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◆本番直前・フォーメーション確認中
本番前の立ち位置調整。
スタッフの指示でわちゃわちゃしている中、
佐久間が背後からふっと近づく。
誰にも聞こえない、耳元ぎりぎりの距離。
「蓮、さっき……ビクってしたの、可愛かった」
「っ……ここでそういうこと言わないでっ」
囁き声なのに、呼吸が乱れる。
すると、目黒の反応に気づいた渡辺が眉を寄せた。
「めめ? 顔赤くね? 具合悪い?」
「だ、大丈夫!」
慌てて距離を取ろうとしたその瞬間――
佐久間が袖を軽く引っ張り、
手首を一瞬だけ指でなぞる。
たったそれだけで、喉がひりついた。
◆曲始まりの暗転中・ほぼ真っ暗なステージ裏
曲が始まる直前、ステージが暗くなる。
そのほんの数秒。
誰にも見えない瞬間。
佐久間の手が、後ろからそっと目黒の腰に触れた。
軽く指が沈む。
息が止まる。
「……蓮、逃げられないよ?」
小さすぎる囁き。
なのに、胸の奥まで響いた。
暗闇が明け、照明が点く。
何事もなかったように、佐久間は元の位置へ戻っていた。
笑顔で、明るく、いつもの佐久間。
でも目黒の心臓は、拍が狂ったように速い。
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