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snowman
涼太「……」
ライブが終わり外に出た
大半の人が「よかった」「楽しかった」などの声を上げ帰路につこうとしている
でも俺は入り口横で静かに立つ それは“あの人”に呼び止められているから
涼太「今‥何時?」
ふと気になり腕時計を見る
そこに示されていたのは夜9時 ライブは1時間ほど前に終わっている
やっぱりあの言葉は嘘だったのかと思いつつ、手渡されたサインボールを見る
直筆の文字『絶対待っててよ?』
…馬鹿らしいそう思い帰ろうと足を動かした時だった
どこからか声が聞こえる
涼太「……きのせいか」 スッ…
『涼太ぁぁぁ!!』
涼太「ビクッ…な、なに?」
「…てしょ、たくん……?」
そこには俺を呼び止めた張本人、渡辺翔太がこちらへ走ってくる
メイクはそのまま、髪は少し乱れ、衣装ではなく私服姿の彼
翔太「涼太!帰っちゃだめって言っただろ?」
涼太「いゃ…だってほんとに来るなんて…」
「思わなかったから……」
翔太「俺は約束は破らないよ?」
「確かに片付けとかで結構待たせちゃったかもだけど……ごめんな?」
涼太「別…いいですよ」
俺はまた推しと話している
嬉しいはずなのに素直に喜ぶことができないそもそも何故俺を呼び止めたのか不思議でたまらなかった
涼太「あ…あのご要件って」
翔太「え?要件?別にないけど」
涼太「……は?」
拍子抜けした用もないのに一般人でオタクの俺を呼び止めたらしい
やっぱ俺の推しヤバいヤツ…??
翔太「涼太とお話ししたくて呼び止めたの」
「嫌だったか?」
涼太「バレたら…どうするんですか……」
翔太「?“友達”って言えばよくね?」
涼太「そんな簡単にッ…!」
翔太「…俺のこと嫌い?」
涼太「!いゃ…そういうわけじゃ……ッ」
もちろん大好きだ“推し”なのだから
嫌な思いをさせてしまったのか、なら謝らないと……
ムニッ
涼太「ムゥ…?なんれふか…?」
急に頬を突かれた
翔太くんは何も言わずずーとムニムニしてる
涼太「???(困眉」
翔太「涼太ってすげーモチモチなんだな」
「なに、こぉ…弾力があるっていうか…」
涼太「…」
翔太「後困り眉なのもすげーかわいい…ボソッ」
涼太「…ふふっ……くすぐったぃ…プルプルッ…」
翔太「あ、今笑った?」
涼太「だ、だってこそょばいんだもん…ッ笑」
翔太「!涼太は笑顔が似合うね?ナデナデ」
そう言って俺の頭を撫でてくれる翔太くん
“推し”に頭を撫でられんなんて夢にも思わなかった
翔太「…ずっと…」
『しょーたぁぁ!?どこーー??』
涼太「!翔太くん、呼ばれてますよ」
「…見つかる前に行ってください」
翔太「え、あうん…あ、そうだ」
「涼太スマホ貸して」
涼太「?スマホ…?」
翔太「いいから!」
涼太「わ…わかりました……」 スッ
翔太「ありがと…」 ポチポチッ…
「よしっ!これでオッケ〜……はいっ」
涼太「?何したんです?」
翔太「帰ってからのお楽しみな?ポンポンッ」
涼太「…///コクッ」
翔太「またねッ!」 ブンブンッ(手振
涼太「ペコッ…」
家につきスマホを見る
翔太くんが何をしたのかよくわからない 探すのを諦め、翔太くんのインスタを見る
涼太「あ、ストーリー…」
『ライブ終わりいいことあった』
涼太「…あのあと何かあったのかな」
そんな事を考えている矢先1つのLINEが届く
ピコンッ
涼太「?…また仕事かな…」
今日俺は有給を使い、ライブに行っている
有給申請をした時には上司から罵倒され、心が壊れそうになったが、持ちこたえて会社を飛び出した
涼太「…あれ違う」
「……は?」
そこには“翔太”と言う文字が
ガバッ!
涼太「しょ、翔太くん…?!」
俺は驚きすぎてベッドから飛び起きた
さっき翔太くんがしていたのは連絡先の交換だったと今更ながらに気づく
涼太「マジで…バカなのこの人…!」
そう思っても、指は動く
そっと、翔太くんからのLINEを開いた