更新サボってましたスイマセン
✄——————-‐✄
風が止んでいた。
さっきまで吹いていた森のざわめきも、なぜか、突然のように音を潜めている。
「……風が息を止めてる」
花山めののは立ち止まり、空を見上げた。
雲ひとつない空。あまりにも綺麗すぎて、不自然だった。
この場所は、かつて“空の神”が顕現したとされる旧跡。
神殿のような形ではない。代わりに、丘の上の、ぽつんとした石の円。
何のために作られたのかもわからないが、彼女の心はここへと導かれていた。
空の神。
あざとく、無邪気で、天真爛漫。
そして――裏では、何かとんでもないことをしていた「可能性がある」存在。
めののは、それを信じきれずにいた。
自分が信じてきたものが、もし偽りだったら――
それは、ただの裏切りじゃない。
自分という存在そのものの、否定になる。
「……ほんと、ヒントも何もくれないんだから」
丘の中央に立ち、ふと下を見る。
そこに、風に半ば埋もれた紙片のようなものが見えた。
白い紙。角が焼け、端は破れている。
それなのに、中央に描かれているのは――**やたらと鮮やかな“絵”**だった。
「……これって……」
彼女はしゃがみ、紙をそっと拾い上げる。
その瞬間、ぴたりと空気が止まった。
描かれていたのは、“空”に浮かぶ巨大な瞳。
周囲は歪んでいて、現実なのか幻想なのかもわからない。
だが、その瞳が“こちら”を見ている感覚は、間違いなく本物だった。
――《ぼくの世界を描くんだ》
――《ぼくがきみの世界を描いてあげるよ》
どこからともなく、優しく、幼いような声が響いた気がした。
めののは、息をのむ。
「……これは、神様が……描いた絵?」
震える指先が、絵の瞳に触れた瞬間――
空の色が、一瞬だけ、赤く染まった。
✄——————-‐✄
♡ありがとう