テラーノベル
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すたーと!
夕方。
亮平は、テーブルの上に一枚の封筒を置いた。
「ねぇ、みんな」
その声のトーンで、何かを察する子もいる。
「来週、予防接種だから」
――静寂。
一秒。
二秒。
三秒後。
「いやだあああああ!!!!!」
だいすけがソファから転げ落ちる勢いで叫んだ。
「絶対やだ!無理!逃げる!」
「逃げない」
亮平は淡々。
「なんで!?元気だよ!元気なのに!?」
「予防だから」
「それがわかんない!」
床をばたばたする小5。
「ままぁ……」
横でこうじの目がうるむ。
「いたい?」
「ちょっとね」
「やだ……」
ぽろぽろ泣き始める。
ひかるは固まっている。
「……」
完全に思考停止。
「ひかる?」
「……チーン」
魂が抜けた顔。
「まじか……」
しょうたは顔色が変わる。
「え、待って、集団?」
「家族で」
「最悪」
震えている。
強がっているけど、目が泳いでいる。
ラウールは、きょとん。
「なにそれ」
「ちょっとチクってするやつ」
「なんで?」
「元気でいるため」
「……ふーん」
意味が半分しかわかっていない。
りょうたは静かに封筒を見ている。
「いつ?」
「土曜」
「午前?」
「うん」
冷静。
たつやは、ため息をついてから立ち上がる。
「はいはい、騒がない」
だいすけの肩をぽんと叩く。
「一瞬で終わるって」
「嘘だ!」
「ほんと」
こうじにも、
「大丈夫。終わったらアイス」
「ほんと?」
「たぶん」
ちょっと適当。
そのとき。
「……りょうへい」
低い声。
蓮だ。
顔が、若干こわばっている。
「なに」
「俺も?」
「家族で」
「……」
震えている。
子どもたちが一斉に見る。
「ぱぱ?」
「大人だよね?」
「うん」
「大人もやるの?」
「やる」
蓮、静かにソファに座る。
「……りょうへいの隣がいい」
「やだ」
即答。
リビングは完全にカオス。
だいすけは「いやだー!」を連呼。
こうじは泣き続け。
ひかるはまだ帰ってこない。
しょうたは絶望顔でスマホを握り。
ラウールは状況を観察中。
その中心で。
亮平は、腕を組む。
「はい、聞いて」
声は落ち着いている。
ぴたっと、空気が止まる。
「逃げない。暴れない。順番守る」
「やだー!」
「だいすけ」
名前を呼ばれた瞬間、止まる。
「終わったら、ご褒美ある」
「なに!?」
単純。
「当日まで秘密」
「ずるい!」
「がんばった人だけ」
「がんばる!」
早い。
「こうじ」
「……」
「手、ぎゅってする?」
こくん。
「しょうた」
「……痛い?」
「一瞬」
「ほんと?」
「ほんと」
目を合わせると、少し落ち着く。
「ひかる」
「……生きて帰れる?」
「帰れる」
「プロテイン飲める?」
「飲める」
「……よし」
復活。
「蓮」
「……はい」
「一番騒いだら置いてく」
「騒がない!」
即答。
りょうたとたつやは、顔を見合わせる。
「大変だね」
「だね」
でも、二人とも笑っている。
落ち着いているのは、
たつや、りょうた、亮平。
波乱は、まだ始まったばかり。
土曜日までの数日間、
家の中はきっと何度もその話題で揺れる。
亮平は小さく息を吐いた。
「……さて」
胃が少し、きゅっとする。
でも顔は笑っている。
「全員、覚悟しといてね」
目黒家、最大級のイベントが迫っていた。
はい!おかえりなさぁい!!
続き、お楽しみに!
コメント
10件
キュンです⸜❤︎⸝予防接種私もヤダ笑みんなどうなるのかな?めっちゃ楽しみ(っ ॑꒳ ॑c)

皆んな可愛い😍 注射そりゃやだよな。 めめパパ頑張れ