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愛される幸せを噛み締めながら…
朝を迎えた
早朝、電話が鳴る
母からだ
「美優!お爺ちゃんが…」
「え?」
寝ぼけながら、母の声に耳を傾ける
「何?どうしたの?」
「…お爺ちゃんが…息を引き取ったの…」
「えっ!何?どうして?」
隣りで洋平が、「美優?どうした?」
「お爺ちゃんが…お爺ちゃんが…息を引き取ったって…」
「え?ちょっと、変わって!」
「もしもし…」母と洋平が電話で話してる
美優は、ただただ、ボーっとして、何がなんだか…
「分かりました。」
電話を切る洋平
「なんだって?」
「美優、お爺ちゃん、急変して…また、心筋梗塞が起こってしまって…」
「嘘でしょう?あんなに元気だったじゃない!
2週間したら退院するって…」
「美優…」と、美優を抱きしめる洋平
「嘘だよ!どうして?なんでよ!お爺ちゃん!どうして1人で逝っちゃうのよ!」
涙が溢れて止まらない美優
ぎゅーっと抱きしめる洋平
「とにかく、用意して会いに行こう。」
ボーっとしたまま
受け入れられない美優
「ホントに、お爺ちゃん、死んじゃったの?」
「美優…」
時々、涙が溢れる美優を、その度に抱きしめる
ずっと泣いたまま、ゆっくり準備をする
「会いに行こう」
洋平は、実家に電話を入れ、会社の人には、とりあえずメールし、詳細は後ほど…とだけ連絡した。
ここちゃんの用意もして、美優の身支度を手伝って、 出かける準備をした。
とりあえず、急いで病院へ
父と母、祖母が病室に居た。
早朝、病院からの電話で駆けつけたものの、
すでに息を引き取っており、心肺蘇生をするも、 戻ることはなかったらしい。
「どうして?」
美優は、まだ納得出来ないでいる。
「お爺ちゃん!起きてよ!2週間後に退院するって言ったじゃない。楽しみに待ってたんだよ。 また、電話で話せると思ってたのに…顔を見られると思ってたのに…どうして…」
「ホントに急に…」お婆ちゃんも泣いている。
「美優たちにも連絡しようと思ったんだけど、ここちゃんが居て大変だと思ったから…間に合うようなら呼んだんだけど、すでにね…」と、母
父が「親父、お疲れ様…」と、お爺ちゃんに声をかけた。
医師の臨終確認は、すでに終わっていて、
「葬儀屋さんのお迎えをお願いしてもらってください。着替えは、どれになさいますか?よく気に入って着られてたお洋服などがありましたら…」
淡々と告げられる。
「退院時に着て帰ろうと思ってたお洋服を…」と、 お婆ちゃんが渡す。
父は、葬儀屋さんに連絡し、「1時間後にお迎えに来てくださる」と…
それに、合わせて身体が固まる前に、綺麗に整えてくださる看護師さんたち。
ようやく美優は、受け入れざるを得なくなり…
淡々と進む、その様子を見ている。
「美優、もうすぐお迎えに来てくれるよ。お爺ちゃんと話して」
洋平に促され、ベッドで、優しい顔のまま
まるで眠っているような、お爺ちゃんの顔に触れ
「冷たいね…
優しい顔だね。お爺ちゃん、ありがとうね〜」
それだけ言ったら、また涙が溢れて、何も言えなくなった。胸の上で合わせられた手を包むようにして、
「ありがとう、ゆっくり休んでね。」
もう涙と鼻水でマスクは、ビショビショ。
『お爺ちゃん、いっぱいいっぱい、ありがとう、 どうぞ安らかに…皆んなのこと、見守っててね』
そう、心の中で告げ、手を合わせた。
呆気なくて…悲しくて…
半分、受け入れられないまま
葬儀の準備が進む
実家へ移されたお爺ちゃん
車に乗り実家へ向かう
ここちゃんに、「ママ」と言われ、我に返る。
「ここちゃん、寂しいね、お爺ちゃんにバイバイしなきゃね」また、涙が溢れる
運転しながら、手を握ってくれる洋平
「ホントに素晴らしい人だったな。」
「うん…」
「きちんと、見送ろう。」
「うん…」
会社との連絡は、全て洋平が行なってくれた。
お婆ちゃんが高齢ということもあり、
父が喪主を務め、バタバタしていたからだ。
実家でも、布団の上に寝かされたお爺ちゃんの
傍らに座り込み、ジーっと見ている。
顔に布をかけられていたが、美優は、まだ顔を見ていたかったから、布を外し、眺めていた。
いろんな想い出を思い出していたのだ。
お爺ちゃんには、とても可愛がってもらった記憶しかない。
女の子の孫が美優しか居ないから、
とてもとても可愛いがられていた。
小さい頃は、お婆ちゃんと3人で出かけたり…
買い物に行って、目にしたおもちゃが、どうしても欲しくて、お爺ちゃんにせがんで…
お爺ちゃんは、優しいからすぐに買ってくれた。
毎週のように買い与えるから…
家に帰ると、「また、甘やかして!」と、
父と母に怒られて、ちょっと悪いことをしたなぁ〜と、幼いながらに、思っていた。
『お爺ちゃん、ごめんね』
就職する時も、やっぱり、お爺ちゃんに相談して、 父が居るから、同じ会社?って一瞬、悩んだけど、 お爺ちゃんが、
「ウチの会社においで!」と、
勧めてくれた。
仕事熱心で、上司からも部下からも、頼りにされ、 愛されキャラだった。
もちろん、仕事に不真面目な人には、厳しいけど、 頑張ってる人には、失敗しても、叱らず、
「失敗は、成功のもと!失敗して成長する!」
と、笑いながら、エールを送る
だから、皆んなお爺ちゃんを慕うんだ!と思った。
洋平も、素晴らしい人だ!と、目標にしている。
そんな洋平とのことも、真っ先に、お爺ちゃんに知らせたかったから、父より先に話しに行ったんだよ。
味方について欲しかったから…
『洋平のこと、認めてくれてありがとう』
私…
お爺ちゃんに、いっぱいしてもらったのに、
まだ何も返せてないよ…
会社を退職したお爺ちゃんと、お婆ちゃんと、
これから一緒に、どこかへ行きたいなって思ってたのに…
こんなご時世じゃなかったら、いっぱい、旅行とか 行けたのになぁ〜
いつも応援してくれて、ありがとうね。
いつも励ましてくれてありがとうね。
これからは、空から見守っててね。
寂しい時は、空に話しかけるよ。
頑張れ美優!って、いつもみたいに笑顔で、
応援してね。
『お爺ちゃん、ありがとう』
涙を流しながら…ジーっと、お爺ちゃんと語り合ってるような気持ちだった。
そっと肩に手を置く洋平、ここちゃんの笑顔
『お爺ちゃん、ありがとう、安らかに…』
通夜、告別式は、滞りなく終わり、
続けて、初七日まで終えた。
出棺前のお爺ちゃん、たくさんの花に囲まれて、 優しい顔で旅立った。
最後には、骨となってしまった。
綺麗な喉仏さんだった。
お墓に納骨するまでは、お婆ちゃんと一緒に居られるね。
お婆ちゃんちに、遊びに行くね。
『バイバ〜イ』そう言って、今にも、手を振り返してくれそうなのに、もう居ないんだ。
泣いてばかりいたら、『美優は、泣き虫だなぁ』って心配されるから、なるべく我慢するよ。
でも、まだ、しばらくは無理そうだから、許してね。
『バイバイ、お爺ちゃん、またね〜
ありがとう〜』