TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「アイナ様っ!!」


アイーシャさんたちとの話を終えて部屋から出ると、ルークが慌てて声を掛けてきた。

ルークの後ろにはエミリアさんがいて、心配そうに私を見ている。


「お待たせ――

……って、あれ? ルークは何でいるの?」


「オリヴァーさんが緊急で戻ると聞いて、そこでアイナ様が襲われたと伺いまして……!!」


ああ、なるほど。そう言えばルークが行った会合って、そもそもはオリヴァーさんが誘ったんだっけ。

それなら一緒に戻ってくるのも不思議では無いか。


「私なら大丈夫だから、安心して?

ほらほら、それよりも何と! ジェラードさんが来てくれたんですよ!!」


「やっほー♪ ルーク君とエミリアちゃん、元気してた~?」


「「ジェラードさん!?」」


少し遅れて部屋から出てきたジェラードは、二人に明るく挨拶をした。


「いやー、何だか僕のいない間にいろいろとあったみたいで……。

まさかアイナちゃんがあんなに強くなってるだなんて……?

それに、ルーク君も神器を持っているみたいだし……?」


「あはは、確かにいろいろありましたね。

あのときには戻りたくないくらい、本当にいろいろあったんですよ」


私が明るく言うと、ルークとエミリアさんも納得するように頷いた。

散々な目には遭ったものの、私たちはようやく、何とか盛り返そうとしているところだ。

……今の状況が最善かどうかは分からないけど、それでも悪い状況からはずいぶん抜け出すことができたと思う。


「それじゃ、申し訳ないけど僕にもいろいろと教えてくれないかな?

アイナちゃんの役にまた立ちたいんだ。だから、情報を少しでも――」


「いやいや、ジェラードさん」


「え?」


私の制止に、ジェラードはきょとんとしてしまう。


「情報がどう、とかではなくて。

ジェラードさんは私たちの仲間なんですから、今までのことは単純に聞いてもらいたいです!」


「そうですよ! わたしたち、今まで大変だったんですから!!」


「まったく……。ジェラードさんがいてくれれば、もっと上手くいったかもしれないのに……」


「え? え?

……そこまで信頼してもらえると、とっても嬉しいんだけど……!?」


ジェラードは少し慌てながらも、私たちの気持ちを素直に受け取っているようだった。

裏の顔をたくさん持つ彼ではあるが、きっと私たちはそれを含めて、ジェラードのことを信頼しきっているのだろう。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




お屋敷の一室を借りて今までの話を終えると、ジェラードは深い溜息をついた。


「……『神剣アゼルラディア』に、『疫病の迷宮』、かぁ……」


特に『疫病の迷宮』については、アイーシャさんたちにも伝えていない内容だ。

それだけに重い話であり、他言しないこともお願いしておいた。

……その代わりと言っては何だけど、私はすべてのことを話すことにした。


ジェラードは私にとって、アイーシャさんにとってのフルヴィオさんのような存在だ。

情報の扱いに明るいのだから、下手に隠すのは避けた方が良い。

そもそも私が信頼する仲間なのだから、明確に隠していること以外は全部伝えたかった……というのが正直なところだった。


……明確に隠していること。

今となっては、私が『異世界転生者』であることくらいなんだけど。



「私たちの行動が、この国を大きく動かしてしまいました。

罰を受けるつもりは無いけど、できることはしていきたいんです」


「うん……。……いや、思ったよりも、凄い話ばかりだな、って。

ルーク君、エミリアちゃん。よくぞアイナちゃんをここまで支えてくれたね。ありがとう」


ジェラードの言葉に、エミリアさんは泣き出してしまった。

ルークはルークで、何やら神妙な面持ちをしている。


「……私はもっと、いろいろと上手くできたのでは無いでしょうか。

例えば今日だって、オリヴァーさんの申し出を断っていれば、アイナ様を危険な目には――」


「いやいや、ルーク?

今日は私が勝手に外に出て、勝手に巻き込まれただけだからね!?」


「そうそう、気に病むことは無いよ。

アイナちゃんが大人しく寝ていれば、僕がどうにかする予定だったんだから」


「……え? そうだったんですか?」


「うん。一人がトイレにでも行ってる間に、一人ずつ始末しようかなって」


……驚愕の事実である。

もしかして、それって――


「私、戦う必要が無かったってことですか……?」


「まさかアイナちゃんが、一人で外に出てくるだなんて思ってもいなかったからね。

弓星ですら、あれには驚いていたんだから」


「うぅ……。

最近芽生えてきた勘が、まさか無駄な戦いを生んでしまうなんて……」


「でも、僕は感動したよ。

アイナちゃんが倒した魔法使いって、かなり強い部類だったし」


「そうですよ、ジェラードさん!

アイナさんは英雄ディートヘルムを一人で倒したくらいですから!

わたしたちの中では、最強と言っても良いのではないでしょうか!!」


「あぁー……。そういえば話の流れでスルーしちゃってたけど、そのときはどうやって倒したの?」


「えっと、まわりの空気の構成を変えてですね、息を吸ったら貧血を起こすようにしたんです。

私のことを舐めてくれていたので、楽に近寄ることができたんですよ」


「へぇ、そういうことも出来るんだね……。

……でも、さっきはそうしなかったよね? 何で?」


「私、あのときは全力疾走してたじゃないですか。

息を切らせているところで、間違ってその空気を吸ったら倒れちゃうかなー、って」


「確かにそうなったら、シュールな光景になっちゃってたよね……。

それに、絶体絶命にもなっただろうし……」


「ディートヘルムと戦ったときは、風が追い風だったんですよ。

だから息を止める必要も無かったし、えいやーってやっちゃったんです」


「……そうなんだ。

でも条件付きとは言え、アイナちゃんって至近距離だと無敵だね……」


「いやいや。さっきジェラードさんと対峙しましたけど、勝てる気はしませんでしたよ?

やっぱりスピードを出されると、私にはどうしようも無いですから」


ジェラードが弓星を斬ったときなんて、正直何も見えなかったのだ。

だから、私はもっと強くなる必要がある。危険なことを自分で解決するためにも、私はもっと強くならなくては……。


「ところで、ジェラードさん。私って不老不死なんですよ」


「へー、そうなんだ♪

……って、えぇ!? 今、何かとんでもないことをするっと言った!?」


ジェラードは大きく驚きながら、私たち三人を見てまわる。


「脈絡なく言ってしまったんですけど、ルークとエミリアさんはもう知っていることなので。

一応、ジェラードさんにもお伝えしておこうかなって」


「う、うん、ありがとう……?

仲間内だけの秘密ってことだよね? 他の人には黙っておくから、安心して」


「よろしくお願いします。

でもだからと言って、痛いものは痛いし、瀕死になるときは瀕死になるんですよ」


「夢物語の不老不死とは違うんだねぇ……。

怪我をした端から、しゅるしゅるーって治りそうなイメージがあったんだけど……」


「それだったら楽だったんですけどね。

私は何回も寝込んで、何回もエミリアさんに面倒を見てもらってますもん」


「――最近思うんです。

わたしが生を受けた理由って、アイナさんの看病をするためだったのでは……と」


私の言葉に、エミリアさんは何か悟ったように、静かに言った。


「いやいや、エミリアさん!? それは達観しすぎですよ!?」


「えぇー……」


「でも、エミリアちゃんの気持ちは分かるな。

僕だってアイナちゃんに右腕を治してもらって、人生を救われたんだ。

だから、これからは一生を懸けてそれに報いたいと――」


「ちょ、ちょっとジェラードさん!?

確かにそんな話、以前に聞きましたけど……一生とか、そういう話では無かったですよね!?」


「えぇー……」


ジェラードはエミリアさんの真似をしながら、しゅんとしてしまった。


「アイナ様、私も同感です。

私は命ある限り、アイナ様にお仕えしますので」


「ルークの場合は、そういう誓いを交わしたからね。うん、よろしく」


「えー!? ルークさんばっかりずるい!!」


「そうだそうだ! 僕たちも是非、誓いをっ!!」


「却下します」


「「えぇー……」」



私としては、仲間の中で上下関係なんて付けたくない。

すでに誓いを交わしてしまったルークは置いておいて、他の人たちとは同じ立場で付き合っていきたいというか――


……まぁ、気持ちだけありがたく受け取っておけば良いよね?

異世界冒険録~神器のアルケミスト~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

46

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚