探究
佐久間「うん……だいぶ動けるな」
俺が発情期に入って5日、体の痛みや気持ち悪さもなくなりフェロモンもあまり感じない。今日は日曜。後2日ほどで学校に行ける。入学式の次の日すぐに休む羽目になってクラスに行くのが少し気まずい。でも俺は不良、そんなの気にしてられない。
佐久間「あ、宮舘にも謝らなきゃ」
2日後、俺は登校した。クラスに入ると注目を浴びる。そりゃそうだ、だって俺の髪色はピンク。別に好きじゃない、似合ってるかも分からない、でもなぜか俺はこの髪が好き。
午前の授業が終わった。休んでいたこともあって内容はちんぷんかんぷん。でも俺は授業を受けた。運命的な出会いをしたから。
“阿部先生”と呼ばれるふわふわとした先生。どこか目に光がない時があるが優しく可愛らしい人だと第一印象で思った。阿部先生は雑談を交えながら進めるため、皆もう心をひらいているようにも見えた。
俺が心から可愛いと思ったのはいつ以来だろう。だから俺はこの人を運命の人と思ったのだった。
午後の授業、サボった。眠たくなって屋上へ行く。立ち入り禁止とか書かれてないから入っていいのだろう。
ガチャ…
佐久間「わっ…見晴らしいいな………」
奥へ進み、そこからの景色に唖然とした。海に近いのさこの学校。潮風がここまで届いてしょっぱさを感じる。あぁ…ここの学校に来てよかった。俺を求めてたわけではない、でも何故かそう思ってしまった。
「あ、」
佐久間「およ?」
声が後ろからした。俺がすぐに振り返ったときには彼の身体が宙に浮いている。足を動かしたかったのに、今俺の目の前で何が起きているのか脳で処理できず動けない。
ドンッ
大きな音がする。彼の身体が地面へとついた。痛いだろう、俺はすぐさま彼に駆け寄った。
佐久間「おい!大丈夫か“宮舘”!!」
宮舘「…うっ……だい…じょぶ…ッ」
佐久間「危ないだろあんなとこ登っちゃッ!」
宮舘「ご、ごめん……?」
佐久間「頭とか痛くない?痺れるとこない?あんまり頭動かさないようにちょっと横になって」
宮舘「いや………俺だいじょ……」
佐久間「駄目、横になって?」
宮舘「は………ぃ…」
宮舘を横にし、少しだけ彼の顔に触れる。彼は驚いたのかピクッと身体が動く。俺は大丈夫、と声をかけながら頭を優しく撫でる。宮舘は何故そんなことをするのかと言わんばかりの困った顔をしている。困り眉で俺を見つめている。
こういう時、何が起きたのか分からなくて混乱する人がいる…そういう人は楽な姿勢にさせて落ち着かれるんだよ、この言葉が脳裏をよぎる。これは祖母から言われた言葉だ。
佐久間「…」 ナデナデ…
(人は落ち着くことが好きなんだ……ってばあちゃん言ってたな)
宮舘「さく……まっ……くん、俺もう、大丈夫だよ…」
佐久間「…ほんと?このまま寝てもいいんだよ?疲れてるんでしょ?」 ニコッ…
宮舘「…うぅん……大丈夫、ありがとう…」
彼は目をトロトロさせていた。目の下には隠しきれていないクマが広がっている。寝不足なのかもしれないな。無理しないでほしい。
宮舘「…さくまくん?」
佐久間「!…あ、そうだ。この前追い回しちゃってごめんね?聞きたいことあってさ…笑」
宮舘「…ううんっ俺も声荒げちゃってごめんなさい」
佐久間「…?……うん、大丈夫だよ」 ナデナデ
彼は本当に不良か?こんなに気品あるれる人が人を殴るのだろうか。言葉遣いも丁寧で物静かでまじめな雰囲気。俺の質問箱がどんどん膨らんでいく。
佐久間「…ねぇ宮舘?君って本当に……」
宮舘「?」
バンッ!
佐久間,宮舘「ビクッ!!」
渡辺『宮舘ぇッッ!!?…ってなんしてんの?お前らって仲良かったっけ?』
佐久間「いや、まぁ色々?」
誰だこの人、ふつーの服着てるって事は教師か。宮舘に用があるのか?それならなぜそんなに慌てているんだ?
渡辺『まぁいいや宮舘っ!お前また授業サボったろ!?ここ1週間ずっと!留年なるよ!?』
宮舘「……別に…留年していいもん……ッッ」
渡辺『こら!こんな事言わない!』
宮舘「やだ…!そしたらずっと翔太と一緒いれるもん…!」
渡辺『そんな事しなくてもいつでも一緒だろ?!授業ちゃんと受けなさい!』 ググッ(引張
宮舘「やだ!授業嫌だっ!」
渡辺『俺が教えてやるから!お願い授業出て!』
宮舘「ムゥ……」
佐久間「……マジか…笑」
不良と言うより、なんだろう。甘えん坊とも言えない我儘とも言えないこの人格。あの人とずっと一緒にいたい。彼はそう言いたいのだろうと俺は思った。物静かでクールなイメージだと思っていた宮舘の新たな一面が見れて、俺はますます宮舘に興味を持った。
コメント
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今回も最高です! 続き楽しみにしてます!