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<みことside>
検索欄に言葉を打ち込む。
みんな検索避けをしてるから、普通に調べてもなかなか出てこない。
だけど、マシュマロとかコメントとかで、普段のクセで隠語を使っちゃう人がいるから、そのおかげで隠語はいろいろ知ってるつもりだ。
シクフォニだったら、『🎼』とか『sxfn』とか『sxxn』とか。
おれだったら、『🎼👑』とか『💛👑』とか『🎼💛』とか。
おれはそれを片っ端から検索欄に打ち込んでいって、コメントとか、自分に関する情報を見ていく。
いわゆる、エゴサというやつだ。
『ここのみことくん好きすぎる。』
『🎼👑くんの6連チャレンジで好きなところ!』
『あれ、、、?王子、、、?ww』
そんなタイトルの動画がショートで流れてきたり、切り抜きが流れてきたり。
そこで自分がやっていること、言っていることを見て、おれはいつも恥ずかしくなる。
こんなこと言ったっけ!?、みたいなことも多くて、ひとりで悶えたりするんよね(笑)。
だけど、こういうのって、ファンの子達の嬉しいコメントとか動画ばかりではなくて。
もちろん、おれ達がどうしても気に入らないアンチの方々だったりもいる。
『自称王子とか、痛すぎww』
『は?声作ってるとしか思えないんだけどw』
『いい歳して「うわぁ!」とか可愛子ぶってる?キモすぎなんですけどww』
『声真似下手すぎだろ、これくらいならオレらだってできるわw』
人間というものは、どうしてもこういう悪いものを見ちゃう性質があるらしい。
おれだって、自分には反省点とかいっぱいあるけど、でも、やっぱりこういうことを言われたら傷つくわけで。
思わずスマホを閉じてしまう。
嬉しい声もたくさんあるけど、やっぱりこういうのもあるんだなぁって思ってしまう。
その時、コンコンコンッと部屋がノックされた。
そういえば、らんらんが来るって言ってたっけ。
「来たよー!……って、どしたの?めっちゃ暗くない?あぁ、部屋じゃなくて。何かあった?」
らんらんがおれのことを見て、心配そうな顔をする。
おれはそれを見て、無理矢理笑って見せて首を横に振った。
「何もないよ!大丈夫。」
「ホンマか?w、、、あー!スマホ!」
らんらんはそんな声を上げると、おれのところに寄ってきて隣に座った。
そして、ピッタリとくっついてきて「見せて?」と言われる。
別に何も隠すようなことはないし、と思ってロックを解除すると、さっきまで見ていた画面が出てきてしまった。
あの、アンチコメで荒らしに荒らされた画面が。
そのまま閉じていたからだろう。
慌てておれはスマホを伏せようとしたけれど、らんらんが素早く手を出しておれの手からやや乱暴にスマホを取り上げた。
そんならんらんの目は、怒っているように見えた。
そして、、、そこにあるアンチコメを片っ端から通報していき、スマホを閉じて返してくれた。
「はい、ありがと。」
「らんらん、、、何で通報したん!?」
「え?こういうのはこの場に不適切でしょ?」
「そうかもしれんけど!」
おれが言葉に詰まってしまっていると、らんらんが優しく笑っておれのことを抱き寄せた。
そして、頭をなでなでしてくる。
「聞かないでいいよ、こんなこと。みことはそのままでいい。大丈夫。誰だって、合う人と合わない人がいるよ。たまたま、この人達にとってみことが合わなかっただけ。だからといって、こういうのを公開していいわけじゃないけどね?みことを好きでいてくれる人は大勢いるし、俺らだってみことの味方だから。」
おれは、じわりと目を見開いて、そのままボロボロと泣き出してしまった。
らんらんはそんなおれを慰めるように、ゆっくりと頭を撫で続けてくれた。
***
<暇72side>
俺は、この間あげたホラーゲーム実況の評価が高いことを見て、ソファの上でにやけていた。
今、俺の家にはらんとすちが集まっている。
俺の家は聖地らしくて、こうやってよく俺の家に来るんだ。
まあ、俺から誰かの家に行くこともあるけど。
「ひまちゃん、何か嬉しそうだね。」
「まあな。この間のホラゲ実況の評価が良くてさ。ほら見て?高評価の数。」
「うーわうーわうーわ。てか、なっちゃんホラゲ苦手のによくやるよねぇ。俺は別に苦手ってわけじゃないからいーけど、苦手だったら絶対やらんよ?必要最低限以上は。」
「いやぁ、、、伸びるから☆」
俺がそんなことを言っていると、そういえば、とすちが声を上げた。
「そういえば、ひまちゃん、そろそろ歌ってみた上げないの?この間上げてから大分経つけど。」
すちに言われて、俺はピタリと動きを止める。
まあ、俺だってうたは上げたいと思ってる。
そもそも俺は一応『歌い手』って肩書きでYouTubeやってるわけだし。
だけど、俺はゲーム実況をメインでやってきたから、歌を上げたらファンの反応が怖い。
『ゲーム実況じゃないんだー?』とか『歌はいらん』とか言われたらどうしよって。
歌い手だけど。
ずーっとゲームメインでやってきたから、俺のゲーム実況目当てでチャンネル登録してる人もいるだろうし。
そういうことを話したら、2人共黙り込んでしまった。
「んー、、、そっかぁ。でもさ、なっちゃんの歌を待ってる人もいるんだと思うんだよね、俺は。いや、無理に上げろとは言ってないよ?だけど、ホントにたまにでいいから上げよって話。俺、なっちゃんのゲーム実況も好きだけど、歌も好きだしさ!なっちゃんの1リスナーとして!」
らんが、ちょっと言葉を選びながらそう言った。
「ゲーム実況も好きだけど、歌も好き」という言葉は、もう少しで俺の涙腺を攻略するところだったことは、らんは知らないだろう。
かなり心に深く刺さったことは、らんは知らないだろう。
何てったって、何とか隠しきったんだから。
***
<すちside>
ひまちゃんが、突然泣きそうになってる。
そのことに気がついたのは、きっとこの中ではおれだけだろう。
といっても、ここには泣きそうになってる本人のひまちゃんと、おれと、らんらんしかいないけど。
そういえば、相談といえばおれも相談があるんだった。
いや、相談と言える相談なのかはわからないけど。
相談、、、もどき?みたいな。
この際だし、おれも2人に意見もらおうかな。
そう思って、おれはさりげなくらんらんの視界から、泣くのを必死で堪えている暇ちゃんを隠しながら口を開いた。
「ねえ、おれも相談もどきしていい?」
「もど、、、?うん、いーよ!大舟に乗ったつもりで、リーダーに任せなさい!!」
「すち、大舟に見せかけた泥舟じゃないことを祈っとけよ。」
「わかった。」
「ん?2人共ちょっと失礼じゃないかい?」
らんらんのツッコミは華麗にスルーして、おれは自分のスマホのスクショ画面を見せる。
ちなみに、カメラロールはイラストを描くためのあられもない姿の自撮りで溢れ返っているから、絶対に見せない。
スクショ画面だけを見せて、おれは相談の内容を話した。
最近、アンチがちょっと増えたこと。
その人達は大体、おれが歌とイラストをどっちもやっていることか、おれのシャウトが耳障りだということを言っていること。
「歌かイラストか、どっちかしかダメなのかな、、、。それに、シャウトも、、、」
「は?そんなわけなくね?え?自他共に認める画力ない民から言わせてもらうと、すっちーは歌もイラストもやった方が良いよ。それに、シャウトだってめちゃくちゃカッコイイし、気にすることないよ。人間、自分にないものを人が持っていると羨ましくなっちゃうでしょ?この人達もそうなんだよ、きっと。すっちー何でもできるから、羨ましがってるだけなんだよ。誇ったら良い。褒め言葉褒め言葉、ポジティブに行こ!ねっ?」
「まあ確かに、らん並みのポジティブ思考がないと、歌い手やってけねぇからww」
らんらんの言葉にひまちゃんも乗っかってきてくれて、おれはガラにもなく、泣きそうになってしまった。
軽い相談もどきのつもりだったのになぁ、、、
おれはそう思いながら、笑って頷いた。
目に光る涙には気が付かないでほしいなぁ、と願いながら。
***
<こさめside>
『はいはーい?こさめ、どしたー?リーダーに何か頼み事かな!?相談かな!?ドンと来い!』
通話に出てくれたうちのグループが誇るメンヘラピンクリーダーのらんくんは、最初からすっごくテンションが高くて、徹夜したんだなぁということがわかった。
昼間なのにめちゃくちゃ深夜テンションだ。
このままじゃあリーダー、また目がガンギマってるせいでみこちゃんに怖がられちゃうよ。
そう思いながら、こさめは「らんくん?もしもーし」と応えてみる。
『はいはーい、もしもーし!聞こえてるよ?』
「こさも聞こえてるー!らんくん、また徹夜?」
『フッ、、、睡眠は甘え。』
「ねろ!!」
『そういうこさめだって徹夜したんじゃない?テンション高くね?あ、いつもか。』
「え!?こさめディスられた!?酷い!!」
『いつも元気でいーねって褒めたのー!!』
さりげなく誤魔化したけど、実はこさめも徹夜している。
上げようと思っていた歌ってみたの収録をしていないことに気がついて(!?)、速攻で録って、編集してたらオールしてしまったのだ。
ずっと画面見てたせいか、目がゴロゴロする。
だけど、これで歌ってみた1本完成したから、やっぱ徹夜はいい。
迫られてる時にめちゃめちゃ使える。
疲れるけど。
『徹夜は使えるけどダメだよ〜?俺が言えることじゃないけど。特に、こさめにはずっと元気でいてほしいし!寝不足でこさめの元気がなくなったら、シクフォニ全体の雰囲気が暗くなる気がするんだよねぇ。あぁ、プレッシャーかけてるわけじゃないから誤解しないで。だけど、シクフォニには1人くらいこさめみたいな元気キャラがいた方が良いと思うんだよねぇ。何てったって、シクフォニメンバーみんな陰キャだからさww、寝ろ!』
「らんくんに言われたくないー!寝ろ寝ろ!!」
『あははww』
それかららんくんとちょっと喋って、こさめは電話を切った。
もう一徹しようかなって思ってたけど、こさめの寝不足のせいでシクフォニが暗くなるのは困るからな。
今夜はちゃんと寝てあげよう。
あ、らんくんの家にいるまくん行かせようかな。
らんくん、どれだけ寝ろって言っても絶対徹夜するだろうからね。
***
<いるまside>
こさめに言われて、オレはらんの家に行くことになった。
面倒だったけど、まあらんが徹夜のし過ぎで倒れられても困るしな。
らんの家のインターホンを鳴らすと、中かららんのテンションの高い声が聞こえてきて、鍵が開いた。
「はいはーい、どちら様、、、って、いるま!?」
らんはオレを見て驚いたような顔をする。
てか、今夜8時だけどやっぱり起きてた。
しかも、ブルーライトカットの眼鏡して、今夜も徹夜する気満々じゃん。
オレは「お邪魔しマース」ととりあえず声をかけてらんの家に上がる。
やけにものが少ない家の中に入り、オレはリビングの机の前にドカッと座ってらんを見た。
うっすら隈ができていた。
「突然の訪問だね。どしたの?」
「いや、こさめにらんの徹夜の最高記録更新止めてこいって言われたから来ただけだけど?」
「あはは、だからアポなしだったのね?w」
らんはそう言いながら、オレに麦茶を出してくれる。
カラカラと氷の入ったコップを出され、オレはひとくちそれを飲んで再びらんを見た。
らんは何故かオレの隣に座っており(最近、寝不足からか距離感バグってる)、スマホを見ていた。
その顔には何の感情も浮かんでおらず、無表情だった。
チラリとスマホを盗み見て、少しだけ目を細める。
らんは、エゴサをしているようだった。
そして、らんが今見ているのは、アンチコメばかり溜まっているところ。
以前、オレはらんに恥をかくことを覚悟でアンチについて相談したことがある。
その時は、「アンチコメなんて気にしてたらキリがないってww」と笑い飛ばされて慰められたのだが、、、
「お前、やっぱアンチ気にしてんじゃねぇか。」
オレが言うと、らんはビックリしたようにオレを見た。
その隙にらんの手からスマホを奪い取り、ニヤッと笑ってスマホを掲げて見せる。
「こんなもん気にしてたらキリがねぇんじゃなかったん?」
「ちょっと!返して!」
らんがオレの問いに答えずに、オレが持っている自分のスマホに手を伸ばす。
腹の立つことにオレはこいつよりも身長が高くない上に、この距離感。
すぐにスマホは奪い返されたが、その代わりにオレはらんの身体を抱き寄せた。
そして、らんの後頭部を押さえて自分の肩口にらんの顔を押し付けた。
「慰めようとは思わんけど。無理すんなよ。泣きたい時は泣け。誰見てねぇから。」
らんは少しの間オレの服を掴んだまま硬直していた。
だが、しばらくすると、らんはオレの服を掴んだまま肩を震わせ始めた。
すすり泣きはしんどいだろうし、別にオレ的には声を上げて泣いてくれても良かったんだが、それはらんの中の『リーダー』としてのプライドが許さなかったのだろう。
しばらく泣かせ、やっと落ち着いたらんの顔を上げさせると、泣きすぎでらんの瞼は腫れぼったくなっていた。
それに気がついてはいたが、オレはあえてそれに触れずにニッと笑って言った。
「何も食ってきてないから腹減ったわ。Uberでも頼む?お前は何食いたい?」
いつも通りに振る舞う俺を見て、らんは少しだけ目を見張り、そして、オレが開いたUber Eatsのアプリの画面を覗き始めた。
「これは?」
「却下。カロリー高いわ。」
「えぇ?じゃあ、、、、これ!」
「お前カロリー見てる?」
オレがカロリーを理由にバッサバッサ断ると、らんは不満気に唇を尖らせた。
だけど、俺もそれを真似して睨みつけてやると、らんはそれがおかしかったようで、プッと吹き出した。
その笑顔はもう『完璧なシクフォニリーダー』ではなくて、純粋無垢な『LAN』の笑顔だった。