「ほんなら、俺がプロデュースしたる」
「?」
「無理はせんでも良いけど…努力はしてな。しょっぴーは、面倒くさがりで消極的過ぎるんや…」
どちらかと言えば後者だと思う渡辺は、言い返すと面倒くさい事になりそうなので黙っておいた
「ん〜まずは笑顔やな。アイドルに笑顔は基本やで」
「笑顔なら、いつもやってる…」
テレビに出させてもらう時や、共演者やメンバーと話す時は…いつも笑顔を心掛けている
「違うねん。作り笑顔じゃ無くて…心からの笑顔やねん」
自分の笑顔を【作り物】だと決めつける向井にムッとしたが…
当たっていたので、言い返せない
渡辺は、笑顔が苦手だった…心からの笑顔は、心の内を曝け出している様で…
今まで気持ちを押し殺して生きてきた渡辺にとって…ハードルが高い様に感じられた
「俺が側に居ったるから大丈夫や…無理に笑おうとしなくてええねん。面白いと思ったら…我慢せずに笑ったらええ。誰かに感謝する時は、ちゃんと気持ちを込めて…謝る時も、怒る時も全部一緒…」
「気持ち…それだけ?」
「そう、それだけ」
少しでも、渡辺の気持ちを解せる様に…少しでも、辛かった過去の記憶を忘れられる様に…
渡辺の中で、何かが変わるきっかけなれば良いと…向井は、本気でそう思っていた
「翔太、おはよう」
向井と2人、楽屋に戻って話していると…
朝の情報番組に出ていた阿部が帰って来た
「阿部ちゃん。お疲れ様」
早朝からの撮影は疲れただろうと、心からの笑顔を実践する
「!///… あぁ…うん。ありがとう」
「?」
何処となく、阿部の反応がいつもと違う…しかし、渡辺にはそれが何故だか…分からない
同様に、撮影で使う重い荷物を持っていたら…気付いた岩本が手伝ってくれて
【感謝の気持ちを込めて】
「照、ありがとう」
と、そう言った
「あぁ…うん///…力仕事の時は、俺に声掛けてよ。これ位なら手伝えるから///」
またしても、いつもと反応の違う岩本に…渡辺の頭に【?】が浮かぶ
【心から笑顔】が、これで合っているのか不安になるが…どうやって確認したら良いか分からない
「笑顔って難しいなぁ…」
自分には、到底マスター出来るものではないと…
渡辺は、1人で落ち込んでいた
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