初めに
・しょっぴーの「先生さようなら」の出演が決まったため、書いています
・(上記)のため、テーマはしょっぴーの「先生さようなら」です
・キャラ崩壊
・これらが大丈夫という方のみ
女子生徒に人気な翔太先生への想い
「○○」 『💙』
私には特別才能がある訳でもない
学力は普通
運動神経も普通
顔も普通
そんな私はこの前、二者相談が行われた時に、部活動に入ることを勧められた
どうやら内申書に書くことを増やせという間接的なメッセージみたいだ
それもそうだ
検定を他の人より特別持ってる訳でもなく、本当に”普通”な内容しな書けないんだから
私は今高校3年生
もう卒業も、大学受験も近い
今は4月で、この1年間の頑張り次第で内申書の内容も変わってくる
だから、受験勉強の息抜きに、ということで、部活に入ることにした
今更、遅いだろと親にも言われたが、何もしないよりはいいはず
毎日絵の練習に行くつもりは無い
塾の授業が遅く始まる日には、ちょっと美術室に行って少し活動しようかと思ったという訳だ
まぁ、元々部活入るつもりなんて、これっぽっちも無かったのにさ、、、
渡辺先生がほんとに勧誘してくる
『○○さん、この前の二者相談で部活はいること勧められたんでしょ?』
「なんで知ってるんですか笑」
『○○さんの担任の××先生が、女の子でも入れる文化部の顧問に○○どうですか!!!って言い回ってたよ笑』
「ははっ笑」
あいつ、それで渡辺先生にも伝えたのか
『てことで、どう?美術部』
「え、私絵下手です」
「小学校の時なんか、6年間評価2でしたよ?」
「出来栄えとか気にせず、とりあえず提出した感半端ないようなものばかりで」
『美術って言うのは、上手下手で決めるようなものじゃないよ』
『好きか、嫌いかで決めるものだから』
…好き
「まぁ、でも、下手ではありましたけど、嫌いではなかったです…」
『じゃあ、もう入部でいいね!』
「えっ!そんな!」
『大丈夫、○○さんのことはちゃんと俺が指導するから』
『それに、俺、美術つっても彫刻とかの方が専門だからさ、絵は結構下手だよ?笑』
「そうなんですか?笑 」
『画力なら生徒に負けてるかも笑』
そんな会話を交わしてくうちに、先生が私のことを入部させようと絡む回数も比例して多くなった
それに負けて入部したってわけ
私は、『○○さんのことはちゃんと俺が指導するから』という言葉を信じてなかった
どうせ入ったらそっちのもんでしょ
入ってくれさえすればそれでいい、
ほかのみんなと同じように扱い
そうなると思ってた
なのに、、、
『お、結構上達してきたじゃん!』
『○○さんって、結構画力あるじゃん!』
「そうですか?笑」
『ほんと!結構上手になってきたよ!』
『入ってきた時には何かわからないもの描いてたのに笑』
ずっと私の事を1番に見てくれてた
入ったその日から、ずっと私の作品を見て、アドバイス、褒め言葉、色んな言葉を作品と私に吹きかけてきてくれた
なんで?
そんなことしたら…
勘違いしちゃうじゃん…
夏休みに入る前の最後の美術部の活動
渡辺先生は部室に来るなり、部員全員に宿題の説明をした
内容は、ポスターコンクール
幾つかあるうちの1つに作品を応募することが、部活としての夏休みの宿題らしい
だから、私はテーマ”忘れられないあの横顔”
このポスターコンクールに応募することにした
もちろん描くのは…
日が暮れてきた
時計の針は18時を指してる
部活動は基本、17時30分まで
女子生徒が多い文化部や、運動部の女子チームの練習などは、基本、早めに終わるように決められている
帰り、不審者に遭遇するケースが増えてきてるらしい
だが、私は残り続けた
1人でポスターの下書きなんてしたら、上手く描けない
だから、せめて夏休みに入る前に先生からポスターの下書きのアドバイスを貰って、完璧な状態で持ち帰りたかった
今年の美術部は、夏休み期間は美術室が閉鎖されることになった
美術室のエアコンが故障してしまったからだ
あんな真夏にこんな部屋で絵を描いたら、間違いなく熱中症になってしまう
だから、”今年は”夏休み中の活動は無し
私には、
今年
しか無いのに…
『あれ、○○さん』
「あっ…」
『もう活動は終わってるんじゃ?』
「あ、あの、休みでは先生に指導して頂けないので、アドバイス貰って帰りたくて」
『あー、そゆこと笑』
『いーよ、ポスター、広げて』
『電気付けてくる』
そう言って、私を照らしてた懐中電灯を床に当てながら、電気のスイッチがある壁へと先生が向かう
『うん、いーね』
『ここも上手く描けてるね 』
気付いてくれた
私が1番力を入れたところ
私が見惚れた鼻筋
『んー、おっけ!文句なし!』
「ほんとですか!」
『笑』
「…?」
『結構警戒心も解けてくれたみたいで嬉しいよ』
「… 」
『最初、覚えてるかな?笑』
『俺が入部を迫った時にさ、うわ、またあの先生来たよ、みたいな顔してたの』
『確かに自分もしつこすぎるかなって思ったりはしてたけど笑』
『今や、俺からの指導待ちでこんなくらい部屋に1人で待ってたんでしょ?』
図星だ
確かに、何人かの先生にもう帰るように促されながらも、渡辺先生からの指導が欲しいことを口実に、残り続けた
「すみません…」
『いーよ、笑』
『でも、もう辞めなね』
『女の子が1人でこんな遅くに帰るのは、教師としても心配だし、おすすめしない』
「はーい」
『反省しろよー笑 』
『てか、今日もう遅いし、車で送ろっか』
「え」
嬉しい
先生が普段見せない、プライベートな空間
それが車内だから
そんな姿を見れるのは、特別な存在だから
『あ、ごめんごめん笑普通にキモかったな笑今の発言 』
「いえ、あの、可能なら、送って頂けると嬉しいです…」
『そう?じゃあ、いーよ』
「ありがとうございます」
『じゃ、職員室に行って荷物まとめてくるから、外で待ってて』
「はい」
『お疲れ様でしたー』
『お先失礼しまーす』
職員室から出てきた先生は、いつもの姿とは違った
いっつもスーツに黒いネクタイ、メガネをつけてるくせに
もう仕事がないからか、私服と思われる服に着替えている
紺のパーカーにゆったりしたズボン、メガネもコンタクトに変えて、いつもパーマをつけてしっかりしていた髪も、ぐしゃっと崩してある
いかにも、”オフ”って感じ
『ごめんごめん、それじゃ、行こっか』
そう言って、センター分けの頭を前からかきあげ、くしゃっと前髪を崩す
『あ、ちょっと待ってね、車の中、結構汚くてさ笑』
いつも、生徒が使った鉛筆は部活終了後にカッターで削り、丁寧にメーカーや濃さで分けて棚に直しているような先生
なのに、車の中は散らかっているという事実
こんなことすら、私しか知らないんだと考えると、特別感が増す
『おっけ、どーぞ』
そう言って、助手席のドアを開けてくれる
こんなことすら、特別
『○○さん家って、どこらへん?』
「私、○○区の×丁目付近です」
『あー、△先生の家と近いんだ!』
『それなら任せて!あの辺、俺詳しいんだー』
学校一美人の、あの先生の名前が先生の口から出る
「先生も、あの地区なんですか?」
『いや?逆方向笑』
「そうなんですね笑」
家とは全く違うくせに、△先生の家の近くに詳しいんだ
じゃあ、先生のことも送ったことあるの?
そんなこと聞けない
『ねぇ、○○さん』
鼓動が早くなる
『あのポスターさ、俺に似てない?』
「そうですかね?」
『あれ、その反応、違った感じか笑』
『恥ずっ、俺なんか自意識過剰みたいじゃん』
「笑」
『○○さんがポスターに描いてたあの横顔、誰がモチーフ?』
「秘密です笑」
『えー、教えてよ笑』
「嫌ですよ笑」
そんな会話が、何よりも幸せ
先生の意識が、私だけに向いている
ここは美術室じゃない
美術室でもなければ、部員の人も一人もいない
つまり、気にかける人は私のみ
こんな空間が、ずっと続いて欲しい
「ていうか、こんなこと、していいんですか?笑」
『んー、だめー笑』
『バレたらクビだー』
『クビは逃れても、間違いなく謹慎だー笑』
『だから、俺ら2人の秘密な笑』
「はい…」
また、そうやって思わせぶりなこと言うんだ
勘違いするから、辞めてってば
でも、”俺ら2人の”とか、私が特別な存在みたい
だから、その言葉はちょっとは嬉しい
『あ、そこの信号曲がったら着くよー 』
『降りる準備してね』
「はい…」
あーあ、いっつもバスと電車乗り継いで1時間以上かけてくるあの通学路が、あなたといると体感5分に感じる
もっと家が遠ければいいのにな
全部の信号が赤で、車と一緒に私たち二人の別れも止めてくれたらよかったな、とか、どうしようもない過去のことを想像する
赤信号の光で、赤くなった先生の横顔を見る
首のネックレスが反射して光る
先生はネックレスをパーカーから外に出した
指輪に通したネックレス
ネックレスから指輪を外して、その薬指に付ける
「先生、結婚されてたんですね…」
『あー、そっか、皆には言ってなかったか』
『あっ、これもさ、』
『俺ら2人の秘密で』
『はい…』
こんな2人だけの秘密、いらない
先生に今まで貰った特別なもの
その中で、こんな秘密事、1番要らなかった
知りたくなかった
あーあ
車から降りて、
先生は窓のドアを開けて、
『じゃあ、気をつけて』
『作品、提出してくれるの楽しみにしてるよ』
「はい、ありがとうございました」
夏休みも終わり、ちょっと大きなポスターの紙をクルクルに丸め、
通学バックからはみ出してしまった状態で学校へ向かう
夏休み明け1番の登校はいつもより早めに行った
そして、学校に着くなり、私は教室に向かう前に、まっすぐ職員室に向かった
「3年×組の○○です。渡辺先生いらっしゃいますか」
奥から先生がやってくる
『おー!久しぶりー!どうした?』
先生には、奥さんがいる
もう、諦めるしかない
「これ、提出しに来ました」
『ん、ポスターね』
『でもこれ、部活の時にみんな出すことになってるから、』
『部活再会は、明後日の放課後だからその時に』
「今がいいんです」
先生は驚いてた
でももうどうだっていい
指示に従わない悪い生徒とか
目上の立場である先生に歯向かう生徒とか
どうとだって思われていい
だって、もう私は特別な存在じゃない
『分かった…なんかあったのか?…』
心配しないで
私だけに、今、先生の意識が向いている
過去の私はそれだけで幸せだった
でも、もう今の私は違う
「なにも、無いです」
『そうか、』
『なんか会ったなら聞くからな』
「ありがとうございます」
「大丈夫です」
「それじゃ、」
「先生さようなら」
『…?』
私は、そのまま先生にポスターの宿題を提出した
作品タイトルは、”初恋が消えた夏休み”
もちろんモチーフは、渡辺先生
私はその、大好きだった先生の横顔のポスターと、退部届を提出した
コメント
3件
う" ぁ ~ !! 好き ~ !♡ てか 、地味に泣けてくる🥺💕︎︎
えぇもうほんとになんでこんなに良い作品が書けるんですか!?! もうほんとにるなさんの作品が大好きでるなさんの前垢の頃からずっと見ててほんとにずっと応援してます🥺 もしなるさんのファンマークとかあったら付けさして欲しいのですが、ありますか、!?