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ごめん見るの遅くなった! 私の歌声ってすごいの?
歪む空間。無重力のような感覚が全員を包み込む中、メタノスケがゆっくりと歩を進めた。その背中には、計り知れない威圧感が滲み出ている。
「さて、次の試練だ。」
彼が神刀を軽く振ると、空間がざわめき、無数の光の刃が周囲に現れる。それは空が裂けているような光景だった。
「私は空を操る力だ。」
メタノスケの声には、絶対的な自信が宿っていた。「単純な力で勝てると思うな。」
「そんなもの、乗り越えてみせる!」
萌香は自らの手に雷を纏わせ、一歩前に出る。彼女の目には迷いがなかった。それはこれまでの戦いを通じて培われた自信と、仲間とともに進む覚悟だった。
「お前の力を乗り越えた先に、何があるのか見てみたい!」
雷が炸裂し、空間を貫いていく。しかし、メタノスケはその雷を手にした刀で再び切り裂く。その動きはあまりにも鮮やかで、一切の隙を感じさせない。
「力じゃない、知恵で挑むんだ。」
いさなは冷静に状況を分析していた。釜の力で地面を変形させ、相手の足元を崩す。だが、その戦略もメタノスケの空間操作の前には届かない。
「賢いが、まだ甘い。」
メタノスケは一瞬で崩れた地面を元に戻し、逆にいさなを追い詰めるような空間を創り出した。
「それでも、やるしかないでしょ!」
みりんはろ過の力で周囲のエネルギーを純化させ、空間をねじ伏せるように試みた。その技術は繊細で、一見すると隙のないメタノスケの防御を少しだけ揺るがしたように見えた。
「おっ、やるじゃないか。」
メタノスケが初めてわずかに感心したような声を漏らす。その瞬間が突破口となることを、みりんは確信した。
戦いが激しさを増す中、つきは一歩引いた位置にいた。しかし、その目は冷静に戦況を見据え、最適なタイミングを見極めていた。
「そろそろ出番みたいね。」
彼女が静かに前に出ると、周囲の空気が一変した。その冷たい瞳に宿るのは、絶対的な自信と確固たる意思だった。
つきの地獄耳は戦いの中で最も微細な音をも捉えていた。刀が空間を裂く音、仲間の息遣い、敵の一瞬の動き。その全てを理解した上で、つきは短い一言を呟いた。
「終わりよ、メタノスケ。」
つきが一歩踏み出した瞬間、空間が震えた。彼女の歌声が静かに響き始め、それが次第に戦場全体を支配する音へと変わっていった。
つきの歌声に応じて、萌香、いさな、みりんの力が共鳴する。それぞれの異能がつきに引き寄せられるように、統合され始めた。
雷、釜、ろ過――そして歌声。その融合が、新たな力を生み出した。
「これが…私たちの力。」
萌香が呟くと同時に、圧倒的なエネルギーが解き放たれる。それは、メタノスケの空間操作をも凌駕する力だった。
「なるほど…ここまでやるとは。」
メタノスケはわずかに口元を緩めた。その目には、これまでとは違う感情――敬意が宿っていた。
彼は刀を収め、静かに頭を下げた。
「試練はこれで終わりだ。君たちは次の道を進む資格がある。」