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下着姿になったわたしを見て、その子の顔が赤くなる。
「次はあたし!」
『はい』
今度はスカートを脱いで渡した。子どもは全部で四人いた。残りの子にはブラジャーとパンツを脱いで渡す。みんなの目の前で裸になってしまった……。恥ずかしくて死にたい……。
「絶対に見つからない場所に隠さなくちゃ!」
そういうと、最後の子は走り去っていった。すでに隠し終わった他の三人は興味津々でこっちを見ている。
『じゃあ、探しにいこうか』
わたしの口はまた勝手にしゃべり出した。
「わかった!」
そういうと、三人ともバラバラの方向に向かって走っていった。わたしも慌てて服を探し始める。だけど、なかなかみつからなかった。その間にも、子どもたちはどんどん服を探しに行ってしまう。早くしないと……。焦れば焦るほど見つからなくて泣きそうになった。
「あったよー!!」
その時、遠くの方から声が聞こえた。見ると、その子が「宝物」を持って走ってきていた。
『よく見つけたねぇ、偉いぞー!』
わたしの体がまた口を動かす。
「へへん、どんなものだって見つけてみせるよ」
『よし、じゃあ、それは見つけた君の物だよ』
「えっ、いいの?」
その子が戸惑った表情を浮かべる。よくない! 全然よくない! けれどわたしの口が勝手に、
『もちろん。だってそれがルールだもの』
といった。結局、服は全部子どもたちに見つけられてしまった。
「もうこんな時間だ、じゃあね、お姉さん」
『うん、バイバーイ』
そして、子どもたちの姿が見えなくなるまで手を振っていた。と、そのとき、股の間から何かがにゅるりと落ちた。
「ひゃあっ!?」
そうだ、思い出してみたら、さっきの神社でアソコに変な違和感があったんだ。見てみると、瓜のようなものが落ちている。たぶん、裸でうろうろしたためにずれてきたのだろう。そして、それが外れると体の自由も戻った。
……それはよかったんだけど、服も下着も、子どもたちが持って行っちゃった……。全裸でどうやって帰ろう? 幸いここから家まで、人通りは多くないけれど、それでもやっぱり誰かに会うのは怖い。とりあえずもう少し暗くなるまで待とう。そうすれば暗くなって顔もよく見えないだろうし……。
その後、なんとか無事に帰りついたものの、どうやらその姿を誰かに見られていたらしい。数日後、結衣がこんな話をしてきた。
「ねえ、由美聞いて! 近くに小さい山があるじゃん、あのあたりで妖怪が出たんだって!」
「妖怪?」
「そう! なんでも、夕暮れ時に、山の近くで、裸で歩く女の姿を見た人がいたらしいよ、そんなの絶対妖怪じゃん!」
ごめん、結衣、それ私なんだ……とは言い出せなくて、この話、どうごまかしたものか……。(終り)