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コメント
1件
うわあ…めっちゃ切ない…😭💦 「見て見ぬふり」と「でも気づかずにはいられない」の間で揺れる勇斗の気持ち、すごく伝わってきたよ。 仁人の「なんでもない」って返しが、むしろ何かあるって言ってるみたいで辛い。 「助けて」って言わせたいのに、言えない空気が重くて、でも優しい…。 続きで2人がどう変わっていくのか、すごく気になる😢✨
仁人は、夏でも長袖を着る。
最初は、なんとなく気になっただけだった。
暑くないのか、とか。
なんで脱がないのか、とか。
でも、それを聞くほどの関係でもない気がして、ずっとそのままにしてた。
教室で、隣の席。
シャーペンの音と、誰かの笑い声と、窓から入ってくる風。
全部、普通なのに。
横にいる仁人だけ、どこか違う。
「仁人」
「んー?」
軽い返事。いつも通り。
でも、目は合わない。
「……暑くない?」
「別に」
それだけ。
それ以上、何も言わせないみたいに、ノートに視線を落とす。
それで終わればよかったのに。
気づいたのは、偶然だった。
体育のあと、教室に戻ってきたとき。
誰もいないはずの教室に、先に戻ってた仁人がいた。
窓際で、ひとりで座ってて。
腕を、見てた。
長袖を、少しだけまくって。
すぐに戻したけど。
ちゃんと、見えてしまった。
見なかったことにした方がいいって、分かってた。
なのに、目が逸らせなかった。
「……何してんの」
声に出した瞬間、仁人がびくっとした。
ゆっくりこっちを見て、少しだけ困ったみたいに笑う。
「なんもしてないけど」
嘘だと思った。
でも、それ以上言えなかった。
その日から、長袖がやけに目につくようになった。
袖を引く仕草とか。
手首を隠す動きとか。
気づかなかった頃には戻れなくなった。
でも、本人は何も変わらない。
普通に笑うし、普通に話すし、普通に学校に来る。
だから、余計に分からなくなる。
どこまでが普通で、どこからが違うのか。
帰り道。
並んで歩いてるのに、距離が遠い。
話してるのに、何も届いてない気がする。
「勇斗」
呼ばれる。
「なに」
「……」
続かない。
言いかけて、やめる。
その繰り返し。
「なんでもない」
またそれ。
そればっかり。
本当は違うくせに。
言えばいいのに、って思う。
助けてほしいなら、言えばいいのに。
でも、それが言えない顔してるのも分かるから、余計に何も言えない。
どうすればいいのか、分からないまま。
ただ、隣にいることしかできない。
ある日、風が強くて。
仁人の袖が、少しだけめくれた。
一瞬だった。
でも、ちゃんと見えた。
目を逸らした。
見てないふりをした。
そのまま歩き続けながら、何も言わなかった。
言えなかった、が正しいかもしれない。
触れたら壊れそうで。
でも、もう壊れてる気もして。
どっちにしても、遅い気がした。
それでも。
それでも、ひとつだけ。
言ってほしい、って思ってる。
ちゃんと、こっち見て。
「助けて」って。
その一言だけでいいのに。
たぶんそれが一番、難しい。