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※このお話を読むときのポイント💡
情景や、登場人物達を自分の自由に想像しながら物語を読むと、より楽しめますよ♪
第四章 3人で
…………
なんでこんなことに……
今の状況を一言で説明するならば
地獄、だな
何故なら___
『おい、琉生!聞いてるのか〜?』
〈そうだよ〜??〉
はぁ…、最悪だ
今は昼時
本来ならば僕は一人屋上でご飯を食べているはずだ
なのに__
『琉生〜!』
『一緒に飯食いに行こうぜ!ニカッ』
いつも誘われていた
だが、いつもは声をかけられる前に移動していた
だから今まで平穏にご飯を食べられていた
そしてもっと最悪だったのが___
〈ねぇねぇ!〉
〈私も一緒に食べていい〜?〉
げ、
来なくていい奴も来た………
『もっちろんだぜ!』
えぇ〜……、
いいよ……、
というかぶっちゃけ清水も来てほしくない……
なんて、言えないんだけどね
そう、話をしていたら他の女子生徒が日比谷さんに話しかけてきた
〚ねぇ〜、夕華ちゃん?〛
〈ん?なに〜?〉
〚私達とお昼ご飯食べよって話してなかった?〛
〈そんな話したっけ…?〉
〚したよ〜!〛
〚だからソイツらとじゃなくて私達と食べよ〜!〛
うわ…、めんどくさ…
てか、さり気なく暴言吐いてる……
日比谷さんどう答えるんだろ……
僕は全然一緒じゃなくてもいいんだけどね、
〈うーん…、おかしいなぁ…〉
〚何が?〛
〈私、”うん”って、”OK”って答えたっけ?〉
〈それなのに、貴方達と食べなきゃいけないの?〉
〈約束もしてないのに?〉
〈それにさ?他人の暴言なんか吐くやつらとご飯なんて食べたら、〉
〈美味しいご飯が不味くなっちゃうよ〜〉
〈だから絶対やだ!w〉
〚なっ…、〛
〚ふんっ…、もういいよ!〛
ひぇ…、強い…
大丈夫なのかな……
あの人達このクラスのリーダー的な人達だからな…
〈さ!行こ!〉
『お、おう…』
あんなに強気な清水ですら、少し驚いてる
__いや、少し引いてる…の方が合っているかな
そんなこんなあって今に至る___
〈涼の卵焼き美味しそ〜!〉
『へへ!そうか〜?//』
『母さんが作ってくれてんだ!』
〈お母さんお料理上手なんだね〜!〉
なんて、何気ない会話をつらつらと話している
僕は会話に入れない
いつも通りだ
大丈夫。慣れているから
そう…なのに…
二人と話したいって思ってる自分がいる__
〈ね!琉生!〉
「…え…?」
『おいおい〜、聞いてなかったのかよ?』
「え、ごめん……」
そりゃそうだろ、聞いてるわけないじゃないか
自分には関係のない話聞いて誰が得をする?
___で、何の話だったのだろう…
『今日も花火大会があるだろ?2日連続で』
『そこに、三人で行かねぇか?って話だ!』
え…、僕が行っていいの…、?
僕なんかが二人の横を歩いて行っていいの…?
「___僕も行っていいの……?ボソッ」
消え入りそうな声で話した
誰も聞いてはくれない
___って思ってたのに…
『あったりめぇだろ!』
『俺は三人で!行きたいんだ!』
〈私も!二人と一緒に行ってみたいなぁ〜!〉
返事…してくれた…!
聞いてくれた
僕の声を、気持ちを……
「…うん…!」
そして僕は快く返事を返した
___というか、さり気なく僕らの名前呼び捨てにしてる……
さすが陽キャ…
第五章 林檎飴
〈あ!きたきた!〉
『遅いぞ〜』
仕方ないじゃないか……
出かけるときに浴衣がほつれて直していたんだから
ただ、何も言わないのは気に障るかもしれない
だから僕は無難にごめん。とだけ答えて三人で並んで鳥居をくぐった
神社の鳥居は昨日と同じ
いつもと違う雰囲気を醸し出していた
そして昨日の通り境内は人混みで溢れていた
〈うわ〜、人多い……〉
『そりゃそうだろ、昨日もそうだったし』
〈え!昨日涼と琉生、一緒に来てたんだ!〉
『まあな!…っと、さっさと買うもん買って場所取りしようぜ!』
〈あ!それならいいところがあるよ〜!〉
__昨日のところだろう
あの…草むらが広がっているところ…
嫌だな…、行きたくない
今すぐにでも駆け出して帰っていきたい
でも、またもや清水が僕の浴衣の裾を掴んで離そうとしない
ありがた迷惑だよ……
〈ねぇ、なんで涼は琉生の浴衣の裾を掴んでるの?〉
……たしかにそうだ
でも、大体検討はついている
恐らくは、僕が逃げないようにするためだろう
続けて清水は答えた
『だってコイツ、人混みが苦手でよ』
『掴んでないと、はぐれちまうだろ?』
『そうなったら寂しいじゃねぇか』
___え?
そんな理由だったの…?
僕はてっきり___
…たしかにこの人混みの中はぐれてしまったら
僕はどうなるかわからない
逃げ出すかもしれないし、人とぶつかって騒ぎを起こすかもしれない
そう…、清水は思っていてくれたのかもしれない
清水の本当の意図を知って
なんだか、清水が握る僕の黒浴衣の裾が暖かく感じた
〈なるほどね!じゃあ私も琉生の浴衣の裾掴も〜!〉
え、嫌なんだけど
僕は、”え”とフリーズしつつも流されて
三人で並んで境内の奥へと進んでいった
僕はこのキラキラ世界から一刻も早く抜け出したくて
晩御飯のたこ焼きとラムネソーダを買ってあの場所へ行こうとしていた
___が、不意に後ろから肩を叩かれ、声が漏れそうなのを必死に抑え、振り返ると
顔を困らせた日比谷さんが立っていた
「ど、どうしたの…、?」
おどおどと声をかけると、日比谷さんは
〈うぅ…、食べたいもの多くて買っていったら手に持てなくなっちゃったぁぁぁ…!!〉
は?
何やってんだよ…と、心のなかでツッコミながらも、僕は無言で日比谷さんの荷物を持ち上げた
そんな涙目になって話しかけてこなくても……
って思っていたけど、実際彼女にとってはそれくらいのことだったのだろう
___僕にはわからない
いや、わかってたまるものか…
そして、魔の草むらを抜け清水の元へ
『お〜、やっと来たか!』
『おっせぇぞ〜』
〈ごめんごめん〜〉
『うぉ!というか夕華めっちゃ買ったなww』
〈いいじゃん!だって全部美味しそうだったもん!〉
『まあ、いいけどよ、w』
『全部食えるのかよ?w』
なんて話しているが僕の耳には届かない
僕と二人の間に壁があるみたいだ
何も聞こえない
いつか…、いつかこの壁を壊して
向こう側へ行ってみたい
そう思ってはいるものの踏み出せずにいる
そんな僕が嫌いだ
〈ねぇ!〉
不意に話しかけられた
今度は大丈夫
冷静に返事ができる
「どうしたの?」
〈これあげる!ちょっと余っちゃいそう…w〉
日比谷さんの手に握られていたのは
真っ赤な真っ赤な林檎飴だった
〈私これ大好きなの!〉
「え…、なのにくれるの…、?」
僕は率直な疑問を投げかけた
〈うん!好きなものを共有できるのは嬉しいから!〉
___そういうものなのだろうか
僕には日比谷さんの気持ちが理解できない
___でも
でも、少しだけ胸の内が暖かく
黒い背景に花火が灯るような
明るい気持ちになっていた
溜め書きしてたやつ…!
気づいたら3000字以上……
びっくりでした…
たくさんのハート、コメントありがとです!
次回もまた会いましょう!
では!
「」=早海琉生
『』=清水涼
〈〉=日比谷夕華
〚〛=女子生徒
[]=先生(前回)
NEXT➸♡60
第六章 テスト
イメージ画
日比谷夕華
早海琉生
清水涼
こちらは3人のイメージ画です!
イメージなので、自分の好きなようにキャラを考えて当てはめて読んでもOKです!
イメージしにくい方は、こちらを使ってね♪
コメント
2件
え、天才?