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haru
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ああ、第24話読み終えたよ。もうね、甘酸っぱさで胸がぎゅうってなった……。「快だけだから」って零斗さんが言うとことか、照れてるのがオーラでダダ漏れになってるの、すごくいいよね。でも最後のすれ違いが切ないなあ。零斗さん、わざと自分を卑下して距離置こうとしてるのがオーラと嘘で分かっちゃうから、余計にもどかしい。お互い好き同士なのに伝わらないの、じれったいけどリアルだった。続きがすごく気になる!
移動する度に、写真が増えていく。フラワーパークを全て回ると、丁度お昼時になった。
「ここでお昼食べていきましょうか」
「あぁ…そうだな」
二人で相談してお店を決める。
席に着き、一息ついた。
「何食べます?」
「快と同じやつかな」
零斗さんはそう言ってニコッと笑う。
きゅんとしてしまった。
「えっとじゃあ…これで」
そして注文が終わると、零斗さんが口を開く。
「写真、撮れたか?」
「はい。結構撮れました。見ます?」
「いいのか?」
「はい」
俺の返事を聞いて嬉しそうに微笑む零斗さんに、デジカメを渡す。
零斗さんはしばらく写真を見た後、呟く。
「…俺の事撮ってたのか?」
「あぁ、はい。かっこよかったので」
「そ、そうか?」
零斗さんの頬が赤く染まる。
そして、再び画面に目を向け、しばらくするとデジカメを俺に手渡した。
「ありがとな」
「いえ」
受け取ったデジカメをしまおうとするが、ふと手を止める。
(結構撮れたと思うけど、一応確認しないとね)
そう思い写真フォルダを開く。
花の写真と零斗さんの写真。
数枚写真を見ていると、ある事に気付く。
(なんか零斗さんばっかりの気が…)
俺は少し焦りながらも写真を確認する。
(えっと…花、花、零斗さん。零斗さん、零斗さん、花。零斗さん、零斗さん、零… )
俺はそっとカメラをしまう。
「…すみません零斗さん。食べ終わったらもう一周していいですか? もう少し撮りたくて」
「好きにしろよ。一応快の付き添いだし」
(付き添い…)
デートって思ってくれていいのに。
俺は何だか、申し訳なくなる。
「あの…つまんなかったら帰ってもいいですよ。俺も写真撮ったら帰りますし」
「別につまんなくねぇよ。あと俺はもっと快といたい」
胸がドキッとする。
「…零斗さん、そういう事平気で言うんですね」
「いやっ、誰にでも言ってる訳じゃねぇから。快だけ…だから」
零斗さんの頬が赤く染まる。
「…そうですか」
恥ずかしくなり、少し素っ気なくなってしまう。
俺の様子を見て焦ってしまったようで、零斗さんは慌てて言う。
「ま、まぁ、俺の言葉なんて信じらんねぇよな」
「そんな事無いです。ちゃんと信じてますから」
「…そうかよ」
照れのオーラ。
見た目じゃ分かんない事も、俺には分かる。
零斗さんは怖そうに見えるけど、実は照れ屋で誠実で、それに可愛い。
(なんか好きだな…)
ふと、零斗さんが呟く。
「…好きな奴の事考えてんのか?」
「えっ…ま、まぁ。そうですね」
(目の前の人だけど…)
「甘い匂い、したから」
零斗さんが目を逸らす。
嫉妬と不安と、空腹のオーラ。
「…お腹空いてますよね。後で俺の熱吸います?」
「いや、いい。別にそんな腹減ってねぇし」
そう言う零斗さんには変わらず空腹のオーラと我慢のオーラが見える。
「でも、俺も今から食べますし零斗さんも栄養補給しないと」
「別に俺も今から食うし。飯からも一応栄養補給出来るから平気。夜に客来るし…」
嘘のオーラと我慢のオーラ。
「…分かりました」
嘘だって、我慢しているって分かっていたけど、これ以上粘るのは良くない気がして。
昼食が終わると、もう一度フラワーパークを回る。
今度はちゃんと花の写真をたくさん撮れた。
たまに零斗さんも撮っちゃったけど。
再び回り終わったが、何となくまだ帰りなくなくて、俺は近くの売店を指差す。
「あれ、食べたいです」
「あ? どれだよ」
「えっと…」
適当に指を差してしまっていた俺は咄嗟に売店の旗を指差す。
「あれです。白桃アイス」
「白桃好きなのか?」
「えっと…暑いんで」
そう誤魔化すと、零斗さんは売店の方へ歩き出す。
俺はそんな零斗さんについて行く。
売店の注文口で零斗さんが言う。
「白桃アイス、二つください」
「アイス二つ。八百円ね」
零斗さんが財布を取り出すのを見て、俺も財布を取り出す。
「カードでお願いします」
零斗さんはそう言ってカードで支払いを済ませる。
「番号札で呼ぶからちょっと待っててね」
零斗さんが売店のおばちゃんから番号札を受け取り下がるのを見て、俺は四百円を差し出す。
「あの、これ」
「いい。俺の奢りな」
「いや。俺が食べたいって言ったんで…」
「俺が奢りてぇの。付き添いのお礼だと思って大人しく俺の言う事聞けよ」
「…分かりました」
俺はお金を財布にしまい、財布もカバンにしまった。
少し待ってカップに入ったアイスを受け取ると、近くのテーブルを指差す。
「あそこで食べましょう」
「そうだな」
向かい合って座り、アイスを一口食べる。
(美味っ…)
静かに味わっていると、零斗さんが呟く。
「快の好きな奴ってどんな奴なんだ?」
「えっ」
「どんな奴か気になるから」
「えっと…」
(どうしよう…)
俺の好きな人が自分だなんて少しも思ってないのだろう。
零斗さんは少し寂しそうなオーラを纏わせながら俺の言葉を待っている。
いっそ好きだと伝えてしまった方がいいのかもしれない。
でも俺は、そんな勇気が出なかった。
「…かっこいい人です。イケメンで、怖そうにみえるけど、実は優しい人です」
「怖そうに見えるって俺みたいだな。イケメンでも優しくもねぇけど」
「いや。零斗さんはイケメンですし優しいですよ」
「へえ。じゃあ好きな奴って俺?」
「えっ、あっ、いやっ…」
そう誤魔化すと、零斗さんはハハッと笑う。
「冗談だよ。ってか快もゲイなんだな」
「はい。ちっさい時から女の子に関心湧かなくて。恋愛出来ないタイプなのかなって思ってたんですけど、中学生の時に男子に告られて。全然嫌じゃなかったし、むしろ嬉しいって思ったんです。女子に告られた時は何とも思わなかったのに。その時自覚しました。あぁ。俺、男が好きなんだって」
「へぇ。まぁ、俺も似たようなもんだわ。高校で告られて、嫌じゃなくて嬉しかった。でも別に好きでもねぇからよく分かんなかったんだけど、なんとなく付き合うみたいな雰囲気になって」
(なんとなく…)
「そういう事もしてさ。そしたら俺、ハマっちゃって。そういう事に。そんなの男女関係なくただヤりてぇだけじゃねぇのって思うかもしんねぇけど、別に女とヤりてぇと思った事は無かったぜ」
「そうなんですね。恋愛感情は湧かないけど、性欲はあるから今の仕事してるんですか?」
「そうだな。大学ん時、熱全然吸ってなくて大学で倒れて。人通りねぇとこだったしマジ死んだわって諦めてたら、陽雅が助けてくれて。仲良くなったと思ったら今の仕事誘われて。ヤれるし熱貰えるし一石二鳥だからやるしかねぇだろって誘いに乗って今だわ」
「なるほど…」
「まぁ、要はただの変態だわ。引いただろ?」
零斗さんはそう言って苦笑いする。
不安と期待のオーラ。そして、好意のオーラの上に内緒のオーラ。
この感じは多分、わざと俺に嫌われようとしてる。
(俺が好きな人いるって分かったから…?)
「…引いてないです。そんなの、どうでもいいですから」
少し前の俺なら、軽蔑して酷い言葉を浴びせていたかもしれない。
でも、今の俺は零斗さんの全てを受け入れようとしている。
だって、確かに昔は恋愛感情なんて無かったかもしれないけど、今は俺の事を好きになってくれている。
性欲が強いとか別にどうでもいい。俺を見てくれてるから。それに俺も、零斗さんの事好きだし。
「俺は零斗さんが…」
あれ。言葉が出ない。
好きって言うのってこんなに難しかったっけ。
好きって伝えたいのに。なんで言葉が出ないんだ。
「…そうだよな。俺の事なんてどうでもいいよな」
「いやっ…」
「もう無理して俺に会わなくていいぜ。気使ってくれてありがとな」
「ちが…」
「俺、もう帰るわ。快はゆっくり食べてろよ」
そう言いながら零斗さんは立ち上がる。
「じゃあ俺も…」
「悪ぃ。一人で帰りてぇんだ」
そう言う零斗さんに嘘のオーラはない。本心だ。
「…分かりました」
「じゃあな」
零斗さんはそう呟き、カップを持って去っていく。
その背中はなんだか寂しそうで、声を掛けてあげたいのに、俺の体は動かなかった。