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更新サボってましたスイマセン

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 風が止んでいた。

 さっきまで吹いていた森のざわめきも、なぜか、突然のように音を潜めている。


 「……風が息を止めてる」


 花山めののは立ち止まり、空を見上げた。

 雲ひとつない空。あまりにも綺麗すぎて、不自然だった。


 この場所は、かつて“空の神”が顕現したとされる旧跡。

 神殿のような形ではない。代わりに、丘の上の、ぽつんとした石の円。

 何のために作られたのかもわからないが、彼女の心はここへと導かれていた。


 空の神。

 あざとく、無邪気で、天真爛漫。

 そして――裏では、何かとんでもないことをしていた「可能性がある」存在。


 めののは、それを信じきれずにいた。

 自分が信じてきたものが、もし偽りだったら――

 それは、ただの裏切りじゃない。

 自分という存在そのものの、否定になる。


 「……ほんと、ヒントも何もくれないんだから」


 丘の中央に立ち、ふと下を見る。

 そこに、風に半ば埋もれた紙片のようなものが見えた。


 白い紙。角が焼け、端は破れている。

 それなのに、中央に描かれているのは――**やたらと鮮やかな“絵”**だった。


 「……これって……」


 彼女はしゃがみ、紙をそっと拾い上げる。

 その瞬間、ぴたりと空気が止まった。


 描かれていたのは、“空”に浮かぶ巨大な瞳。

 周囲は歪んでいて、現実なのか幻想なのかもわからない。

 だが、その瞳が“こちら”を見ている感覚は、間違いなく本物だった。


 ――《ぼくの世界を描くんだ》

 ――《ぼくがきみの世界を描いてあげるよ》


 どこからともなく、優しく、幼いような声が響いた気がした。


 めののは、息をのむ。


 「……これは、神様が……描いた絵?」


 震える指先が、絵の瞳に触れた瞬間――

 空の色が、一瞬だけ、赤く染まった。

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