テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
⚠️ こちらはd!の二次創作です ⚠️
死ネタ BL要素 が これから出てきます
地雷 彡 は 回れ右 !
―翌朝・病室―
朝の光は、昨日より少し強い。
カーテンの隙間から差し込んで、ベッドの白を際立たせる。
シャオロンは、目を覚ましてすぐ、違和感に気づいた。
(……あ)
身体を起こそうとして、止まる。
起き上がれないわけじゃない。
でも、いつもと同じ動きが、同じ速さでできない。
一度、深呼吸をしようとして、途中でやめた。
(昨日より……)
比べてしまったことに、少しだけ眉をひそめる。
比べたくなかった。
でも、もう無意識では済まなかった。
シャオロンは、ベッドの縁に手をつく。
体重をかけて、立とうとする。
――ぐらり。
ほんの一瞬。
でも確かに、視界が揺れた。
慌てて、手に力を込める。
転びはしなかった。
誰にも見られていない。
それなのに、心臓の音が早くなる。
(……前は、こんなんじゃなかった)
声には出さない。
出したら、現実になる気がした。
洗面台に行こうとして、また立ち止まる。
距離は、ベッドから数歩。
昨日までなら、考えもしなかった距離。
(……近いのに)
行けないわけじゃない。
でも、行こうとすることに、覚悟が要る。
シャオロンは、一度ベッドに座り直した。
(できなくなった、ってほどじゃない)
そう言い聞かせる。
でも、その言葉が、やけに苦しい。
(……“前と同じ”が、できない)
自分でそう思った瞬間、胸の奥が、きゅっと縮んだ。
誰にも言われてない。
数値も、検査も、まだ何もない。
それでも。
シャオロンは、分かってしまった。
(俺、ちゃんと……進んでる)
良くなる方じゃない。
そっちじゃない方に。
コン、とノックの音がする。
朝の回診の時間だ。
sha「……はーい」
返事は、いつも通りの声。
少しだけ、意識して明るくした。
ベッドの上で、背筋を伸ばす。
“できなくなったこと”を、誰にも見せない位置にしまって。
でも、心のどこかで思ってしまう。
(昨日の夜、ロボロに……)
言わなくてよかった。
言えなくてよかった。
――まだ。
扉が開いて、看護師が入ってくる。
看護師「おはようございます〜。検温いきますね」
sha「おはようございます」
体温計を受け取って、脇に挟む。
十秒。
その間、何も考えないようにした。
(大丈夫、大丈夫)
ピッ、と音が鳴る。
看護師が数字を確認して、頷く。
看護師「うん、問題ないですね」
sha「……ほんま?」
看護師「はい。熱もないし、脈も安定してます」
その言葉に、胸の奥がふっと緩む。
sha「……よかった」
思ったより、声が軽かった。
自分でも少し驚く。
(ほら、やっぱり)
(気にしすぎただけや)
看護師はカルテに記入しながら、何気なく続ける。
看護師「今日は顔色もいいですよ」
sha「ほんとですか」
看護師「ええ。ゆっくりしてれば大丈夫そうです」
大丈夫。
その言葉を、噛みしめる。
sha「ありがとうございます」
看護師が出ていって、病室が静かになる。
シャオロンは、ベッドに背中を預けて、天井を見た。
(……ほら)
(やっぱり、問題ない)
できなくなったことに気づいたのは、たぶん、気のせいだ。
夜のことも、息が合わなかったことも。
全部、少し疲れてただけ。
そう思うことにした。
――そのとき。
コン、コン。
rbr「入るで」
ロボロの声。
朝の回診。
sha「どーぞ」
扉が開いて、白衣のロボロが入ってくる。
いつも通りの姿。
いつも通りの時間。
rbr「検温、終わっとるな」
sha「うん。問題ないって」
rbr「……せやな」
カルテを見る。
数字を追う視線は、落ち着いている。
rbr「数値は問題なしや」
その言葉を聞いて、シャオロンは少しだけ安心した顔を作った。
sha「でしょ」
sha「やっぱ気にしすぎだった」
ロボロは、返事をしなかった。
代わりに、シャオロンを見る。
昨日と同じ場所。
同じ距離。
同じ病室。
――なのに。
rbr「……起きるの、時間かかったか」
疑問形。
でも、答えはもう分かっているみたいな声。
sha「え?」
sha「いや、普通だけど」
“普通”。
昨日まで、自然に使えていた言葉。
ロボロは、聴診器を当てながら、ほんの一瞬、動きを止めた。
rbr「……深呼吸して」
sha「……すー、はー……」
最後まで、吸いきれない。
本人は、気づかないふりをした。
でも、ロボロは外さなかった。
聴診器を外すのが、少しだけ遅れる。
rbr「……」
何も言わない。
でも、その沈黙が長い。
sha「……なに?」
ロボロは視線を逸らし、カルテに何かを書き足す。
rbr「……いや」
rbr「今日は、無理せず過ごせよ」
sha「……?」
いつもと違う言い方。
sha「俺、問題ないって――」
rbr「問題ない“数値”や」
きっぱり言う。
でも、どこか柔らかい。
rbr「それと、“昨日と同じ”かどうかは別やろ」
シャオロンは、言葉に詰まった。
(……ばれてる?)
でも、ロボロはそれ以上踏み込まない。
rbr「昼まで様子見る」
rbr「しんどかったら、我慢せんと呼べ」
sha「……うん」
返事をしながら、胸の奥が少し冷える。
さっきまでの「大丈夫」が、少しだけ揺らいだ。
ロボロは最後に、もう一度シャオロンを見てから言った。
rbr「夜、来れるかは様子次第な」
sha「……分かった」
ロボロが部屋を出ていく。
一人になって、シャオロンは、そっと自分の手を見た。
さっきより、少しだけ、力が入らない気がした。
(……気のせい)
そう思いたかった。
でも、ロボロの目だけは、昨日と違う“何か”を、確かに見ていた。
ロボロは、病室を出て、そのまま廊下を歩いた。
白衣の裾が、いつもより少し重く感じる。
医局に戻り、椅子に腰を下ろす。
カルテを机に置いても、すぐには開かなかった。
(……問題ない、か)
数値は、確かに安定している。
体温、脈拍、血圧。
どれも基準内。
医者としては、何も言う理由はない。
それでも。
ロボロは、シャオロンの顔を思い出す。
「大丈夫」と言ったときの、あの一瞬遅れる表情。
安心した“ふり”を、無意識に作った目。
(昨日と……違う)
朝、起き上がるまでにかかった、ほんのわずかな時間。
深呼吸を促したときの、胸の動き。
最後まで吸いきれなかった空気。
“悪化”と呼ぶには、早すぎる。
“変化”と断定するには、弱すぎる。
でも――
ロボロは、その「弱さ」を、見逃せなかった。
カルテを開く。
昨日の記録と、今朝の記録を並べる。
数字は同じ。
文字も、同じような言葉が並んでいる。
(せやけど)
シャオロン自身が、気づいていた。
“できなくなったこと”に。
それが、いちばん厄介や。
ロボロは、椅子の背にもたれ、天井を見た。
医局の白い蛍光灯が、やけに眩しい。
(外……)
ふと、そんな言葉が浮かぶ。
病室の窓。
朝、シャオロンが見ていたであろう、外の光。
行けないと分かっているからこそ、見てしまう場所。
(連れて行ってやるなら……)
「いつか」じゃ、遅いかもしない。
「元気になったら」なんて、保証はない。
今はまだ、歩ける。
今はまだ、笑える。
今はまだ、“外”を楽しめる体力がある。
(……早いほうがええか)
医者としてじゃない。
看護師でもない。
ただ、“ロボロ”として。
「できなくなったこと」が増える前に。
“約束未満”が、約束にならなくなる前に。
ロボロは、静かに息を吐いた。
決断、というほど大げさなものじゃない。
でも、確かに方向は決まった。
(……明日休みとってシャオロン誘うか)
いきなりかもしれん。
無茶かもしれん。
でも、あいつは――
ロボロは椅子から立ち上がった。
昼前。
ロボロは、もう一度カルテを閉じてから、医局を出た。
昼休憩という名目。
誰も、深くは聞かない。
病室の前で、ほんの一瞬だけ立ち止まる。
ノックをする手が、わずかに遅れた。
コン、コン。
sha「……はい」
いつも通りの声。
けれど、朝より少し柔らかい。
扉を開けると、シャオロンはベッドに腰掛けていた。
昼の光が、窓から差し込んでいる。
sha「あれ、ロボロじゃん。どしたん?」
rbr「シャオロンに用があって」
シャオロンが、きょとんと目を瞬かせる。
rbr「今、ちょっと時間あるか」
sha「……あるけど」
ロボロは、ベッドの横まで来て立つ。
白衣のポケットに手を入れたまま、少し視線を逸らした。
rbr「……明日な」
sha「明日?」
rbr「休み取った」
シャオロンが、何を言われたのか分からない顔をする。
sha「……休み?」
sha「ロボロが?」
rbr「せや」
rbr「急やけど」
そこで、ようやくシャオロンを見る。
まっすぐに。
rbr「明日、外行かんか?」
sha「……え」
一瞬、時間が止まったみたいに、シャオロンの動きが止まる。
rbr「ほら」
rbr「前に、言うとったやろ」
rbr「“いつか外、行きたい”って」
sha「……」
言葉が、出てこない。
代わりに、目が少しだけ見開かれる。
rbr「病院の外、遠出やないけど」
rbr「短時間で、しんどなったらすぐ戻る」
rbr「……まぁデートみたいなもんや」
最後の言葉は、少しだけ小さかった。
sha「……ほんまに?」
確認するみたいな声。
夢じゃないか、確かめるみたいな。
rbr「ほんまや」
rbr「約束してたやろ」
rbr「外、連れてくって」
次の瞬間。
sha「……っ」
シャオロンは、思わず口元を押さえた。
声が、上ずりそうになるのを堪えるみたいに。
sha「……急すぎやろ」
sha「びっくりするやん……」
そう言いながら、嬉しそうに笑っている。
隠しきれない。
sha「……めっちゃ、嬉しい」
その一言で、ロボロの胸の奥が、少し軽くなった。
rbr「無理はせん」
rbr「途中でしんどなったら、すぐやめる」
sha「うん……」
sha「分かってる」
少し間を置いてから、シャオロンは小さく付け足す。
sha「でも」
sha「外、行けるんやろ?」
sha「ロボロと」
その言い方が、あまりにも大事そうで。
ロボロは、思わず視線を逸らした。
rbr「……せやな」
sha「……明日、晴れるとええな〜」
そう言って、シャオロンは窓を見る。
昼の光が、さっきより眩しく見えた。
ロボロは、その横顔を見て思う。
(……今で、よかった)
「もっと後」やったら、
この顔は、見られんかったかもしれん。
rbr「明日まで、今日はゆっくりしとけ」
rbr「体調、少しでも変やったら言うんやぞ」
sha「はいはい、先生」
ふざけた返事。
でも、声は弾んでいる。
ロボロは、病室を出る前に、もう一度だけ振り返った。
シャオロンは、まだ窓の方を見ていた。
明日。
外の光は、ちゃんと、あいつのところまで届く。
コメント
6件
shoさんが苦しそうにするたびこっちも辛くなるぅ! この2人のデートがこの1回だけで終わりませんように!!お願いします!神様仏様おむらいす様ぁ!!!
最初から一気読みさせて頂きました、!ほんとに最高すぎて言葉に表せません🫶💕︎︎ 続き待ってます!
「今」ってなんですか、この言葉切なすぎません?sha彡の病気治れよーー!でもタイトルも治らないってあるしな、うわぁぁぁかわいそー…((他人事。