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ふみくんの本当の気持ちを知りたい
ふみくんが最近、自分を避けている気がする。
最初は気のせいだと思った。
リーダーはいつも忙しいし、俺だけに構っていられるわけじゃない。
グループ全体をまとめながら、ダンスの振り付けも考えて、スタッフとの打ち合わせもこなして、ほぼ休む暇もないくらい働いている。
俺だって忙しいはずなのに、それでもついふみくんのことばかり考えてしまう。
リハーサル中も、移動の車の中でも、楽屋でも。
でも、気のせいじゃないことに気づいてしまった。
楽屋でふと顔を上げたとき、向かい側にいたふみくんと目が合いそうになった。
けれど、その瞬間、彼はさりげなく視線を逸らした。
たまたまだと思いたかった。
でも、それが一度や二度じゃないことに気づいてしまった。
話しかければ、ちゃんと返事はくれる。
でも、前みたいにくだらない冗談を言い合うことはほとんどなくなった。
俺が「最近忙しそうですね、ふみくん」と冗談めかして言ったときも、ふみくんは「まあな」と短く答えただけで、それ以上の言葉はなかった。
前なら、「お前も練習付き合えよ」とか、「リーダーはつらいんだぞ」とか、俺を巻き込むような言葉を返してきたのに。
リハーサルでもそうだ。
俺が振りを間違えれば、ふみくんは当然のように指摘してくれる。
でも、それだけ。
以前なら、小さく笑いながら「どうした？ お前らしくないな」って言ってくれたのに。
あるいは、俺が悔しそうな顔をしていると、「焦るな。もう一回やるぞ」と、俺が言う前に声をかけてくれたのに。
最近は、必要最低限のやりとりしかない。
たとえば、他のメンバーといるとき。
ケビンくんやもりくんと話しているときのふみくんは、いつも通りに見える。
みんなで話しているときは、俺にも普通に接してくれる。
でも、二人きりになると、どこかぎこちない。
まるで、俺と目を合わせるのを避けているみたいに。
（何か怒らせるようなこと、しただろうか？）
そう思って必死に記憶を辿るけれど、心当たりはない。
むしろ、前よりも俺はふみくんの役に立ちたいと思っていた。
リーダーの負担を少しでも減らしたくて、ダンスの細かい調整を手伝ったり、メンバーのまとめ役を買って出たりもした。
でも、それが逆効果だったんだろうか。
（もしかして、俺……迷惑だった？）
そう思った瞬間、心臓がギュッと縮こまる。
ふみくんは、俺のことをどう思っているんだろう。
俺にとっては、ずっと憧れで、大切な存在で、特別な人だった。
でも、ふみくんにとって、俺はどうなんだろう。
（ふみくんにとって、俺は“ただの後輩”なんだろうか？）
そんな考えが頭をよぎると、胸の奥がズキズキと痛んだ。
俺たちは同じグループの仲間で、先輩と後輩で、それ以上でもそれ以下でもない。
ずっとそうだったはずなのに。
なのに、どうしてこんなに寂しいんだろう。
どうして、ふみくんの視線を感じるたび、避けられている気がして、こんなにも苦しくなるんだろう。
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