実は王宮で開催された華やかな舞踏会で会うことができなかった人物がいる。俺は彼女と再び会いたいと強く願っているが、最悪なことに彼女は俺のことを多分嫌っている。一方で、少なくとも彼女がそう思うのは当然ではあると思う。アルヴィアン夫妻の死後俺は彼女との婚約を一方的に打ち切って、俺は彼女やその周辺との関わりを拒絶。真実を探求することに危険な道を歩むことを決めた俺にとっては、彼女を守るために必要なことではあったが、その結果として彼女を苦しめたし、彼女の家族からは俺は嫌われているのだろう。でも彼女のことを忘れるなんてことはできなかった。なぜそれを思い出しているかといえば、彼女が俺とブルックスの前にいるからだ。
「レイチェル、久しぶりだ。10年振りだろうか?」
「ええ、そうね。また会えて嬉しいわ。ところで隣の彼女は?」
彼女は俺のお気に入りの微笑を浮かべてそう答える。
「彼女はブルックス・ハミルトン。隣国からの留学生。王女だけどそのことは気にしてほしくないそうだ。ブルックス、こちらがレイチェル・パンタナール。パンタナール伯爵家の出身。昔からの知り合いなんだ。」
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