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一つ屋根の下、地雷注意報

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一つ屋根の下、地雷注意報

30 - 第二十八話:「眠れない夜の距離感」

2025年05月28日

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時計の針が、0時をまわっていることにはとっくに気づいてた。
寝る気にもならなくて、電気も暗めのまま、

ソファに沈んでスマホをいじってたら、

気配がして顔を上げた。


廊下の奥。

るかが、寝間着のままふらっとリビングに入ってくる。


目は眠たそうでも、ちゃんと起きてて、

俺と目が合っても、何も言わないまま、

自分の居場所を探すみたいに、部屋を一周見渡す。


そして、なにもないテーブルの向こう側に、座る。


それだけ。



テレビはついてない。

スマホの画面の光だけが、部屋にほの明るく灯ってる。


しゃべる必要なんてなくて、

なんとなく“話さない方が自然”な空気が、心地よかった。


(あいつも、寝れなかったんだな)


それくらいのことは、言葉がなくてもわかる。


ソファに横になったまま、

るかの方にスマホを向けてみた。


画面には、猫の動画。


ほんの数秒、彼女の視線がスマホに落ちて、

口の端が少しだけ、動いた気がした。


「……」


それだけで、俺の方が嬉しくなって、

黙ったまま次の動画を探した。



深夜の空気は、静かで、重たくて、

だけどたまに、こうしてやわらかい。


るかは何も言わないまま、

気づいたら俺の近くに座りなおしていた。


背中が、ほんのすこしだけ触れる距離。


そのまま、彼女の呼吸が一定になっていく。


眠れない夜のはずなのに、

気づけばどちらからともなく、まぶたが重くなっていた。



いつかの夜にあった、ほんの少しの“心の温度”。

言葉のいらない距離が、ちょっとだけ縮まった気がした。

一つ屋根の下、地雷注意報

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