで紙みたいだね、死神だけに」
ウルフの呑気なダジャレにかなりむっとしたクロは、ガバッと跳ね起きた。腹を立てたお陰で立ち直りも早く、早速アンドロマリウスのことを尋ねる。
「ああ。それなら大泣き爺が知っておるはずじゃ」
大泣きジジイはシーソーのところで大泣きの泣き真似中だ。
「俺たち『楽ダ』について知っているという、アンドロマリウスを探しているんです。大泣き爺さんなら、そのアンドロマリウスの居場所を知っていると聞いてやってきたんです」
説明しているクロ自身、ややこしさに頭が混乱しそうだ。
「教えんこともないが、どうしようかの……。そうじゃ、里に伝わる早口言葉を三回繰り返して言えたら教えてやろう。これを言うてみい」
『こなきがすきなことこのきのしたできのこときなこもちをたべた』
クロたちは必死だ。神経を集中してどうにか三回言ってのけた。
「おぉ、たいしたもんじゃ。では、教えてやろう。アンドロマリウスに会いたければな、まずゴーゴン三姉妹を尋ねることじゃ。わしがゴーゴンのところまで送ってやるぞい。さあ、このシーソーに乗りなされ」
大泣き爺は、シーソーの片側にクロたちを三人まとめて乗せる。そして自分はそばにある木によじ登り、大声で泣き始めた。大泣き爺はみるみる内に石になった。クロたちが座っているシーソーの反対側目掛けて、勢いよく飛び降りる。その反動で三人はシーソーからあっという間に飛び出した。勢いは止まらない。海を越え、山を越えビュンビュン飛んでいく。
「うわぁー、すげぇー!」
「いい眺めだなぁー」
大喜びするクロとウルフ。
「でも…どうやって降りるんでしょう?」
花子がポツリと呟いた。
「え……?」
顔を見合わせたまま、三人は青空をどこまでも飛んでいく。
ノア
コメント
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ノアさん、第11話読了です!子泣き爺の「泣き真似→本気泣きで重くなる」ギミック、可愛くて笑っちゃいました。クロがぺっちゃんこになった後の立ち直りの早さに、死神の逞しさを感じます。シーソーで空飛ぶ展開も痛快で、子ども心をくすぐる冒険譚ですね。花子さんの冷静なツッコミが効いてて三人の掛け合いが絶妙でした!