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小学生の僕と強面占い師
第2話_噂の老婆の正体
商店街を歩いてると、気が付けば晴れていたはずの天候は闇に染まるように雲が迫っていく
予報では雨は降らないはずだけれど、どうなるんだろう、
明日は土曜日だからもし風邪をひいたとしても学校の心配は要らないかな…
そんな事を考えながら、とぼとぼと歩いていると、突然グイッと腕を後ろに引っ張られる
強い力でよろけた体は2人の手によって支えられ、理解をする前にそれがタクヤの仕業だっていうのがわかった
何しろ、目の前にはスーツを着こなした大人の人と今にもぶつかりそうな勢いだった為だ
*タクヤ「あっぶねぇ〜,ボケっとしすぎだろユウト!」*
*ユウト「あ…ごめん,ちょっとぼーっとしてたみたい」*
*タクヤ「ったく…ほんと気が抜けてるよな〜これから肝試しに行くんだ!シャキッとして貰わなきゃ困る!」*
なんて言いながらタクヤはバシッと僕の肩に力を込めるように軽く叩くと先陣を切って歩き出す
タクヤに聞こえないのを狙ってなのか、アヤノはまた不安そうに僕に耳打ちをしてきた
*アヤノ「ユウト…もしかして無理してるの?嫌なら今からでも…」*
*ユウト「ううん、本当にそんなんじゃないよ。心配かけてごめんね」*
*アヤノ「…そっ…か!そうだよね、」*
そんな事を言いながらアヤノもまたタクヤに続いて歩き出していく
アヤノとは親同士とも仲がいい幼なじみだ
早生まれのアヤノと遅生まれの僕で、姉弟のように思っているのか、はたまたよく泣いていた僕が未だに心配なのか,こうしていつも迷惑をかけてしまっているのだ…ごめんね。
タクヤ*「さっ!着いたぜ!」*
いつもの場所でタクヤが立ち止まると、薄暗い路地裏を指さし笑顔で僕達を見つめた
ここがあの…占い屋へ続く路地だ。
初めこそはその不気味な感覚に僕もタクヤさえも入るのを躊躇ってはいたけれど、今となってしまえば瞬きする間に1歩…また1歩と入ってしまう程だ
慣れというのは恐ろしいものだと感じる
然し未だにアヤノは慣れないのか、いつの間に僕と順番が入れ替わり1番後ろを引っ付くようにして歩いている
*アヤノ「…ッ…!」*
*タクヤ「…アヤノ…やっぱお前無理してんじゃねーの?」*
*アヤノ「う…うるさいわね!それにさっきからなんなのよ!お前お前って…女の子にそんなこと言うなんて!」*
*タクヤ「女の子はもっと素直で可愛いんですー!」*
*アヤノ「なんですって!?」*
いや…或いは慣れと言うよりも、毎度行われる2人のやり取りを聞けば、どんな場所でも
ある意味雰囲気がぶち壊されて楽に進めるのかな…なんて考えてしまう
ちょっとうるさいけど…
路地裏から目的の占い屋まではほんのすぐの距離だ
広い場所に出るとそこにはまるで壁のように古臭い建物がずらりと並んでいて、 目的の場所はそのひとつにある
小さい見た目ではあるが緑に着色された木材の小洒落たお店はガラス越しから店内を軽く見ることができる
ガラスと言うのも、すりガラスの中までしっかり見ることができない素材の為
そこからうっすらと見えるオレンジ色の光と黒い老婆の影を見るだけでも小学校の話題に上がるほどだった
見納めだけの者もいれば中に入って模索する者もいる
*アヤノ「ね、ねぇ…普通にやめようよこんな事…営業妨害だよ…」*
*ユウト「今回は入るの?」*
*タクヤ「え…っとぉ…」*
タクヤはその場で考えるように眉間に皺を寄せた
無理もない、どんな噂好きなタクヤでも怖いものは怖い
変な大人が出てきたりでもしたらお金が出せる訳じゃないし
何より今日は空が暗い
オレンジの光が一際際立つこの建物に入るのはかなりの勇者だろう
それでも、僕は入りたい…何故なら_
とその時
ギィィと嫌な音を発しながら目の前の建物の扉が開いたのだ
突然の出来事に僕達はピクっと体を反応させ、肩を震わせた
何しろ今まで見に来ただけでこういったハプニングが起こったことは無かったからだ
「お…まぁえ…らぁ…」
扉が軽く開くと、隙間から骨が浮き出た細い老婆の指が覗く
それを初めに、ゆっくりと出てきたその姿は黒いケープにフードを深く被った噂通りの占い屋老婆の姿が…
「キィエエエッッこのガキがぁああ」
叫び声と同時にきゃあ!!と悲鳴を震わせ2人は僕を置いて一目散に元来た道へと駆け出していく
全力疾走していく2人の後ろ姿は普段の喧嘩っぷりから考えられないくらい仲良く見える
そんな事を考えながら2人の背中を見送っていると背後からクックックッ…と笑う声が聞こえた