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視点:田中悠斗
場所:病院前
病院前でテロが起こっている。あんかく区は比較的平和な場所にも拘らず一体、テロリストは何に不満があるというのだろうか。
武力でゴリ押ししたところで何も変わらないというのに、哀れな奴らである。
田中悠斗
「風磨、物騒だね」
富岡風磨
「そうですね。もうすぐ春休みなのに、楽しい気分じゃなくなりますよ」
田中悠斗
「……風磨、あれを見て」
悠斗が指さした先には、病院を出た緑色の恐竜パーカーを着た、赤茶髪に緑の目の男性だった。さっきまで病院にいたとは思えないような個性的な服装で、二人は困惑していた。
田中悠斗
「病院内どころか、街中でも着ない服装だよね」
富岡風磨
「それよりも、俺はその人が脱出したにも拘らず、誰も反応していない事が不思議で仕方ないです」
田中悠斗
「そう? あの女の子見てよ。思いっきり『長後(ちょうご)さん! 長後さん!』って言ってるじゃん」
富岡風磨
「……変ですね」
Attention!
・この物語はフィクションです
・実在の人物とは一切関係ありません
・晒しやAIの機械学習は禁止です
・ご本人様の迷惑にならないようにしてください
・この物語に腐向けの意図はありません
・この話から死ネタのオンパレードとなります
これらの事が理解できた方のみ物語を読んでかまいません。
ジュエルウォーリア 第二話 「悪霊を祓う伝説の武器、でも使えない! 何で!」
視点:田中悠斗
場所:風磨の自宅
しんぺい神
「悠斗君、謝りたい事がある。マジカル戦士について説明不足だった。ごめん」
白いやつ
「疲れているんじゃない? 休んだら?」
しんぺい神
「ハハハ、時間が余ったらそうするよ」
富岡風磨
「勝手に他人の家に上がらないでくださいよ」
田中悠斗
「風磨、俺が特別な存在である以上、それは諦めた方がいいと思うよ」
富岡風磨
「そんな~」
田中悠斗
「しんぺいさん、改めてマジカル戦士について教えてください」
しんぺい神
「分かった。マジカル戦士はね、怪物の発生源である悪霊を祓う存在なんだ。でも、正面で戦うのはダメ。悪霊が『死にたくない』と思った瞬間に怪物が発生しちゃうから」
田中悠斗
「じゃあ、どのようにすればいいのですか?」
しんぺい神
「それはね、悪霊が自分の死を受け入れるようにサポートすればいいんだよ。例えば、『天国はこんなに楽しい場所なんだよ』と教えたり、悪霊の未練を晴らしたりするとか。兎に角、悪霊が安心できるようにすればいい」
田中悠斗
「へぇ~。その為のヒーリングブックとジュエルマスターキーですか?」
しんぺい神
「そうだね。まあ、悪霊を祓うだけだったら変身しなくてもいいけど、怪物が発生した時に生身だとまともに戦えないから、無いよりはあった方がいいアイテムかな」
白いやつ
「しんぺい神。悠斗の使命の話は?」
しんぺい神
「おっと、忘れてた」
白いやつ
「そろそろ休んだ方がいいと思う」
しんぺい神
「悠斗君、君には三つ使命がある。一つは、さっき教えた通り悪霊を祓うなんだけど……あとの二つがとても厄介で」
田中悠斗
「厄介って、どういう事ですか?」
しんぺい神
「この際、全部説明するか。二つ目は、僕が既にシェアハウスを造ったから、そこに悪霊が見える人間を入れて欲しい。怪物は全員が見えるけど、悪霊が見える人はごく少数なんだ。万が一、接触して大変な事になってはいけないからね」
田中悠斗
「めんどくさいやん」
しんぺい神
「それと、風磨君もシェアハウスに住む事になる」
富岡風磨
「まあ、両親がいない所為でマンションから追い出されそうになったんで、いいですよ」
しんぺい神
「助かる。三つめは、この世界をどうにかして欲しい。前にも言った通り、この世界は奇跡の力と意志の力で成り立っている。他の世界ではメジャーな魔力は使われていないんだ。魔力のない世界は、それを悪用する人がいない分安定しているけど、その代わりに夜が訪れない可能性がある。最後のお願いはかなり無茶だけど、世界の存続の為なんだ。頼む」
神に似つかわしくない土下座であり、かなり必死なようだ。
田中悠斗
「分かりましたよ。その為に俺を創ったんですよね。(しんぺい神が創った訳ではないらしいですけど)頑張りますよ」
しんぺい神
「ありがとう……あ、最後にもう一つ。悪霊の見分け方について教えるよ。悪霊は、何故なのか分からないけど、本名とは別に変な名前を名乗るんだ。例えば、過去に会った悪霊は『ねが』とか『きりやん』とかがいたね」
田中悠斗
「確かに、本名としては変な名前ですね」
しんぺい神
「それと、あまり参考にならないかもしれないけど、明らかに周りの雰囲気にあっていないような服装を着ていたら、殆どの確率で人外だね。ただ、これはあくまで人外の可能性というだけで、必ずしも悪霊とは限らないから気を付けて」
田中悠斗
「はーい」
しんぺい神
「じゃあね」
しんぺい神が跡形も残らず消えた。
場所:シェアハウス
二日後にに無事引っ越しの準備が完了し、お祝いとしてケーキを食べている所だ。
白いやつ
「しんぺい神、やっぱ疲れているよね。もっと重要な事を言い忘れていたんだから」
富岡風磨
「そうなんですか?」
白いやつ
「うん、具体的には悪霊の祓い方。事前に知っていないと祓えない」
田中悠斗
「何でもっと早めに行ってくれないの」
白いやつ
「代わりに僕が言うよ。悪霊はね、特別な武器が無いと倒せないの。しかも、その武器が今ここになくて、必死に神族たちが探しているんだ」
田中悠斗
「祓えないんだったらどうすればいいんだ……」
白いやつ
「ちょっと待ってね。今、描くから」
そういって白いやつはヒーリングブックに武器らしきものを描く。すると、描いたものが実際に出た。
富岡風磨
「中二病っぽいナイフですね」
田中悠斗
「それよりも、俺の変身アイテムに知らん機能があるんだけど」
白いやつ
「そりゃあ君が創った物ではないからね。分からなくて当然だよ」
富岡風磨
「何でも作れる本か……俺も作りたい」
白いやつ
「えっと……本当に何でも作れるけど、製作者にある程度制限されているよ。それと、ハッキリとこれを作りたいと思う意志の力が必要だか――」
近くで悲鳴が聞こえる。
白いやつ
「ぴくと、行って」
田中悠斗
「分かった。でもその前に変身を……」
田中悠斗
「ジュエルマスターキー、セレナイト。ヒーリングブック、オープン!」
ぴくと
「天より舞い降りし神の使い、マジカル戦士『ぴくと』!」
場所:ファミレス前
ウラメシーは建物を破壊し、住民に危害を加えようとしていた。しかし、その直前に、黒の蝶ネクタイが印象的な青年が攻撃して止めた。
ぴくと
「ムーンライトシャワー」
白色の光が辺りを照らし、建物を修復する。
ぴくと
「くらえ、神の鉄槌! ホワイトパイロキネシス」
五芒星から出た白い炎は、ウラメシーの闇を浄化する。
ウラメシー
「シアワセイッパイアリガトー」
ウラメシーは塵となって消えた。
ぴくと
「終わった……」
白いやつ
「ぴくと、待って! まだ終わってないよ!」
そう言うと、白いやつは幽霊のような、魔女のような衣装を身に着けた男を引っ張る。男の背は低く、幼い子供のようにも見える。
白いやつ
「この子がウラメシーを呼び出した元凶の悪霊だよ」
ぴくと
「え、普通の人間じゃん」
白いやつ
「確かにどう見ても普通の人間だけど、僕たちからしたら……この子に失礼だけど、厄介。この子が『死にたくない』と思った瞬間に出現しちゃうから」
背の低い男は青ざめていた。しかし、白いやつがヒーリングブックを使ったのか、安心したように眠ってしまった。
白いやつ
「ぴくと、このナイフの適正検査を兼ねて、この子を浄化してよ」
ぴくと
「でも――」
白いやつ
「ぴくと、この子は既に死んでいるんだよ。この子に何の未練があったのかは知らないけど、この世界にとって厄介な存在なんだ」
ぴくと
「…………」
ぴくと
(しんぺいさんはこんな事望んでない。一昨日言ってたじゃん。「悪霊が自分の死を受け入れるようにサポートすればいい」って。俺は、悪霊を理不尽に天界に送りたくない。俺が……やるしかないんだ!)
ぴくとは男の子に近づき、頭を撫でた。
白いやつ
「ぴくと! 起こしたら大変な事になるんだよ!」
白いやつの忠告を無視し、ぴくとはさらに頭を撫でる。
白いやつ
「ぴくと……」
富岡風磨
「おーい! 悠斗さーん……いや、今はぴくとさんだった」
ぴくと
「風磨じゃん、遅いよ」
富岡風磨
「ぴくとさんが速いだけですよ。ただでさえ生身でも早いのに、変身後となったら……って、この子、この前俺が言った子じゃないですか」
ぴくと
「やっぱりそうか。この子はね、悪霊なんだ。俺はこの子が怖がらないようにサポートしている。しんぺいさんの意思を引き継いでいるんだ」
男の子が起きる。
???
「エット……」
ぴくと
「もう起きた? 心配しないで。怖がらせたりするつもりはないから。僕はぴくと。あなたの名前は?」
緑色
「俺ハ、緑色。気ガツクト皆カラ無視サレタ」
ぴくと
「そうか……それは辛かったね」
ぴくとが優しく微笑むと、緑色の目から涙が出た。
緑色
「思イ出シタ。両親ガヒキ逃ゲデ亡クナッテ、俺ガ助ケヲ求メタラ後ロカラ車ガ……緑色ジャナイ、俺ハ緑川健(みどりかわたける)ダ」
白いやつ
「……悪霊は厄介な存在であると同時に、同情できる被害者でもあるんだ。僕は面倒な目に遭いたくないから、眠らせてナイフを突き刺す事を考えていたんだけど……ぴくとの好きにしなよ」
ぴくと
「うん。緑色はこのナイフで刺しても大丈夫?」
緑色
「ウン。ぴくとノ事ヲ考エルト、怖クナクナッタ。」
ぴくと
「白いやつ、このナイフの使い方を教えて」
白いやつ
「使い方と言っても、ジュエルマスターキーを使って鞘からナイフを抜くくらいなんだよね。やってみてよ」
白いやつ
(まあ、本当はそんな使い方じゃないんだけど。今言っても混乱するだけだし、言うのはやめとくか)
ぴくとは頷き、ジュエルマスターキーを手に取る。そして、それを鞘にはめ込み、ナイフを取り出した。
ぴくと
「じゃあね、緑色」
ぴくとは緑色をナイフで刺した。これでもう、彼からウラメシーは現れない。
ぴくとは変身を解除し、田中悠斗に戻る。
田中悠斗
「白いやつ、今のはどうだった? このナイフ、適正あった?」
白いやつ
「全然ないね」
田中悠斗
「え? 普通に悪霊を祓えたじゃん」
白いやつ
「僕が望んだ本来の能力を使えていないという事だよ」
富岡風磨
「本来の能力とは」
白いやつ
「それはおいおい説明するよ。実は僕がこの武器を作る時にちょっとだけ細工して、適正者には変身ができるようにしたんだよね。まあ、悪霊を刺す分には支障は出ないよ」
田中悠斗
「変身機能がついているという事は……もう一人マジカル戦士が付く可能性もあるっていう事?」
白いやつ
「そう!」
富岡風磨
「だとしたら、誰になるんだろうなー」
白いやつ
「さあ? 誰になるんだろうねー」
白いやつは風磨を見ながら言った。
視点:しんぺい神
場所:天界
しんぺい神
「フフッ、見逃しそうだったけど、ちゃっかり風磨君も見えてるみたいだね」
何とかタイトル回収をした(?)所で、エンディングとなる。
次回 「君と一緒にパーリナイ! マジカル戦士ふうはや誕生!」
※前回と内容が変わらないものは除外
登場キャラクター
・敵サイド
緑川健(みどりかわたける)
享年 14
死因 事故
性別 男
髪色 緑
眼の色 緑
生前は一人ぼっちで遊べる相手がいなかった。受験前に繧峨▲縺?縺と高校の先輩たちと仲良くなり、これから人生を再スタート……という所で死亡する。
死亡経緯は、受験前の気休めとして両親と旅行に行った際、車両衝突に遭った事による。(その時健は生きていたが、両親は死亡した)健は助けを求めて道路の真ん中に出てしまい、トラックにはねられて死亡した。
死亡後は悪霊「緑色」として、無自覚にウラメシーを召喚してしまう。
ぴくとの協力もあって、3月4日に天界へ行った。
専門用語
ヒーリングブック
ウラメシーの対抗策としてつくられたアイテムの一つ。
沢山の奇跡の力が詰め込まれており、使用者が心から作りたいと願う事で(画力も多少なりとも必要だが)、様々なものが作れるようになる。
使い方は、専用のペンに作りたい物を描くだけ。
又、田中悠斗がジュエルマスターキー「セレナイト」をはめ込む事で、マジカル戦士ぴくとに変身できる。
白いやつが管理者だが、製作者は別でいる。
謎のナイフ
白いやつがヒーリングブックを使って生み出した、(風磨曰く)中二病が使いそうなナイフ。
白いやつが言うには変身できるらしいが……?
悪霊
ウラメシーを生み出す元凶。未練があったまま死ぬと生まれる。
昔は「死にたくない」と思っても、ウラメシーは発生しなかったらしい……