PM11:00_。
インターホンの音。
誰が来たかは分かっていた。
泣き腫らした目をこすりながら玄関に向かうと、ドアの向こうに立っていたのは ” ぺいんと ” だった。
「くっ…お前泣きすぎ、目腫れてんぞ。」
本当に来てくれたんだと思うと、安堵でまた涙がにじんでしまう。
「……ごめん」
そう言った瞬間、また涙があふれた。
「ほら、泣くなって。とりあえず中入れてくれよ」
靴を脱いで上がり込んだぺいんとは、勝手知ったように冷蔵庫から水を取り出し、俺に差し出した。
「飲め。泣きっぱなしで喉カラカラだろ」
差し出されたペットボトルを両手で受け取り、ありがとう、という言葉を掠れた声で伝える。
俺はその場に崩れ落ちるようにソファに座り、気づけばまた嗚咽が漏れていた。
泣き疲れてソファに沈み込む俺に、ぺいんとがタオルを差し出した。
「ほら。鼻ぐしょぐしょだぞ」
「……うるせぇ」
そう言い返したのに、声が震えていて、また涙がにじむ。
俺はタオルで乱暴に顔をこすった。
「なぁ、俺……やっぱり遊ばれてただけなんじゃないかな」
視界がにじむのを隠すように、テーブルに額を押しつける。
俺のぐしゃぐしゃになった髪を、ぺいんとがぐっとかき上げた。
「そんなわけねぇだろ。…誰がそんな風に扱えるかよ」
短く吐き捨てるように言うその声が、不思議とやさしく胸に染み込んで、思わずまた涙が溢れる。
「なんでそんなこと言えんだよ」
「…….俺はお前ら2人を見てきたから」
その言葉に顔が綻んだ。
さらに肩を抱かれ、思わず縋りついた。
しばらく震える背中を撫でてくれていたぺいんとが、ふっと息を吐く。
「……やっぱ、こうなるよな」
小さくつぶやいたその言葉の意味を聞く前に、顔を上げた。
視線がぶつかる。
彼はためらうように近づいて、次の瞬間…。
唇が触れた。
肩を押そうとしたけど、逆に抱き寄せられてしまう。
鼓動は高鳴り、頭が真っ白になる。
抵抗も、言葉も出てこない。
優しくて、それでも確かに熱を帯びたキス。
混乱を抱えたまま、言葉も出せずにぺいんとを見つめる。
その視線に気づいたのか、ぺいんとは何も言わず、ただそっと肩を抱きしめ直した。
配信や、泣いたことへの疲れから、俺は彼の腕の中で眠ってしまった。
AM8:00_。
🧣side
ベット脇に置いていたスマホが震えた。
アラームを間違えてかけてしまったのかと思い、2度寝しようとしたが、電話である事にすぐに気づく。
ぐちつぼ……。
期待に突き動かされ、横になっていた身体を一気に起こした。
しかし、画面に表示された名前を見て、少し戸惑う。
出ない訳にもいかないた為、結局画面をタップした。
「よぉ、らっだぁ。ちょっと話せる?」
ぺいんとの声が部屋に響いた。
「……なんだよ」
ぺいんとはわざと間を置いて喋り始めた。
「ぐちつぼが泣いてんだよ、お前のことで」
「….っ」
1番なりたくなかった最悪の状況を聞き、呼吸が止まる。
「昨日の配信、思い当たる節は?」
「……ある」
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝1500
コメント
2件
あー、 好き×10 ゆっくり、頑張ってくださいね~!
きゃー!!(謎の悲鳴) 新しいやつありがとうございます✨ もう見るのが楽しみで仕方ないです!ペンちゃんいい仕事するなぁー 物語作るの上手すぎて尊敬します👏 次のお話も楽しみです!無理せず 頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧🔥