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「おまえを育てたかったし……突き放したのも、そのせい。まぁ、仕事は要領だからな……それくらい、自分で覚えないとって感じで」
チーフに選ばれるべくして選ばれた銀河だったからこそ、言える言葉のように思えた。
「……悔しい……」
自分は初めからこの男の手の平で踊らされていただけだったとわかると、改めて悔し涙がこぼれた。
「なんで、泣くんだよ……」
眉を寄せ、困ったようにも口にする銀河に、
「あなたが、ただの軽薄なだけの男じゃなかったから……」
と、精一杯の嫌味を返した。
「それだけの男なわけがないだろ……この俺が」
すると、銀河はまたしてもにやりと笑って、
「……試してみるか?」
と、私の身体をグッと引き寄せた。
──夜の社内に、ふたりっきり。
三度目のキスは、熱くとろけるように甘く……。
彼のスーツから仄かに香る、吸っているタバコの銘柄と愛用のコロンが入り混じる男性的な魅惑の匂いに、酔いしれてしまいそうで、倒れ込むように抱きついた。
両腕できつく抱きとめられて、
「気になってたんだ……ずっと、前から……おまえが」
彼のひそめた声が、私の首筋をゾクッとなぞる。
「私だって……気になってた、ずっと……」
自分自身の心の奥に潜んでいた気持ちに不意に気づかされて、やっぱりちょっと悔しいような想いで、そのスーツの背中をギュッと両手でつかんだ。
「上…向けよ…」
うずめた胸から顔を上げると、キスが降りてきた。
まるで立ってもいられないくらいに激しくも淫らな口づけに、体が壁を滑り落ちかける。
その腰が両腕に強く抱きかかえられ、
「理沙……」
名前が呼ばれ、耳元にそっと唇で触れられた。
銀河の声が、吐息が、じかに耳の奥に届く。
「もっと、俺にこたえて見せろよ…理沙」
囁かれ、思わず、
「ん…」
と、抑えきれない声が漏れた。
銀河の胸に抱かれ、ふつふつと熱くつのっていく想い……。
甘く危険な彼との夜は、まだ始まったばかり……。
-END-
次は、流星「俺様モテ教師と、秘密の体験」