「ええで、久しぶりやからって手加減せえへんで?」
そう言って、そうちゃんは
よっしゃ〜!と伸び〜をしながら
道場の真ん中らへんへ。
私も、久しぶりやし体動くかなぁと
軽くストレッチをする。
「ほんで、なんの稽古すんのん?未来んとこの素手?木刀?」
『素手やな!』
________
向かい合う。
「ほな、始めよか。準備ええか?」
『うん!いつでもOK』
ふぅ……と深呼吸をして息を整える。
そして
1歩。
前を出て、そうちゃんに拳を向ける。
避けられた!
『はっ!』
じゃあこれはどうや!
右斜め上!
『せいっ!』
足蹴り!
……
……
「未来、どないした?当たってへんで」
そう、ニヤニヤしながら余裕そうにそうちゃんは言う。
『んん〜!これならどうや!』
悔しい。
悔しい____
そうちゃん、ほんまに強なっとる____
私がしばらく稽古やってへんだけで、
こんなに差が出るもんなんや____
「じゃあ反撃といこか」
そう言うたかと思えば、
さっきまで避け続けた私の拳を
ギュッと受け止めるように握った____
ほんで
「遅いよ未来」
耳元で、そう、言うたかと思えば____
足を回され
『ひゃっ!?』
後ろに倒れる!
そう、思って受け身とろうと思ったけど
「よっと。」
そうちゃんに背中を、……足を……
抱き抱えられた!?
『あれ?!』
私がそう言い、つぶってた目を開けると
「僕の勝ちやな」
目の前にニヤニヤしながら言うそうちゃんの顔が____
えっ……///
『え!?はや……!?』
もう一瞬のことすぎて分からへんかった……
そやし……
『この体勢恥ずかしいねんけど……///』
そうちゃんは私が後ろに倒れへんように支えてくれとるみたいやけど……
これどう考えてもお姫様抱っこやん!
私がこんなにもあたふたしとるし
叫び散らかしとるのに
そうちゃんは
「………」
無言で私を見つめる。
ほんで、
口を開いたかと思えば
「なぁ、未来」
『へ?』
「僕の勝ちに免じてお願い聞いてくれん?」
『ええけど……』
なんやろ……
そんな真剣な顔して……
私も緊張してゴクリと唾を飲み込み構える。
そして、
そうちゃんが口を開いた。
「……僕と付き合うてくれませんか」
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