テラーノベル
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和束ハルを倒し、後始末をした日。
千歳は力を使い果たしてしまったようで、俺が迎えに行ったら『もう動けない……』とへたり込んでいた。
『おんぶ』
「おんぶ!?」
『もう立てない……』
いや、その、今の千歳をおんぶすると胸が俺の背中にバッチリ当たって……いや、でも本人がされたがってるんだし……。
「うーん……ほら」
俺は千歳に背中を向けてかがみ、千歳は当然のように俺におぶさった。あっ、やっぱりかなり当たりますね……。
煩悩をなんとか鎮めながら俺は狐のお宿に入らせてもらい、おんぶされてるうちに寝入った千歳を布団に入れた。
九さんがやってきた。
「疲れとるようじゃの」
「前も霊力を消費したときに同じ感じになって……起きたらものすごく食べます」
「なるほど、供物が必要なわけじゃな。子狐たちに米を1升炊かせておく」
「ありがとうございます」
「妾も子狐たちももう少しインターネットを教えて欲しい、まだしばらくおらんか?」
「では、お言葉に甘えて」
そんな訳で、俺と千歳はしばらく狐のお宿にいて、俺は仕事とインターネット講座、千歳は寝て食べて回復を図ることをしていた。
5日後。やっと回復して起きてられるようになった千歳と、俺はいっしょに朝ごはんを食べていた。
「よかったね、起きられて」
『うん、もう大丈夫だ! 元気元気!』
千歳は力こぶを作るポーズをして、それから言った。
「千歳が寝てたからさ、俺に連絡が来たんだけど。和束ハルを本白神社に封印したいんだって、千歳が近くだから何かあっても対応できそうだから」
南さんからそう連絡が来たのだ。
『へー、ワシかあ』
「仕事が増えるわけだから、毎月のお給料増やすって」
『うーん……』
千歳は首を傾げて、考え込むようだった。
『あのさあ、給料はそのままでいいから、ワシの言う条件を飲んでくれたらいい、っていうのはアリかなあ』
「どんな条件?」
『あのさ』
それから千歳が話した【条件】に、俺は驚いた。千歳は理由を説明した。
『だって、和束ハルは世界を壊すことより大事だったんだからさ。ずっとそばにいさせれば、もう変なことしないだろ』
「それは……確かにそうかも……」
驚いたが、考えてみればありなのかもしれない。
「言ってみたら、その条件」
『じゃあ、食い終わったら南さんにLINEしよっと』
そして、千歳の【条件】は聞き入れられ、和束ハルの処遇は決まった。
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コメント
1件
うわあ、663話もすごく良かったです……!和束ハルを倒した直後の、千歳の「おんぶ」シーン、ほっこりしました。主人公の煩悩との戦い(笑)も含めて、戦闘後の緩んだ空気がいいですね。そして千歳が提示した【条件】には驚きました。「世界を壊すことより大事だった」からずっとそばに置くって、千歳らしい優しさと強さが滲んでてグッときました。処遇の決まり方も納得感があって、今後の展開がますます楽しみです!