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女の子ばかりの私立高校で、もっとも人気のある男性教師──化学担当の流星
私は、この教師が嫌いだった。
女子高生たちにモテまくってるせいか、えらそうで傲慢な感じばかりが鼻につく。
本当なら関わりたくはなかったんだけれど、その日の授業でどうしてもわからないところがあって、廊下で先生を呼び止めた。
「先生…流星先生!」
「なんだよ?」
羽織っている白衣の裾をひるがえして、こちらをチラリと振り返る。
なんで、生徒に対して「なんだよ?」とか言うわけ……と、既にキレそうにもなる私。
そんな私のキレ具合なんて気にもしてない風で、
「誰かと思えば、夏目かよ? 成績優秀なお嬢様が、なんか用でもあるのか?」
と、口にしてニッと笑った。
それが、教師の言い草なんだろうかと思う。
「教えてほしいところがあるんですが……」
込み上げる怒りをこらえて言う。
「ああ、わからないことがあるんだ? おまえでも…」
相変わらずニヤついている顔に加えて、いちいち突っかかってくるような言い方も、どうにも憎たらしくてたまらなかったけれど、
「ここなんですけど……」
わざわざ反論をする気にもならず、あえて無視をしてノートをひらいて見せると、
「ああ、悪い。今ちょっと時間取れないから、後にしてもらっていいか?」
そう軽くあしらわれた。
「じゃあ…いつなら、いいんですか?」
ややムッとして聞き返す。
「放課後…職員室に来てくれないか」
「わかりました。じゃあ放課後に行きますんで、よろしくお願いします」
形ばかりのお礼を言って、早々に踵を返した。
口の端で薄く笑うあの顔をいつまでも見ていると、本当にムカムカしてきそうだった。