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次の日になっても、手掛かりになりそうなものは見つからなかった。『無駄だよ。あの子は、そんなんじゃ見つからない。だから、剣士を辞めるんだ。そうすれば、すぐに助けられる。』
レインなら、ほぼ全てを知っている。
でも、
『っ!』
剣士を辞めて、本当のことを教えてくれるのだろうか。
僕を、利用しようとはしてないだろうか。
『今、あの子は危険な状態だ。早く行かないと手遅れになるよ?』
危険な状態…
『もし、本当だったら辞める。だから、先に教えてくれないか?』
『僕は、損はしたくないんだ。だから、それはできないね。』
まぁ、予想はしていた。
『辞めてもお金なら僕からちゃんと渡すよ。何も、心配することはない。』
『剣士を辞めさせることに、何があるんだ?』
レインはまた、怪しい笑みを浮かべる。
『君に剣は合わない。君は、ナイフの方が合っているんだよ。だから、剣士はやめた方がいい。』
それは…
僕も感じていた。
ナイフの方が戦いやすいと思っていた。
『辞めるなら、このナイフを君にあげよう。』
レインが、ナイフを取り出す。
『これは、君専用に作ったんだ。今まで君を見てきて、特徴に合わせて作ったんだよ。』
『・・・』
『あの子が助かり、君も強くなる。どうだい?いいとは思わないかい?』
いかにも怪しい。
敵として見ているし、間違いなくしないだろう。
でも、今だけは違った。
『わかった、辞めよう…』
もう一度、入ればいい。
入れるのなら、だけど。
それより、
それ以上に、
茜さんを助けたかった。
『君は、最後まで断るのではないかと思っちゃったよ。』
『っ…』
こうするしか、なかった。
『さて、なら辞めると電話をしてくれないか?』
僕は、スマホを取り出す。
『あぁ、僕のことは言わないでね。』
『くっ!』
鬼塚さんに、電話をかけた。
『どうした、もう戻っていいぞ。』
鬼塚さんが、電話に出た。
『申し訳ございません。剣士を、辞めます。』
静かな時間。
何も、言ってはこなかった。
『辞めさせてください…』
『それは、お前の意思か?』
っ!
それはっ、
『はい、そうです。』
本当は、辞めたくない。
でも、そうするしか…
茜さんを助ける方法はない。
『わかった。今までご苦労だった。』
電話が切れる。
僕は下を向いた。
『終わったみたいだね。』
視界に、レインの足が見える。
『剣は、僕がもらう。』
『それが狙いか?』
『いや、違うよ。僕も、剣は合わないからね。』
剣を、レインに渡した。
『さて、茜がいる場所を教えよう。あの子は今この島にはいない、船で隣の島まで連れて行かれているはずだ。』
この島に、いないのか。
『こっちに来て、連れて行ってあげるよ。』
僕は、黙ってついていく。
港から、一つの小型の船に乗る。
『リンネ、2人をよろしくな。』
『はい、かしこまりました。』
リンネ、
あの時いた少女がいた。
レインは、操縦席らしきところに行く。
『銅様、そちらは危険です、こちらへ。』
リンネが言った。
様、か…
僕は、案内された方に行く。
と、
船のエンジンがかかる。
そして、動き出した。
『どこへ行く気なんだ、』
『無名の島、私たちは苦殺島[クサツトウ]と呼んでいる島に向かっています。そこに、実験施設があります。』
『実験施設…』
嫌な予感がする。
そこに、茜さんがいるのなら、
本当に危険だ。
『実験体にされたと思われる、殺傷能力の高い人間が多くおり、何人もの侵入者が帰って来れなかったそうです。』
『・・・』
本当に、大丈夫なんだろうか。
せめて、琥珀さんと茜さんだけでも助けないと。
『銅様、こちらが銅様用のナイフです。』
ナイフを手渡された。
先ほどレインが持っていたものだ
ナイフを受け取る。
このナイフ、戦闘用みたいだけど、
握った感じも、重さもかなりいい。
『もう少しで着きます、準備をお願いします。』
進行方向に、島らしき何かが見える。