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人は皆本当の自分を隠して
偽りの自分を演じている
本当の自分なんて誰にもわからない
自分ですら分からなくなることもあるのだから
僕はまだ頑張らなきゃいけないのだろうか
こんなにもつらくて苦しいのに
家族にも看護師さんにもお医者さんにも
僕は平気だと演じている
髪は全部抜けて
顔は青白くなった
食欲もなくて
お腹と背中がとても痛い
今までしてきた怪我の痛みを合わせたって足りないぐらい痛い
それでも誰にも言えずにいる
僕は平気だと演じている
いっそ死んだほうが楽になれるんじゃないかと思うことがある
でも臆病な僕はそんなことをできずにいる
「…つらい…。」
思わず口に出てしまった
すると
隣のベットの男の子が
「そっか。」
と言ってきた。
「そりゃ、あんなに演じてたら嫌になるわな〜。」
っ…なんでわかったんだ?
「昔の自分見てるみたいで嫌だわ。」
この子は他の人と雰囲気が違う
本当の自分をさらけ出しているように見える
「目は嘘つけないんだね。口しか笑っとらんよ?」
「…変な人だね。」
また口に出してしまった
「もう、やめたんだ。」
「…?」
「手術したら記憶無くなるかもしれないから」
「怖くないの…?」
「ちょとだけな。…だからせめて今だけはありのままの自分でいようと思って。」
この子は僕なんかよりも勇気があって羨ましい
自分をちゃんと持っている
その子は手術をうけしばらくしてから戻ってきた
「大丈夫だった?」
と聞くと
「…ごめんなぁ。俺君のこと覚えてないんだ。」
予想はしてた
なのに
なぜか悲しい
すると看護師さんが来た
色々体調のことを聞かれた
痛くて辛いのは変わらないけど
大丈夫だって答えた
看護師さんがいなくなると
「…演じてたっていいんじゃない?君は嘘を付いてるって苦しんでんのかもしれないけど…
俺には優しさに見えた。
偽りの自分とかはないんだと思う。
それも含めて
君
なんじゃない?」
はじめて自分を認めてもらえたような気がした
偽りの自分もふくめて
僕
なんだと
ありもしない本当の自分を探そうとして
空回りして
迷子になっていた
そんな僕に
手を差し伸べ
行く道を照らしてくれた
僕は僕らしく
…短い人生になったとしても
生きる
僕に僕を教えてくれる人がいた
“僕”を見てくれる人がいた
“僕”に大切なことをくれる人がいた
僕が怖かったのは死ぬ事じゃなくて
“生きる”
事を怖がっていたということを教えてくれた
君は大切なものをなくした
それでも僕に手を差し伸べてくれた
“生きる”事は怖くないと
自分で証明してみせた
だから僕は
君が自慢できるぐらい
立派に
生きる