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12月31日。あと5分で今年が終わろうとしていた。
「みんなこんな寒い中お祭りとかすごいですねぇ、」
「まあ、うちの村ではそういう伝統行事じゃし、何より黒龍様がいらっしゃる日でもあるからのう」
「黒龍様、?」
「あぁ、お前さんは来たばっかりだしのぉ、知らぬのも無理は無い。昔、ここは荒れ果てており草木も水もない土地だったんじゃ。」
「ここが、、?」
「そんな時、白い龍と黒い龍がこの地に現れ恵みをくれたのじゃ。その龍が黒龍様と白龍様なのじゃ」
「そして、この村は御二方がまもってくださっておるのじゃ。そして1年が終わるこの日に御二方の感謝と今年もよろしくお願いしますの意を込めてお祭りをするのじゃ」
「あれ?でもおかしくない?さっきお祭りにくるのは黒龍様って言ってたけど白龍様は?」
「白龍様は、、今年、お亡くなりになられたんじゃ、病気での、、」
「龍にも病気とかかかるの?!」
「龍と言っても御二方は神様じゃ力を失わない限りは消えないし、死ぬという概念はないのだが、、詳しくは皆知らないのじゃ」
「そ、そうなんだ、」
シャンシャン
何処からか鈴の音の音が聞こえた。
どこから鳴っているのかも、鈴の姿も見えないが耳の近くで鳴らされているようにハッキリ大きく聞こえた。
「ほら、はじまるぞ、」
「!」
目を向けた先には夜空の星たちに負けを劣らない黒い龍が綺麗に輝いていた。
踊っているかのように鱗を輝かせながら舞っていた。
シャン
また鈴の音が響いた
「黒龍様がお降りになれるぞ!」
村人達が群がっている中心には、この世の人かと目を疑う程に美しい顔立ちをした男性が立っていた。
「!お主、見たことがないな。新入りか?」
「は、はい!11月くらいに村に来ました、!」
「そうか、私の名は黒珀(こはく)困ったことがあったら遠慮なく言うのだぞ。」
「はい、」
そう言って微笑む黒龍様の笑顔は優しさの裏に寂しさが感じられる、、そんな顔をしていた。
「黒龍様、この後の花火、どうしますか?」
「甘酒と魚をくれ、いつも白結とかっていたな」
「はい、分かりましたわ」
そう言って甘酒と焼き魚を貰った黒龍様は重いような軽いような足取りで山の上へと向かっていった。
「来たぞ、白結、」
儚く、寂しいような瞳で誰かのお墓を見て語りかけていた。
「お前の言う通り持ってきてやったぞ。お前はいつも年越しの儀の花火を見る時は甘酒を必ず嗜んでいたよな笑」
「、、、なぁ、白結、、この気持ちはなんなんだ?」
「胸が苦しくてお前の面影を追うような真似ばかりしてしまう、、こんなの今まで感じたことはなかった、。」
「ぐすっ、お前のいない家もさみしいもんだぞ」
そういって黒珀は甘酒を勢いよく飲み干した。
「不思議なものだな生きるとは」
「じゃあな白結。また」
そう言って黒珀は山の奥深くへと帰って行った。
「ん、、」
小鳥たちの鳴き声と少しばかり空いた窓から差し込んだ光によって黒珀は目を覚ました。
羽織に袖を通し朝の散歩へと出掛けた。
白結と毎日のように通い歩き慣れた道を進んでいくと、とあるものを見つけた。
「、、!こども、、?!」
「すー、すー、」
寒い早朝。朝日が登り始めた頃だというのにその子供は薄着で気持ちよさそうに眠っていた。
(村の子が迷い込んだのかもしれない、手当しなければ)
そう思い手馴れた手つきで子供を抱き上げ家へと向かった。
(とりあえず、服はきせたしあ布団入れたし大丈夫だよな、、、?)
「、、なんか、白結に似てるな」
白結、、俺たちはいつも一緒だった。
生まれた時も2人で生まれ、2人で村を納め、2人で年を越し、2人で生きてきた。俺の右側にはいつも白結がいた。白龍の白結。黒龍の俺。
いつの間にか俺たちは2人でひとつだった。
『あーあ、髪の毛、抜けてきちゃった。』
『、、大丈夫だ。すぐ生える』
『ねぇ、黒珀、』
『?』
『お前は僕が居なくなってもちゃんとやっていける?』
『子供じゃないんだぞ。』
『僕は無理。黒珀がいないと死んじゃうよ。』
『なら、頑張ってその病気治すんだな。』
『うん、そうだね』
ぱちっ
長く毛量のあるまつ毛がゆっくりと上がり黒珀の目が開いた。
(寝てしまった、朝食も食べていないのに。)
「じー」
「うおっ、?!」
気づいたら黒珀の膝の上には先程拾った子供が膝の上に乗り、こちらをじっと見つめていた。
「お、起きたのか、お主名は?」
「、、ない、、わからない」
「?この村の者ではないのか?」
「わからない」
「お主、、記憶が無いのか?」
「わからない、自分がなんなのかも分からないんだ。」
「あいまいだなぁ、村長に話して引き取ってもらうか」
ぎゅ、
少年は黒珀の羽織の袖を引っ張った。無意識だったのか、引っ張ってしまったあとに『あ、』
という表情を浮かべていた。
「どうした?」
「その、、ここに住みたい」
「え」
「ここ、、落ち着くっ、!とても、!」
黒珀はしばらく考えてからこう言った。
「わかった、、だが、お主が記憶を取り戻したらここからは去ってもらうぞ」
「わ、、わかった、、!」
少年は安心した顔で微笑んだ。
ぎゅるるる〜
大きな音が鳴った。
「///」
「ははっ、笑お主のお腹の音か笑」
「っ〜///」
「恥ずかしがらなくてよい。私もお腹が空いていたところだからな。」
「何か食べたいものはあるか?」
「、、、わ、わからない、」
「そうか、、なら、私の思い出の料理でも振舞おう」
「思い出の、、料理、?」
「あぁ、楽しみにしといてくれ」
そう言って黒珀は台所へと向かった。
「はい、どうぞ」
机にはふわふわな卵焼き、湯気がたっているお味噌汁、食欲が湧く匂いを放っている焼き魚が並べられた。
「じゅる、、」
美味しそうな匂いに鼻をひくつかせ気づけば少年の口にはヨダレが垂れていた。
「卵焼きは私の思い出の料理だ。味わいながら食べるのだぞ」
「「いただきます」」
「あむっ、」
「!、、お、美味しい、、」
「ふふっ、だろう?」
「た、たまごやき、、?すごく、、おいしい」
「あぁ、ゆっくり食べなさい。」
「だって、おいしくて、!」
「っ、、!」
「そ、そうか、、、」
ふと、黒珀に昔の記憶が蘇る
『おいしいっ、!黒珀の卵焼きは世界一!』
『全く、食事の時位は静かにしろ、』
『はーい、』
勢いよく卵焼きを頬張る。
『ちょ、白結、!ゆっくり食べろ、!』
『だって、美味しいんだもん、!』
「、、ん、、、さん、、お兄さん、!」
「!あ、すまない、、少し昔のことを思い出してな、、」
「あと、私はお兄さんという年齢ではないぞ」
「え、、!うっそだー」
「名前を伝えていなかったな、私のなは黒珀(こはく)」
「こ、、はく、」
「お主の名前は?」
「、、、しらゆい、、」
「、、!?」
「しらゆい、だと思う」
「だと思う、、?」
「多分、、、そう、、呼ばれていたような気がする、、」
「そ、、そうか、、」
しらゆい、、たまたまだろう。
漢字まで同じだとは限らない。
白結が、、生きているわけないのだから、、
こうして、、私が1人なのは、、素を見せる相手かいないのは、、私、、いや、俺の罪だ。
あいつの傍に最後までいなかった、、な、、
皆様最後まで見て頂きありがとうございます!
投稿しばらくしなくてすみませんっ!!
体調崩していて、、
本当は読み切りの予定だったのですが文字の量がえげつなくなりそうなので連載にします!
連載4つも、掛け持ちか、、が、頑張ります、、!
このお話の感想、ぜひコメントに!
励みになります!
最後まで見てくれたのほんとに嬉しい、、、
それではまた次回お会いしましょう。