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レッスンの終わり。シャワーを浴びたあと、髪を拭きながら、いるまはちらっと視線を向けた。
🎼📢「なあ、らん……最近、家に帰ってる?」
🎼🌸「えっ? なに、急に」
らんは笑ってごまかそうとする。
でもその声には、わずかな揺れがあった。
🎼📢「お前、昨日もコンビニ弁当だったろ。3日連続じゃん」
🎼🌸「……あー、たまたま。うちの冷蔵庫、壊れててさ」
🎼📢「それ、2週間前も言ってなかった?」
🎼🌸「……」
沈黙が落ちる。
🎼📢「あとさ、お前の“保護者”の連絡先、事務所に書いてあった番号な。
この前の書類で確認してたら、もう契約切れてるガラケー番号だったよ」
🎼🌸「……っ、見たの……?」
🎼📢「お前がウソついたときの顔、すぐ分かる」
冗談めかして言いながら、いるまはらんの前に立ち塞がる。
🎼📢「家に……帰ってないのか」
🎼🌸「……帰りたく、ないだけだよ」
らんはようやく、目を逸らしたまま口を開いた。
その声はとても静かで、どこか震えていた。
🎼🌸「うち、双子の弟がいてね。なっちゃんとみこちゃん。
ふたりとも、俺の親にすっごく可愛がられてて……
でも俺は、あの人たちにとって……“おまけ”だった」
🎼📢「……それって」
🎼🌸「なっちゃんたちに嫉妬とか、そんなのじゃないんだよ。
ただ、あの家にいると、どんどん“自分がいらない人間”みたいに思えてくるの。
……いるまは、わかんないよね」
静かな、刺すような言葉だった。
けれど、いるまは一歩踏み出した。
🎼📢「わかんねえよ。でも、お前が“今”、震えてんのは見える」
🎼🌸「……っ」
🎼📢「俺んち来い。今夜、泊まれ」
🎼🌸「えっ……」
🎼📢「今はマネージャーでもなんでもねぇ。
ただの……お前が泣きそうなのに黙ってられない人間として言ってんだよ」
その瞬間、らんの目からぽろりと涙がこぼれた。
🎼🌸「……ありがとう、いるま」