テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
79
#💛💜
愛日
1
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
14時、待ち合わせ先は先ほど会った警察署の近くにある駅の前。
女の子の母親も一緒で、挨拶をかわす。
女の子の名前は服部鈴音(すずね)。母親によろしくお願いしますと頭を下げられ、夕方には帰る事を約束して駅を出発した。
鈴音が話していた祠をヒントに阿部が場所を特定してくれており、そこは鈴音が通う小学校の裏手にある山だった。
🤍「けっこう、木が多いから暗いね」
「先生からは、近寄っちゃダメだよって言われてるよ」
💙「めっちゃ怖いんだけど」
「えー。お兄ちゃん、怖がりなの? かっこいいのにもったいない。顔は鈴音の好みなのになー。そんなんじゃ彼氏にしてあげられないじゃない」
💙「……なんかすいません」
🤍「ぷぷっ。フラれてやんのー」
💙「お前だって怖がってるだろ!」
🤍「僕は平気ですー。なんたって、めめがいるから!」
🖤「……俺?」
🤍「そ。めめはこういうの動じないタイプだもんね」
💙「いや。前に照とお化け屋敷入った時、結構怖がってたの憶えてねえの?」
🤍「え?」
🖤「あー、初お化け屋敷の時だ。最初は大丈夫だろって思って余裕だったけど、意外と怖かったっていうね」
🤍「うそー。めめのこと頼りにしてたのにー」
「お兄ちゃん達、みんな怖がりさんなのか……はぁ、残念」
💙🖤🤍「なんかすみません」
がっかり、というのがよく分かる表情をしてため息をついた鈴音に、何故か三人共口を揃えて謝ってしまった。
森に入ってからしばらく歩いて行くと、突然「あ」と声を漏らして鈴音が立ち止まった。
「ここ。夢の最初はここからなの!」
赤い花が咲いているその場所。
それを聞いてラウールは、背負っていたボディバッグからルーペを取り出した。
🤍「ちょっとこの辺、調査してみるねー」
言いながらしゃがんで、ルーペを通して辺りを見回す。
少しずつ移動しながら前後左右に視線を巡らせていて、渡辺も目黒もラウールが動く度に邪魔にならない場所に移動した。
🤍「うーん。確かに異能が使われた形跡があるね」
💙「形跡?」
🤍「そう。見て見て」
目黒と渡辺を呼びよせてルーペが覗けるように二人の方に寄せる。
💙「なんか、青っぽく光ってんな」
🖤「あれみたい。刑事ドラマとかで見る……」
🤍「ブラックライトを当てたみたいでしょ。異能を使うとね、痕跡とか形跡って残ってるもんなんだよ」
🖤「なんか、足跡みたいだったね」
🤍「うん。あっちに続いてるから追いかけよう」
肉眼では見えないけれど、ルーペを通すと見えるその足跡を追って歩いて行く。
スタート地点から5分ほど経った頃、それが見えてきた。
一際太い大木に、根元に設置されている木でできた祠。
「これ! これがそうだよ!」
🤍「うん。足跡もここで途切れてるね。間違いないと思う」
🖤「じゃあ、ちょっと見せてもらいますか」
目黒は大木に近づくと、木に手を当てて目を閉じる。
「何してるの?」
🤍「木の記憶を辿ってるんだよ」
「木の、記憶?」
💙「そ。その木が見たものを共有してんだ」
「へぇ、そんなこともできるんだね」
それから数分後。
目黒が纏っていた黒いオーラが消え、目黒が目を開けた。
🤍「めめ、どうだった?」
🖤「うーん。なんて言ったらいいかな」
🤍「めめが思ったこと、そのまま言っていいよ」
🖤「じゃあ、そのまま。阿部ちゃんがさ、調べたら他にも何人か同じ学校の子が同じ体験してるって言ってたでしょ?」
💙「言ってたな」
🖤「で、見たら追いかけてるのは全部この子だった」
🤍「……ん? それはつまり?」
🖤「この子が犯人」
目黒が鈴音を指さした次の瞬間、目黒、ラウール、渡辺の三人を取り囲むように突風が吹き荒れた。
「アハハハハ! バレたらしょうがないわね! そうよ、私がやったのよ!」
🤍「あらま。聞いてもないのに自供し始めちゃったよ」
💙「風の音が凄くて、ちょっと聞き取りづらいけどな」
「あの子たちの恐怖に歪んだ顔、たまらなかったわ~」
🤍「めっちゃ怖いこと言ってんね」
💙「てか、なんか口調も声も変わった? 小学生っぽくないけど」
「当たり前でしょう! 私はこれでも31歳なの!」
💙「はあ?! 詐欺じゃん」
🤍「え、てことはあ、さっきのは母親じゃなかったってこと?」
「一時的に催眠をかけただけよ」
🤍「なんか、よく喋ってくれるねー。訊いたら全部答えてくれるんじゃない?」
🖤「余裕なんだろ。俺ら閉じ込められてるし」
🤍「ってか、めめ。あんなに素直に言ったらダメじゃん」
🖤「ラウールがそのまま言えって言ったんだろ」
🤍「まあ、めめらしいけど。まあいいや。しょっぴー、この風お願いね」
💙「わーってるよ」
渡辺はふうっと息をついて目を閉じ、手を前に出すと赤いオーラが体を纏う。
そして手を振ると渡辺を取り巻くように赤い花びらが舞い踊る。
人差し指で風をさすと花びらが風に向かっていき、風に流されていく。花びらは増していき、風と混ざり合い昇っていく。
いつしか風は赤い花びらで埋め尽くされた。
🤍「キレー……」
渡辺が手を握ると花びらが集まって薔薇の花となり、指を鳴らすと花が一斉に硬化して宝石のように変わった。
次の瞬間。
風はやみ、いくつかの宝石の薔薇だけがそこに浮き上がっていた。
「そんな……どうして……」
膝から崩れ落ちて地面に座り込む鈴音を見下ろしながら、翔太が宝石の薔薇の一つに口づけをすると宝石の薔薇は光になって消えていった。
🤍「風の支配権を、君からしょっぴーに変えたんだよ。《風花-かざはな-》って言葉、知ってる? つまり、そういうこと」
🖤「どういうこと?」
🤍「あはっ。まあいいじゃん? とにかく、事件解決だねー」
そこで、目黒のスマホに着信が入った。
🖤「はい」
💚『あ、めめ大丈夫? 調べてたらその子が犯人だって分かって、今、警察がそっちに向かってるんだけど』
🖤「さすが阿部ちゃん。今、取り押さえてます」
座り込んだ鈴音の腕や足に蔓が絡みついている。
💚『ナイスゥ。じゃあ、警察が来るまでよろしくね。めめもラウも翔太もお疲れ様ぁ』
通話が切れて、目黒はスマホの画面を見つめる。
🖤「阿部ちゃんに褒められた」
🤍「良かったねー、めめ」
💙「くっそ。俺だって頑張ったのに」
🤍「あとでちゃんと、しょっぴーの活躍も伝えるから、すねないの」
🖤「どっちが年上なんだか……」
その後、到着した警察に鈴音を引き渡し、目黒たちは事務所に戻って行った。