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白山小梅
白山小梅
12
割りと可愛く強請ったつもりなのに、効き目はゼロ。むすっと膨れて寝返りを打つと、思い切り布団を被った。
「あっそ!おやすみ!」
「柴崎」
布団を剥ぎ取りあたしに覆いかぶさった柊は、軽いモーションで口づけをした。ちゅく、と可愛い音を鳴らして何度かキスを落とした柊は、ゆっくりと顔を離す。
宝石を閉じ込めた瞳は、目尻が優しげに落ちて、あまったるい笑みを浮かべているから
それと同じスピードで、あたしの心臓が動く。
柊はあたしへ軽く布団を被せて、その上からホールドしてくるから、寝返りはおろか、身動きすら取れない。これじゃあほんものの抱き枕だ。
「おやすみ」
「……おやすみ」
柊は、こんな甘いこと、恋人みたいなこと、セフレであれば誰にでもしてくれるのかな。
すぐにモヤモヤは晴れた。でも、別の切なさが胸に広がる。
虚しいだけの愛しさは、いくら抱えると昇華するのだろう。
離れている時は、柊が近くに居ないことに慣れていたから良かった。近くに居れば切なさが増すなんて聞いてない。
……聞いてないよ。
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