散々泣いて、お爺ちゃんを見送った。しばらく、目が腫れて大変だった。
あまりにも突然のお別れで、理解するのに時間が必要だった。
それでも、日常は、やって来る。
普段通りに家事をして、育児をしての繰り返し…
食欲もなく、体重も落ちた美優
洋平は、美優のことが心配で心配で…
いつもより、たくさん抱きしめる
仕事をしていても心配で、マメに連絡を入れる。
それでも、心配だった洋平は、高橋に頼んで、
昼間になっちゃんに来てもらって、
美優を元気づけてもらう。
「美優ちゃん、大変だったね〜」
「うん、ありがとうね、旦那さんに葬儀に来てもらって…」
「ううん、当たり前よ、社員なんだし…私も行きたかったんだけど、チビ達が居て…こんなカラダだし、 ごめんね。」
「ううん、ありがとう。お爺ちゃん、もう退職してたのに、たくさんの人に見送られて幸せだっただろうな」
「ホントに素晴らしい人だったよね。」
それを聞くと、また涙する美優
なっちゃんが抱きしめる
「ごめんね、大変な時に…」
なっちゃんのお腹が随分、大きくなっていて、
申し訳なく思う
「ううん、私なんかでも話してると元気出るかなぁ と思って…色々話そう。」
「ありがとう。あれ?寛太くんは?」
「幼稚園だよ」
「あ、そっか…」
明るく元気ななっちゃんと話すことで、
少し元気が出てきた美優
バーベキュー以来だから、あの後の話だったり、 高橋さんの話だったり…
たくさん話して、少し笑って気分転換になった。
「洋平さん、かなり心配してるみたいよ。」
「うん、だよね〜毎日、気を使われてるのが分かるもの。」
「ホントに、美優ちゃんが大好きで仕方ないんだから…羨ましい♡」
「なっちゃん夫婦だって、高橋さんに愛されてるじゃない。」
「そうなんだろうけど、なぜか、ウチはもう感覚が熟年夫婦みたいよ。ハハッ」
「えー?まだまだ若いのに…」
「いや〜ウチの旦那は、洋平さんみたいにイケメンじゃないし、もっとスタイル良かったら、オシャレにも気を使うのに…どんどんオジさん化していってる気がするわ」
「ふふ、でもいつも元気でムードメーカーで優しいじゃない。」
「まあね、アレで暗くて、何もしてくれなかったら、結婚はしなかったかな…」
「そっか…」
「美優ちゃんは、洋平さんにいっぱい愛されてるし、いつまでもカッコイイ夫婦のまま仲良くね。」
「うん、ありがとう」
「ホントにそろそろ2人目が出来そうよね。」
「えーそうかなぁ?」
「バーベキューの時だって、洋平さんは、美優ちゃんにラブラブだったわよ。羨ましい。楽しみにしてるね♡」
「ありがとう〜」
『友人に助けられた』と思った。
そして、旦那様にも…
夜、洋平が帰って来た
「ただいま〜」
「お帰り〜」
美優は、玄関まで駆け寄り、洋平に抱きついた。
「美優〜♡」
「ちょっとだけ…」
「うん、ちょっとと言わず、いつまででもイイよ」
しばらく抱きしめる
「あーチューしたい」
「それは、ダメ!お風呂入ってから…」
「うん、じゃあ、急いで入ろうかな〜」
「行かないで〜!」と、わざと笑いながら言う美優
「う〜ん、美優にそんなこと言われたら…♡」
「ふふ、嘘、入って来て」
「うん」チュッと、おでこにキスした洋平
「あ!」
「ふふ」
「ふふ」
「もうお風呂入ったの?」
「うん、ここちゃんも入って、寝たところ」
「そっか…」『じゃあ急がなきゃ』
急いで入る洋平
美優は、ご飯の仕上げをしている
「美優!」バスタオルのまま、手を広げてる
「早っ!」
「おいで」
走って行き、ぎゅーっと抱きつく美優
しっかりホールドされたあとは…
優しい優しいキス
いつもより長く、優しいキス
洋平の愛を感じる
美優の目から涙が溢れる
「大丈夫か?」
『うん』と頷くが、美優の目からは、止めどなく 涙が落ちる
また、ぎゅーっと抱きしめる洋平
「ありがとう」
「ううん」
「なっちゃんと話して、少し元気になった」
「そっか、やっぱりなっちゃんは、元気玉だな」
「うん、なっちゃんにも洋平にも助けられた。」
指で美優の涙を拭うが、どんどん出て追いつかない。
バスタオルの端で拭く洋平
「もう大丈夫だよ」
「あ!」
引っ張りすぎて、カラダに巻いてたバスタオルが 取れた
「もう〜全裸、ふふ」
「何、喜んでるの?」
「喜んでないわよ、早くパンツ履いて!」
「えー履かなくてもいいかなぁ〜って…」
「ご飯だから、履いて来て」チュッ
「美優〜♡」
「もう、可笑しいから履いて来て!」
「は〜い…」
仕方なく履く洋平
2人でご飯を食べて…
2人で洗い物をする
自然と、リビングのソファーに2人で座った。
洋平は、美優を抱きしめたくてしょうがない。
なので、美優の後ろに座って、
ぎゅーっと抱きしめた。
「ふふ」
「何?思い出し笑い?」
「うん、さっきの…」
「バスタオル?」
「うん。なんかいつもと違うなって思ったんだけど…まさか、パンツ履いてないなんて、バスタオルが外れるまで気づかなかったから…」
「急いで上がって来たから…」
「どうして?」
「早く美優にキスしたかったから…」
「そうなんだ」
「うん」
更に、ぎゅーっと抱きしめて、頬をくっつける
「洋平〜ありがとう」
「ううん」
美優は、顔を後ろに向けた
すかさずキスをする洋平
「美優は、1人じゃないからな!何でも言えよ!」
「うん…」
そう言われると、また涙が…
「いくらでも泣いていいから…」
また、洋平に抱きついて、美優は泣いた
ぎゅーっと抱きしめ、背中をトントンしたり、
さすったり…
泣き止むまで、ずっと黙って抱きしめる洋平
「ティッシュ?」
「うん」
ティッシュをケースごと手に取り、渡す洋平
「ありがとう、洋平の服も濡れた」
「ハハ、ホントだ、肩が濡れてる」
「ごめん」
「いいよ」と頭を撫でる
愛おしくて仕方がない洋平
「美優!」
「ん?」
「大好きだよ」
「うん…」
美優からキスをした
もっとしたくなって、またお返しをする洋平
「大丈夫?」
「うん」
また、ぎゅーっと洋平の首に抱きつく美優
頭を撫でる洋平
「ここちゃん最近、起きないね」
「うん、もう朝まで寝るんじゃないかなあ?」
「そうだよな…美優!」
「ん?」
「抱きたい!」と優しく言う洋平
「…」
「あ、無理にとは言わないけど…ね」
少し考えて…
ジーっと洋平を見つめる美優
そして、どちらからともなくキスをする
優しく優しく…
そのまま、また和室へ運ばれる美優
2人とも、いつになく真面目に向き合っているようで、 いつものイチャイチャした感じではなく… お互いの愛を確かめ合うように…
優しく優しく、丁寧に…
無言のまま抱き合う
そして…最後まで、そのまま抱き合った
しばらく、そのまま…
「あ!」
「あ!」
「わざと?」
「わざと!いや、真剣に!」
「そっか〜ならイイか…」と、
そのまま、しばらく抱き合う2人
なんだか美優も覚悟を決めたように…
『まだ、早い!』と、2人目作りを拒んでいたのに、
『もう出来てもいいかなぁ〜』と思うようになった。
ここちゃんは、1月31日でようやく1歳になる。
まだ10ヶ月。
大変になることは、分かっている。
でも、お爺ちゃんが亡くなってしまって、
『早く会社に戻って、また働きたい!』という思いが 薄れてしまったのだ。
ここちゃんの|側《そば》で、成長を見逃さないように育児をしたいという思いもあったし…
ならば、洋平が言うように、続けて子育てをして、 その後のことを考えればいい。
そう思うようになっていた。
しばらくして、落ち着いた頃。
洋平は、また週末に、フットサルへ行くようになった。
「美優も、ここちゃんと観においで!」と言われるが、そこまで気持ちが上がらない。
11月、急に寒くなってきたこともあり、出不精になる。
ここちゃんと過ごす方が良くなっている。
洋平が帰って来るのを待って、買い物だけは、一緒に 行く。
美優にとっては、週末の気分転換だ。
いつものように、ショッピングモールへ。
洋平が…「おー!」と声を掛ける。
「ん?」と振り向くと、そこには航平くんの姿が…
「おー!」
「あ、この前はありがとう。」
「あー大変だったね…」
「あ、うん」
お爺ちゃんのお通夜には、来てくれたから、
その時、久しぶりに会ったが、ろくに会話も出来なかった。
航平くんもフットサルを続けているようで…
帰りに、買い物をして帰るようだった。
隣りには、フットサルチームに新しく入った男友達が居た。
洋平がお互いを紹介してくれた。
「はじめまして〜」
「あ、はじめまして〜村田と申します。」
簡単に挨拶して、
「じゃあ、またな!」と洋平
「おー!」と航平くん
私の方を見て
「じゃあね」と…
「うん、じゃあね」と手を振る
「《《ここ》》〜またね〜」と、洋平に抱っこされた ここちゃんの手を握る。
「失礼します。」と村田さん。
「はい、失礼します。」と挨拶して別れた。
村田は、航平に…
「あの人?航平の好きな人…」
と、聞く。
「は?」
「好きな人が居る!って…お前、分かりやすいから…」
「ちげーよ!」と笑い飛ばす航平。
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