💚side
病院から家に帰ると、翔太の置いていった荷物が目に入った。携帯には何度も翔太からの着信があった。LINEの通知も100を軽く超えていた。メッセージを開かずに、携帯をテーブルの上に置いた。
💚「引っ越そうかな」
少し前に翔太と暮らせるマンションを探そうと何度か不動産会社のホームページにアクセスしたことを懐かしく思い出す。そんなに前の出来事じゃないのに、こうなった今では遥か昔のことのように感じられる。
その頃はメンバーに俺たちの仲を知られる前で、翔太は同棲を嫌がっていたけど、今一緒に暮らしたいと言ったら絶対に「うん」というに違いない。
涙が零れた。
翔太のことが好きで、一緒にいたい。その気持ちは変わらないどころかますます強くなっているのに、今、翔太と一緒にいたら迷惑しか掛けない。
それは俺としては何としても避けたかった。あの小森という男との示談が成立して、一時は危機が回避されても、あの男があの番組にいる限り、翔太を俺のもとに呼び戻すわけにはいかない。
また、それとは別にテレビ局内の話し合いも気になった。不問に付す、とは言ってくれているものの、プロデューサーから正式な連絡はまだ来ていない。翔太が乱暴されたことが事実かどうか確認を取っているのだろう。あの男が素直に自分の非を認めるとは思えなかった。
携帯が鳴った。照だった。俺は少し考えてから電話に出た。
💚「もしもし」
💛「阿部、大丈夫か?俺たちに何かできることはないか?」
💚「どこまで聞いてんの」
💛「翔太がスタッフに襲われそうになって、阿部がめちゃめちゃにそのスタッフを殴ったところまでだ」
💚「そう」
💛「翔太、見てらんねぇぞ」
💚「照。俺はまだ執行猶予みたいなもんだ。翔太には会えない」
💛「そうか」
💚「だから、照。悪いけど、翔太のそばについてやってほしい」
💛「……いいのか?」
電話口で照が迷うような気配を見せた。
俺だって嫌だよ。嫌だけど、今は仕方ない。他に頼れるやつがいない。
💚「翔太に手を出すなよ」
💛「出すかよ」
💚「でも、もし俺が戻れないときは…」
💛「つまらないことを言うな。必ず戻るって約束しろ」
💚「……そうだな。必ず、戻るよ」
💛「執行猶予でもなんでも、罪が確定するまでは俺たちは仲間だ。グループLINEくらい開けろ」
💚「わかった」
電話を切り、言われた通りグループ画面を開いた。メンバーから俺たちへの励ましの声と、ちょっとした近況報告など、そこは以前と変わらない、温かい雰囲気のままだった。
俺は、メッセージを打った。
💚『迷惑かけてごめん。次の収録で会いましょう』
しかし、その収録はやって来なかった。
コメント
7件
辛いーーーーー😭😭 私の推しペア復活しろー!!!💚💙
えっえっ辛い辛い🥺🥺🥺2人ともかわいそすぎて胸が痛い🥺🥺🥺