第8話 「碧の閃光」
🚀 シーン1:夜の包囲網
「——まだだ、追え!」
ヴェール・バインドの隊員が命令を下すと、灰色の装甲スーツを着た兵士たちが次々と移動を開始した。
暗闇の中、然(ゼイン)とナヴィスはビルの屋上を駆け抜ける。
風を切るような速さで動く二人のシルエット。
然の灰色の戦闘ジャケットの裾がはためき、ナヴィスの青い瞳が夜の光を反射する。
「ちっ……しつこいな!」
然は背後を振り返る。
ヴェール・バインドの隊員たちは、ライフ・エクスチェンジャーを起動し、超人的なスピードでビルの外壁を駆け上がってくる。
黒の装甲が月明かりに照らされ、無機質な視線が二人を捉えていた。
「ゼイン、どうする?」
ナヴィスは楽しそうに笑いながら、くせ毛をかき上げた。
「……戦うしかねぇだろ」
然は静かに息を吸い込み、腕の碧色の刻印が淡く発光し始める。
🚀 シーン2:迎撃
「来るぞ……!」
然の言葉と同時に、ヴェール・バインドの隊員が屋上へと飛び込んできた。
彼らの動きは尋常ではない。
——それは、寿命を代償に得た強化。
「ターゲット、確保する」
隊員の一人が低く呟くと、瞬時に間合いを詰め、拳を繰り出してきた。
「——ッ!」
然は寸前で身を翻し、黒のジャケットの裾がヒラリと舞う。
「させるかよ……!」
腕のフラクタルが輝き、《オーバーライド》が発動。
ヴェール・バインドの隊員が装着していた強化装置が、一瞬にして機能を停止した。
「なっ……!?」
「悪いが、お前らの“チート”は封じさせてもらう」
然は跳躍し、宙で体を回転させながら、敵の側頭部へ踵を叩き込んだ。
「——ガッ!!」
強化を失った隊員は、そのまま屋上から落下していく。
「チッ……厄介な能力だな」
残りの隊員たちが一斉に銃を構える。
だが、その瞬間——
「おっと、それはやらせねぇよ」
ナヴィスの指が弾かれた。
「《フォールトシフト》——発動!」
瞬間、ヴェール・バインドの隊員とビルの向こう側の空間が“入れ替わる”。
「なっ——!?」
突如、ビルの外へワープした隊員たちは、バランスを崩しながらもギリギリで足場を掴む。
「……ははっ、やっぱり戦闘はこうじゃねぇとな!」
ナヴィスは黒のタクティカルジャケットを翻し、青い瞳を輝かせながら笑う。
「ゼイン、こっちも行くぞ!」
「言われなくても!」
二人は一気に反撃に出る——
🚀 シーン3:碧の閃光
ヴェール・バインドの指揮官が状況を見つめ、低く呟く。
「……では、第二段階に移行する」
彼が小型のデバイスを操作した瞬間、ヴェール・バインドの隊員たちの体が青白い光に包まれた。
「っ、何だ……!?」
然が眉をひそめた。
「ふざけんな……まさか……!」
ナヴィスが険しい表情で言う。
「アイツら、寿命を更に燃やして強化しやがった!」
「……マジかよ」
隊員たちのスーツが発光し、スピードがさらに加速する。
——一撃でも喰らえば即死級の力。
だが、然は笑った。
「なら、俺もやるしかねぇな……!」
腕の刻印が、より強く発光する。
「《シンギュラリティ》——起動!」
一瞬、時間が歪むような感覚が走る。
然の体がブレるように消えた——
「——どこへ行った!?」
ヴェール・バインドの隊員が声を上げるが、その瞬間。
青い閃光が空間を裂く——
「——遅ぇよ」
然が敵の背後に出現し、碧素のナイフを閃かせた。
「——ガァッ!!」
隊員の装甲が一瞬で切り裂かれる。
「……さて、次は?」
然は青い瞳を鋭く光らせながら、ナイフを構える。
ナヴィスが隣でニヤリと笑う。
「まだまだ、これからだぜ?」
戦いは、終わらない——
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!