ぼくたちは神様……神王様の元へ行く。
みずちゃんは神王様の豪華な姿に驚いているようだ。
ぼくも最初はおどろいたよ、ぎっらぎらだもん←
「新王様、新しく参りました娘でございます。名前を……」
「ちょっと耳塞ぐねみずちゃん」
「えっあっはいっ?」
ぼくはみずちゃんの両耳を両手でそっと塞ぐ。
「名前を巫瑞希、と申す者です」
「ふむ、巫瑞希か。予定よりちと早いな」
「娘が早く逝きたいと申したので、ぼくが早めました。勝手な行動をお許しください」
「いや、我がそなたにその権限を与えたのだからな。よいよい」
「寛大なお心に感謝致します」
そう、本当は担当人の命日を早めるなどという勝手な行動は天界ではタブーとされている。
ぼくは長くいるが故、許しを貰えたのだ。
これが新人ならどうなったことやら……()
「そろそろ耳を離してやれ、可哀想だ」
「あっ、申し訳ありません。るい、離してやれ」
「うん」
「えっあっえっ」
なぜ名前を聞かれてはいけないのかというと、名前を聞くと逝く前のことを思い出して発作を起こしてしまう者や、帰りたいと嘆く者がいるからだ。
「あっ、えっと……私はどうすれば……?」
「そうだな……そなたはどうしたいのだ?」
「えっ、わっ私は……な、何でも……」
「みずちゃん、なんでもはちょっとダメかな〜。死後くらい自分で決めないと!新王様も怒っちゃうよ〜?」
「こらにこり、失礼だぞ」
「はっはっはっ、にこりは口が達者だからな!あまり度が過ぎるとその口をあかないようにしてやるぞ?」
「……し、神王様が仰せになると冗談にならないですのでおやめ下さい……」
「はっはっ、我は幼なじみを無下にするほど心狭いものでは無いぞ」
「んんっ、お話中のところ失礼しますが、娘の行き先を決めねば……」
「あっあのぉ……」
「おっ?なんだ娘、決まったか?」
「決まったというか……あの、ずっとここに居たいんですけど……」
「なるほど、領域で暮らすとな?」
「いやえっと……たまに現世に戻ることは……できます、か?」
「ほぉ……これはこれは、随分と物願いが多い娘が来たものだな」
「す、すみません……」
「いや、よいぞ」
神王様って、失礼って言葉を知らないのか(この言葉が一番失礼で草)