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「なぁ坊主…悪ぃこと言わへんからとっととこっから帰りぃや…ママとパパが心配すんで…な?」
スゥ…と煙草の煙が男の口から出るとそのまま上へと上がり薄暗い雲の空へと消えていく
薄暗くてよく見えなかったが 僕を見下ろす,その目にはまるでエモノでも見つけたかのようにうっすらと僕が映っていた
まるでネズミのような僕の姿は眼球越しではあったが酷く怯えた顔をしているのがわかる
なんだろう…すごく怖い
僕はただ、いつも通りの日課を過ごしたいだけだったのに…
まるで雨が降りそうな曇り空の事。
それを背景に僕の目の前に居るのは,タバコが良く似合う大人だった。
小学生の僕と強面占い師
放課後の下校時間を知らせるチャイムが鳴るといつもは気だるげなクラスの雰囲気が一気に変わる
友達らしき人物と笑顔で駆け出していく同級生のランドセルは,ロックがしっかり掛かっておらず走り去っていく上履きの音と共にカチャカチャと音を鳴らす
その後先生からの注意の声掛けが聞こえるのはいつもの事だ
「なぁユウト!今日も寄ってこーぜ!」
ユウトとは僕の名前の事
背後から自身の名前を呼ばれたのだ
僕が振り返る前にポンッと僕の肩に手を添え、背後からニカッと笑ってみせる人物は同じクラスの友達、タクヤだ
最近やっとグラグラだった歯が抜けたようで笑顔を見る度に何度も聞かされた話を思い出す
その後ろには、両手でハンドバックを持ち、もじもじしながら僕とタクヤを交互に見つめる女子のアヤノも居た
最近母親に手作りしてもらったハンドバックは女子ならではのレースと花柄のデザインで本人のお気に入りらしい
*ユウト「んー、良いよ。暇だし」*
二つ返事で答えて、ランドセルの中に上履きを押し込む。
今日は金曜日で荷物も多い、手持ちは疲れるからなるべく入れられるものは入れたい
*アヤノ「ね、ねぇ…また行くの?タクヤも懲りないよね…」*
*タクヤ「えーなんで?メースポットじゃん!」*
不安そうに僕を見つめるアヤノとは対象的に、タクヤの目は好奇心でキラキラと輝いている
アヤノとタクヤの言う例のスポットと言うものは、毎度、放課後寄り道していく占い屋の事だろう
今、僕の通う小学校では、高学年から低学年にかけて話題になってる場所がある
それがその占い屋だ
僕らの下校場所で通る、商店街を進むと暗くて狭い路地が存在する
最初こそは好奇心で誰かが入った場所だが,
偶然見つけたその場所は薄暗く、雨の日でも関係なく1人の老婆が経営していると話題になり,小学校の間で肝試しスポットとして話題になっている
流行が大好きなタクヤはそんな話を聞くと毎度の如く僕に行こうと寄り道に誘ってくるのだ。
*ユウト「どうせタクヤはすぐ飽きるよ、それに僕だってあの場所、好きだし」*
*タクヤ「だってさ!アヤノ!振られたな!」*
*アヤノ「そ、そんなつもりで言ったんじゃないもん!」*
ケラケラと揶揄うタクヤを顔を真っ赤にしたアヤノはバシバシと叩く
そのまま,がら空きの教室でいつもの鬼ごっこでも始めてしまいそうな展開だ
実際嘘はついてない
僕はあの場所が大好きだ。
顔に出ない性格のせいで信じて貰えないだろうし,別に公表するものでも無いから二人にも黙っているわけだけど,
この日課が楽しみで仕方がない
ランドセルを背負い再度忘れ物がないか確認してから,既に教室で走り回っている2人に声を掛けるのだ
ー商店街ー
*タクヤ「ゲッ!なんか今日人多くね!?」*
*ユウト「今日が金曜日ってのが関係してるのかもね」*
タクヤの言う通り、商店街には沢山のお客さんで大賑わいだった
お肉を買う人,新鮮な野菜を見る人,くじ引きを引く人
更に何処からか揚げたてのコロッケの匂いまでもしてきてお腹が鳴りそうだ
*タクヤ「あっちゃ〜…これじゃ誰か大人に見られちゃうかも…」*
*アヤノ「ほら言ったじゃない!* 今日は辞めときなよ!」
*タクヤ「うわっ!?ってアヤノ!お前来たのかよ!」*
あの後、校門で結局行かないと断ったはずのアヤノは何故かタクヤと僕の背後に居た
着いてきたのだろうか…息が荒く走ってきたようにも見える
*アヤノ「だって…幼なじみをアホに任せられないもの」*
*タクヤ「アホとはなんだ!!ならお前はバカだ!バーカ!」*
タクヤがあまりにも大きい声で言うものだからすれ違いざまにチラチラとこちらを見る人の視線が痛い
変に目立つようなことするよなぁ…と思いながら僕はスタスタ進むと
2人は口論しながら僕の後を着いてきたのだ。