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面倒臭いけど、シャワーに入るなら顔も洗って、またメイクし直さなければならない。
本当ならベースメイクをして眉毛を描いて終わりにしたいけど、涼さんと篠宮さんが用意したデートコースを、そのメイクで行く勇気はない。
少なくともちゃんとお洒落をして、フルメイクで臨むのが礼儀だ。
洗面所でメイクを落として服を脱ぎ、バスルームに入ってシャワーを出した時――。
「お邪魔します」
「ギャッ!」
突然バスルームのドアが開いて涼さんが入ってきて、私は悲鳴を上げる。
「な……っ、なん……っ」
両手で胸元を覆ってプルプル震えていると、涼さんはシャワーヘッドを高い所に掛けて「あー……」とシャワーを浴び始めた。
「……なにやってるんですか」
呆然として尋ねると、彼は濡れた手で前髪を掻き上げ、妖艶に笑う。
「~~~~っ! だっ、駄目ですからねっ! これから朱里たちと会うのに、エッチ、駄目、絶対!」
両腕をクロスさせてバツを作ると、彼はフハッと笑ってから私を抱き寄せた。
「したいけどしないよ。時間がないからね。……それに恵ちゃんを離したくなくなる」
「なら、どうして……」
腕を振り払おうとすると、クルッと体を反転させられた。
「ん”っ!」
目の前に鍛え上げられた胸板が迫り、私は変な声を漏らす。
涼さんはそんな私を見て微笑んだあと、私の右腕を握ってきた。
「どのへん?」
「え?」
「さっきの男に握られたの、どのへん?」
彼の意図を察し、私はほとほと呆れ果てる。
「別に腕を掴まれたぐらい、どうって事ないでしょう。痣がついた訳でもあるまいし」
そう言うと、涼さんは目を見開いて凝視してきた。怖い。
「恵ちゃんの腕に痣なんてつけられた日には、社会的に抹殺するしかなくなるよ?」
「そういうのいいですから」
嫌がると、涼さんは私の手首を見て「この辺かな?」と呟き、ボディソープを出すと両手で思いきり泡立て、腕を洗ってきた。
「まずはちゃんと消毒しないとね」
わあ……、筋金入りだ……。
私がドン引きしていると、涼さんは私の腕をよーく洗ったあと、シャワーで洗い流した。
さらに彼は、洗ったばかりのそこにチュッチュッとキスをしてくる。
「へっ!?」
驚いて上ずった声を漏らしても、涼さんは手首にキスするのをやめない。
彼は掴まれていただろう場所に、まんべんなく唇をつけたあと、「こんなもんかな……」と呟いて顔を離す。
「また洗いますね」
「ひどい」
そんなやり取りをしている間も、私たちはシャワーに打たれている。
「まったく……」
さり気なく腕で胸元を隠しつつ、濡れた髪を掻き上げると、涼さんはニッコリ笑う。
「消毒終わり。……これで気が済んだとは言わないけど、まだめっちゃムカムカしてるけど、とりあえず応急処置は終わり」
「怪我してません」
「腕から全身に〝あの男菌〟が回ってるんじゃないかと思うと……」
「菌とか言うの良くない」
「ごめんなさい。じゃあ、感染」
涼さんはめっちゃ不服そうに、病んだ目で私を見て言う。
「っっっはぁ~~~~~~~~…………。しょうがないなぁ…………」
私は大きな溜め息をつき、ドンッと涼さんの胸板に掌を押しつける。
「気をつけますから。今度から言われた通りにしますから、しつこく怒らないでください。あの人だって悪気があった訳じゃないだろうし、もう終わり!」
ピシャッと言うと、涼さんは溜め息をついて肩を落とす。
「……分かったよ。恵ちゃん、髪洗って。体洗ってあげるから」
彼は少し気落ちした様子で言い、ボディソープをネットで泡立てると、私の体に両手を這わせてきた。
「んっ……」
ビクッとして声を漏らすと、耳元で「駄目だよ」と囁かれる。
「しないんだから、そんな声を出して俺を誘惑しようとしても駄目」
「してな……っ、――――ぃ」
時間がないというのに、涼さんは両手で乳房を揉んでくる。
泡まみれの手が素肌を滑る感触がなんとも言えず、私はビクビクッと震えて彼の両手首を掴んだ。