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「ねーねー。皆はどこの事務所行くか決めた?」

「オイラはマウントレディ!」

「峰田ちゃん、やらしい事考えてるわね」

「違うし!」

「デクくんは?」

「わずか40名の受け入れヒーローらの得意な活動条件を…………」

「「「芸かよもはや!!」」」

「あっご、ごめん!麗日さんは?」

「ガンヘッドの事務所!」

「ガンヘッドって、ゴリゴリの武闘派の!?」


皆がどのヒーロー事務所に行くかで騒いでいる中、優雨は1人窓の外をぼんやりとみていた。優雨は元々ヒーローに興味ないうえ、行く先はもう決まっているのである。チラ、と緑谷達の方を向くと緑谷が小刻みに震えているのがわかる。麗日も気になっていたのか、震えてるね?と尋ねていた。どうやら空気椅子をしていたらしい


「あ、ねぇねぇ!優雨はどこ行くの?」

「なになに……鱗滝?聞いた事ないかも…」

「デクくん知ってる?」

「えっと……ごめん、分からないや…」

「お師匠様はヒーロー活動はあまりなされて居ないようですから、知らなくても当然かと」

「なんでそこに…ってえ!?お師匠様!?」

「はい。鱗滝さんは私のお師匠様です。剣技など教えていただきました」

「だからあんなに強いんだ!凄いなぁ」

「……それより、そろそろ予鈴がなりますよ」

「あっホントだ!次の準備しなきゃ」

「次の授業ってなんやっけ?」

「数学だったはずだよ」

「うへぇ、私苦手や…!」


凄くなんてない。あの時、私がもっと前から前世の事を思い出していたら。また、失ってしまった。そんなたらればを考えているうちに優雨の気分はどんどん下がっていく。何気ない会話でも優雨にとっては鋭い刃となり心を傷付けるのだ。そうして時間が過ぎていき、気付けば夕方になっていた。


「…………」

(そういえば今日はたいむせーるをやっていましたね。帰りにすーぱーへ寄りましょう)


途中で全速力で先程居た教室へ向かっていくオールマイトに出くわしたが、教師が廊下を走っていいものだろうかと思ったが急ぎの用事でもあるのかとスルーした。スーパーへ向かい、入口にある籠を1つ手に持ち今夜の献立を考えながら籠の中へ食材を入れていく。こんなのんびりしていていいのか、と思うかもしれないが前世と違って今世は鬼も少なく強くない。その為毎日任務に赴く事はないのだ。それに優雨走っている。無理して我武者羅に鬼を殺したとしても体にガタがつく。それで救えたはずの命が救えずになるというのが1番駄目だ。






「全員コスチューム持ったな?本来じゃ公共の場では着用禁止の身だ。落としたりするなよ」

「はーい!」

「はいだ芦戸。伸ばすな」

「はい…」

「くれぐれも体験先のヒーローに失礼のないに。じゃ行け」

(電車、あまり乗ったことないんですよね…)

「飯田くん!本当にどうしようもなくなったら言ってね。友達だろう?」

「うんうん」

「ああ_」

(あの目は……いけませんね。ですが、あれは飯田さんの問題。あまり突っ込むべきではないのでしょうが…それにしても飯田さんの行先はすていん、という者がいた場所…復讐する気ですね)

「気持ちはわかりますよ。私も、そうしましたから」


復讐心は他人にとやかく言われて治まるものではない。家族を殺され、親友をも殺された。憎んでも憎んでも憎み切れない相手。この手で殺さなければこの気持ちは静まらない。


「ですが、本当にそれでいいのですか、飯田さん。この世界では“それ”を良しとしないのでしょう?特に、ヒーローは」


誰にも聞こえないような、ポツリと呟いた優雨の問い掛けに、答えるものはいない






迎えの車から降り、扉を叩く。


「…ああ、来たか。優雨」

「ご指導ご鞭撻の程宜しくお願い致しますね、鱗滝さん」

「………」

「…うっ、えっと…じぃ、じ?」

「よし」

「何故そんなに満足気なのですか……」


前世と同じ歳に両親を亡くした優雨は、その時まだ子供だった。そんな子供である優雨達を引き取るのは誰にするのか、という問題が生じた。親戚達は「うちでは手一杯」と引き取りを拒否し、どうしようか路頭に迷っている所、前世からの師である鱗滝左近次が引き取ってくれたのだ。だが、両親を忘れたくないので冩屋と名乗る様にしてある。


「娘と孫には弱いからねぇ、鱗滝さん」

「久しぶりだな、優雨」

「真菰、錆兎。お久しぶりです。元気そうでなによりです」

「久しぶりって言ってもつい3日前にあったばっかりだけどね」

「そうですね…それより、いんたーんでは私は何をすればいいのでしょうか?」

「悲鳴嶼さんと時透さんと戦うの」

「まぁいつもと変わらないな。既に出来上がっているから、体力を増やしたり呼吸を極めたりが主だ」

「ああ、そういう感じですか。無一郎と行冥と会うのは久々ですね」

「時透も喜んでいたぞ。あいつお前と炭治郎には懐いてるからな」

「炭治郎の場合は懐かれてると言うより狙われてるだけどね」

「あいつの天然で華麗に避けてるけどな」


何分か雑談をしていると、前の方からタッタッという軽快か足音とコツ、コツと静かな足音を立て誰かが近付いてきた。


「優雨!」

「南無……優雨、元気そうでなによりだ……」

「無一郎、行冥。お久しぶりです」

「会いたかったよ。久しぶりだね、優雨」

「私もですよ。……というか、なんで怒ってるんです?」

「ううん?なんでもないよ。無能な奴らが多くてちょ〜っとイラついただけ」

「あらら…まだ成長途中という事ですよ。厳しく指導するのは大切ですが言い方にも気を付けましょう。無一郎は一言一言キツイですからね…」

「だってムカつくんだもん。それに甘やかしたら調子に乗るじゃん」

「だもんって…お前さっき俺と話した時もっと塩じゃなかったか?」

「は?なんの事」

「こいつ…!」

「まぁまぁ錆兎、落ち着きなよ。いつもの事でしょ?」


因みにこの会話は悲鳴嶼と優雨が話している時に行われているので優雨は気付いていない。優雨が無一郎の方に顔を向けるとコロッと笑顔になったので完全に猫被りである。


「はぁ…っ…は、行冥、やはり強いですね…」

「…優雨も腕を上げたな」

「次僕とやろうよ。見てるだけじゃつまんないよ」

「……いや、地形えぐれすぎだろ…」

「私達、もっと頑張らないとね」

「…だな。」









一旦終わりィ!!!!やぁっと本編出せた!!!待たせてごめんね!!

設定としては真菰と錆兎は義勇と同じくらい強いよ!

鬼殺隊とヒーローは分かり合えない

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