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夜空を彩る無数の花火達。
今夜は風も弱く、空気も澄んで、花火がとても美しく見える。
九条と一堂の親達は、雪都と花火が見られるって朝からずっとごきげんだ。
父も久しぶりに浴衣を着て、雪都に寄り添うように空を見上げてる。
「わぁ、花火、綺麗だなぁ」
小学生になった雪都の笑顔はまだまだ可愛い。
どんどん慶都さんに似てきて、ラブレターをもらったり、すでにもうかなり女の子に人気がある。
この子はいつか……九条グループの社長になる。
少し前に社長になった慶都さんの跡を継いで、未来のグループを背負っていくんだ。
まだまだ先の話だけど、でもきっとあっという間なんだろうな。
今は雪都の成長が、私の元気の源。
もちろん、慶都さんがいてくれるからこそなんだけどね。
「久しぶりだな。彩葉とこうして花火を見るのは」
「慶都さんの浴衣姿をまた見ることができて幸せです。とても似合ってますよ」
「俺、あの時みたいにドキドキしてる。初めて君の浴衣姿を見た時、どうしようなく緊張したよ。本当に……とても美しかったから」
「う、嬉しいです。私もあの時はずっと緊張してましたから。今でも忘れられません」
「ああ。2人が結婚を決めたあの夜のことは、一生の思い出だ。忘れられるわけがない」
いつまでもずっとカッコ良くて、優しくて……
朝起きてから夜眠るまで、慶都さんには毎日ドキドキさせられっぱなし。
夜には甘い言葉で狂おしく愛を囁かれ、私はいつも気持ちが高ぶる。
この腕に抱かれ、女性としての自分を何度も自覚させてもらえて……
慶都さんがいる限り、私はいつまでも女でいられるんだ。
「花火、本当に綺麗」
「君は花火に負けてない。いや、それ以上に……とても綺麗だ」
そう言って、私の肩に手を回す。
この距離感……
夫婦を何年続けていても、まだまだやっぱりドキドキしちゃう。
「あの時見た花火よりも、今日はもっと幸せだ。来年もまた来よう。きっとまた……今日以上に幸せなはずだから」
「はい。また、必ず来ましょう。家族みんなで」
夜に咲いた大輪の花は、咲いては消え、消えてはまた咲く。
しかも、たった1度だけ。
だからこそ、その美しさは格別なんだ。
儚くも消える美しい花火に心を掴まれ、それでも私は……厚かましくもずっとずっと「女」として咲いていたいと思った。
慶都さんにずっと私だけを見ていてもらえるよう、見た目も内面も磨いていきたいって。
そして、来年また「昨年より幸せだよ」って言ってもらいたい。
「次はどんな浴衣にしようか。君の浴衣を選ぶのが今から楽しみだ」
「これでいいですよ。素敵な浴衣を買ってもらいましたから」
「来年は、今よりもっと美しくなる君のために浴衣を選びたい。その先も毎年。素敵過ぎる君に見合う浴衣があるかどうかは疑問だが」
私を見てニヤッと笑う慶都さん。
どこまで私を甘やかすのかな……
だけど、あなたの言葉にどうしようもなくキュンキュンしてしまうのは、私が慶斗さんを心から愛しているから。
「うわ~! すご~い」
ラストの色とりどりな花火の競演に感動し、家族みんなが笑顔になった。
こうして、いつまでも、たくさんの思い出を作っていけたら……こんな幸せなことはないと思った。
慶都さんの妻、雪都の母、そして、1人の人間として、明日からまた、家事に子育てに、保育士としての仕事に、頑張っていける。
大好きな慶都さん、雪都。
これからもどうぞよろしくお願いします。